今夜は贅沢祭りだ BL
「くそ、やはり顔認証システムが導入されてる。……なあ、ちっとばかし職員に化けて潜入してきてくれないか?」
銀行への侵入はバッチリ。逃走経路も確保したのに、一番大事な重要金庫へ入る術がない。長身の男は側で座る相棒に声を掛けた。
「はぁ? 嫌だよ。何でカワイイ僕が」
金髪巻き毛の少年……に見えるが実年齢は長身の男と変わらない彼は文句を垂れる。
「頼む。お前の力が必要だ。それに中に入れなきゃ何も出来ない。お前もアレが欲しけりゃちっとは協力してくれよ」
それに少年は暫し黙ってから、溜め息を吐いた。
「じゃあやってやるけど、それなりの対価はもらうからな」
「当たり前だ。じゃあ今夜寝る場所はホテル・パラエステルでいいな?」
「ホテル? 身の危険を冒してまで手に入れる対価がホテルかよ」
「不満か? 結構いいホテルだぜ。綺麗だし飯も美味いし」
「不満だ。普通に金多めにくれよ。取ってきたアレを売ればそれくらい安いもんだろ」
「バーカ。特別なのはホテルだけじゃない。ホテルでの、俺との一夜だ」
ばちこーんとウィンクをして答えた男の顔を、少年は手の平で押しのける。
「寝言は寝て言え馬鹿。殴るぞ」
「つれない奴だな。わーかったよ、やるよ金を多めに。それで満足だろ?」
「満足」
少年は顰めっ面をやめ笑顔になると、パッと全く違う容姿になる。
「じゃあ任せとけ、相棒」
「検討を祈る、相棒」
そうして自信満々に歩いていった彼だったが、三歩程行った所で停止したかと思うと足早に戻ってきた。
「なんだ、何か問題でもあったか?」
「いや……さっきのホテルの話だけど。……考えてやらなくもない」
「っほんとか! 楽しみにしてるぜ」
男は嬉しそうに笑うと、再び歩き出した相棒を見送るのだった。




