待ち合わせ場所のイケメン
約束の当日、駅前の待ち合わせ場所に現れた彼は、遺伝子の研究をしているというから、少し陰気な学者タイプのイメージしていたのだけれど、予想に反して凄いイケメンだった。少し茶髪がかった髪に、高身長、クールな顔立ちの中に愛くるしい愛嬌が見てとれる。街中でこんなかっこいい人をなかなか見かけない。
――かっこいい人って、普段どこにいるのかしら?――
そんなことを思いながら、挨拶を交わす。まじまじと顔を見てしまう。
「どこかお店入ってお話しても良いですか?」
促されるまま北銀座通りのコーヒーショップに入り、アイスコーヒーを2つ注文する。
「わざわざ時間とってくれてありがとうございます」
彼は軽く頭を下げながら言う。
「いえ、こちらこそ。遠いところ来ていただいてすみません」
こういう場合の定型挨拶を返しながら、彼は見た目のチャラチャラした印象とは違いまじめな人なんだとの第一印象を持つ。
お互い簡単に自己紹介をした後に、彼は続ける。
「意外と大宮って、栄えているんだね」
――栄えている?――
その辺りの感覚が分からず、都内のどこと比較しているのだろうと思う。
「最初、間違えて西口へ行ったら、道沿いにビルが林立していてびっくりした。埼玉ってベッドタウンというイメージだったから、住宅地ばかりと思っていて」
「はあ、そうですか」
「実はごめん。大宮という駅も今日初めて知った。埼玉っていうと一番に浦和を思い浮かべるからね」
「普通はみんな、浦和の方がいいって言います」
雑談を少し交わす。それから、
「年は17って聞いてたけど、高校生?」
「はい」
「じゃ、勉強や部活で忙しいんだ?」
「まあ、そうですね」
大学受験は考えていないし部活もしていないから、学校はそう忙しくない。生活費のためのバイトが実は忙しいけれど、それを言うと説明が面倒だから軽く濁す。
「そっかー」
彼は少し考えるように斜め上を見ながら間を取る。
「実は、今日の本題なんだけど」
そう言いながら、カバンからごそごそと封筒を出し、さらに封筒から数枚の紙を取り出す。
「これが君の遺伝子検査の結果なんだけど」
数か月前に私に郵送されてきた検査結果とは違って、もっと細かい字と難しい単語、赤や青の波線のグラフが並んでいる。
彼はグラフを指さしながら、
「このピーク、これはこの塩基配列が多いという意味で、これらのピークは人によって色々なんだ。同じピークのパターンの人は基本的にはいない。もし居たとしても身内か数万分の1とか、すごく低い確率なんだ」
あまり詳しくは分からないけれど、うなずく。
「僕は大学の人文学部で文化人類学を研究しているんだ。文化人類学って、人がどう進化してきたとか研究する科目で、その中で、古墳などに埋葬されている人の遺伝子を調べて、古墳のできた時代や埋葬された人を系統立てるということをやっているんだ」
再度うなずく。




