医学部の知り合い
――宗教って、儲かるんだ――
それが彼の宗教への印象だった。そしてそこから宗教と何かしらの関連を持とうと調べ始め、過去を追い古代まで行きつく。その調べている最中に、その経緯を配信すれば一石二鳥になるんじゃないかと思い、始めたのが日本の古代調査のYouTuberだ。
今回、大学の箸墓古墳の調査が行われると聞いて自分から手を挙げて参加し、卑弥呼のDNAを入手できた。でも卑弥呼のDNAだけあっても意味は無かった。
そんな時ヒューマンジェネティクス社の広告を見てひらめいた。この会社には大量に日本人のDNAが蓄積されているのではないかと。
早速医学部の知り合い何人かにその会社を知っているか聞いてみると、1人がその会社のデータを研究のために使用していると言い、頼み込んで使わせてもらった。研究の空き時間に医学部の専用PCにログインさせてもらい、卑弥呼のDNAの塩基配列で検索する。細胞DNAやミトコンドリアDNAなど複数の検索方法があり、いろいろ試してみる。そして遂に99.9%以上の確率で一致するDNAを発見した。ただ性別や世代など属性しか分からない。これでは誰だか分からないし、卑弥呼に子孫がいるのは十分想定されるので特に珍しくもない。ここで子孫を探し出すという挑戦はもう終わりなのかなと半分諦めかけた時、医学部の知り合いから意外な条項を教えられる。公共の福祉のためなら特定のDNAの個人情報を請求できると。教授にこのDNAの所有者を見つけることが公共の福祉であると力説し、レポートを書きそれを教授の名前で学会で発表することを条件に認めてもらう。そのあとは単なる手続きでヒューマンジェネティックス社から卑弥呼のDNAと同じDNAを持つ人の連絡先が届く。それが矢野だった。
彼にとって彼女は、あくまでも再生回数を上げるためのキャラクターだった。そして彼女を卑弥呼の子孫として取り上げれば動画の再生回数を稼げると踏んだ彼の予想は正しかった。YouTubeで配信し記録的な再生回数を稼いだ。大手ネットニュースサイトでも取り上げられた。
でも妹の入院費や先進医療の手術費には全然足りない。さらに今まで街金に借りた借金の返済も迫られている。彼は追い詰められていた。




