コメント欄
私の方は馬渡さんの動画がバズってびっくりしたのも一瞬で、その翌日からは何事もないいつも通りの日常が続いていた。
動画も馬渡さんのことも忘れていた頃に、突然馬渡さんからSNSのDMを受け取る。
“こんばんは。お久しぶり。元気にしてましたか?こちらは矢野さんの動画でフォロワー増えて本当に感謝しています。ところで今回DMしたのは、矢野さんにぜひ会いたいという人からYouTubeのコメント欄を通して連絡が来たからです”
そんな書き出しだった。
“橿原市の石下神社の関係者と名乗っている人です。石下神社と言えば卑弥呼の刀剣を奉納している神社だから、矢野さんの卑弥呼の直系子孫という動画に興味を持ったのだと思います。そこで相談なのですが会ってみる気はありませんか?”
スマホにDM着信の通知が来た時はちょうど夕食の準備中だったので、私は隣で料理の手伝いをしてくれている涼くんに相談する。
「私の動画を見て会いたいという人がいるらしいんだけど、どう思う?会っても大丈夫かしら?」
「相手はどんな人か、分かる?」
「神社だって。奈良の石下神社というところで、卑弥呼にゆかりがあるんだって」
「神社?じゃ、まず、変な話ではないと思うけどね。理由とかは聞いた?」
「卑弥呼関係とは書いてあったけれど、それ以上のことは特に何もない」
涼くんは馬渡さんに数回会ったことはあるけれど、詳しいことは話していなかった。だから血液検査で私は卑弥呼の子孫の可能性が高い結果が出たこと、それをネタに彼の動画に数回出たこと、その動画がバズり動画の再生回数が1000万を超えたことなどを説明する。
馬渡さんと会うのはいつも大宮で遠出をしないから、涼くんはあまり彼と会うことを気に留めていない。私としてはもう少し気にして欲しかったけれど、彼は機械だから私を独占したいとか、嫉妬という感情はないのかもしれない。
「比呂美さんはどう?」
「私は会っても良いかなと。どんな人たちか分からないけれど、いろんなことに挑戦してみたいし。それに多分馬渡さんも一緒にいてくれると思うから」
「じゃ、良いんじゃない?」
私は食後、馬渡さんに了承のDMを返信する。すぐにその返信が来て、石下神社の人たちと会う日程を馬渡さんが決めてくれることになる。
しばらくするとまたDMが届き、3週間後の3連休の真ん中の日曜が候補と言ってきた。特に予定は無かったし、まだバイトのシフトも入れていなかったので、その日で良いと答えた。




