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短いお話たち  作者: いとい・ひだまり


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光の陰で BL

 今宵はクリスマス。辺りを行き交う人々の中にも恋人同士と思われる2人組をちらほら見かける。

「ダーリン、愛してる」

「俺もだよ、ハニー」

 丁度すれ違ったカップルの甘い言葉が、僕と彼との過去を思い出させた。

 ……愛してる、か。そう言ったのは一体いつのことだっただろう。

 ああ、あれは忘れもしない。僕がまだ学生だった頃……。


「――え?」

 僕の放った言葉に、彼は困惑していた。そんな彼に本当のことを言える筈もなく

「……そう言える人って、格好いいよな」

 僕は適当に嘘をついた。


 ――あの時、不意に口から零れたその一言に、どれだけの思いが、言葉が詰まっていたか。そんなことは彼には分かりゃあしなかったろう。結局、最後まで。


 今、ガラス窓の向こうで暖かい家族に囲まれ、楽しそうに笑っている彼を見やる。

 彼の隣にパートナーとしての僕の居場所は無かった。運命の人じゃなかった。……そう言い聞かせて、踏ん切りをつけた筈なのに。それなのに……今も僕は彼から目を離せないでいる。

 彼からしたら僕はただの友達で。彼らの間に入る隙もないお邪魔虫だということは分かっている。でもどうして、立ち去ることもできず心の炎は燃えるままなのか。

 いっそ玉砕していれば、前を向けただろうか。そんなことを考えてしまって。

「情けないなぁ……」

 ぬるい水が数滴、少しばかり積もった雪へと落ちていった。







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【君の隣にいたかった】

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