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東京駅

その2週間後の土曜日、私は馬渡さんと奈良へ行く。

東京駅の地下1Fの新幹線乗り場前の広場で合流する。どこかへ行くときはいつも涼くんについてきてもらっていたけれど、今回は馬渡さんがいるので二人だけで行くことになった。

上野東京ラインを東京駅で降り、地下1Fの東海道新幹線乗り場を探す。改札前はちょっとした広場になっていて、大勢の人がいる。特に外国人観光客が多い。

私は心細げにキョロキョロしていると、向こうの方から長身で茶髪の、明らかに周りとはオーラの違う人がこっちに向かって歩いてくる。

「おはようございます。お待たせしました」

やっぱり格好いい。周囲の人が数人振り返り目を見張る。

「私も今着いたばかりです」

少し雑談をして、新幹線乗り場へ急ぐ。

新幹線に乗ったのは中学の修学旅行以来の2年ぶり。乗り物が好きという訳ではないけれど、いつもと違う体験はやっぱりわくわくする。

石下神社の人と会うのは日曜日の午前なので、神社が土曜の晩のホテルを奈良市内に取ってくれた。

馬渡さんから、土曜の朝に関東を出て昼前に奈良に着き奈良観光しようと提案され、私は一度も奈良に行ったことが無かったので同意するとともに、楽しみにしていた。

今まで母と旅行に行った覚えもないし、友達と遠出した経験もない。だから純粋に遠くに行けるのが楽しみということもあるけれど、その伴侶が馬渡さんというとても格好いい人でかつYouTuberとしても有名人だから、こんな人と一緒に居られるというのがうれしいし、ちょっと自慢できるというか鼻が高いというかプライドをくすぐられる気がする。

――あれっ、私もこんな気持ちになることがあるんだ?――

涼くんも確かに格好いいんだけど、アンドロイドつまり機械だからどうしても普通に付き合っていますという感じにはならない。けれど馬渡さんは当然人間だし、とても優しいし、大学生で頭も良いし、私から見て全く欠点が無い。こんな男の人が世の中に存在するんだというのが新鮮で、かつそんな人と出会えたのがとても運が良かったと思う。多分大宮辺りで毎日生活していたら絶対に知り合えないような人。

馬渡さんは迷惑にならない程度の撮影を車内でも簡単に行い、すぐに撮り終える。


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