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ノヴァリアの魔導師〜転生したら全属性使いだった〜  作者: にゃふ
第8話:ザイロスとの戦闘

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第74章:覚悟

魔王軍の亡骸兵士たちが次々と床に降り立つたびに、石床が重たく鳴った。

その数――ざっと見ただけでも二十を超える。どれもかつて名を馳せた戦士たちばかりだ。


ミナが腰の剣を抜き、セラも弓に魔力を込める。だが――その前に、ヴァルゼリオが一歩前に出た。


「ここは……俺に任せろ」


レイは一瞬だけ驚いた顔をしたが、すぐに理解したように頷いた。


「……いいのか? お前の仲間だったんだろ」


ヴァルゼリオは静かに目を閉じ、そしてゆっくりと開いた時、その瞳には決意と哀しみが宿っていた。


「だからこそ、俺が終わらせてやる」


その言葉に、魔王軍兵士たちが僅かに反応した。

彼らの胸に宿る微かな記憶が、ヴァルゼリオの声に呼応したのかもしれない。


ヴァルゼリオは剣を構え、静かに呟いた。


「すまねぇ……本当なら、こんな姿で再会したくはなかった。

でも――もう楽になってくれ」


次の瞬間、彼の全身から黒炎が立ち上る。


「セラ、ミナ、レイ。先に行け」


「でも――!」


ミナが食い下がろうとしたが、レイが肩を掴んで首を横に振った。


「分かってる。……任せるぞ、ヴァルゼリオ」


「おう――任された」


レイたちは振り返らずに奥の扉へと駆け出した。


その背後で、ヴァルゼリオの怒号が響く。


「――《魔王流秘奥義・黒滅砲》!!!」


轟音とともに、真っ黒な暴風が研究室全体を飲み込んだ。


石床がひしゃげ、壁が溶け、魔王軍兵士たちの姿が粒子となって宙に舞う。


そして――完全に静寂が訪れた。


ヴァルゼリオはよろめきながら膝をつき、壁にもたれかかって笑った。


「ははっ……全力でやると、やっぱキツいな……。ま、あとは任せたぜ……英雄サマよ……」


その瞼がゆっくりと閉じる。

奥へ進むと、空気が一気に軽くなる。まるで先ほどまでの重苦しさが嘘のようだった。


やがて、三人は大きな鉄扉の前にたどり着いた。レイが押し開けると――


そこは石造りの広間。天井は高く、柱には無数の魔法陣が刻まれている。


そして、正面の高台には――


ザイロスの幻影が立っていた。


「よくここまで来ましたね、英雄ご一行」


その声はどこか楽しげだった。


「残念ながら、私はこの先で最終調整中ですのでね。

――ここから先へ進むには、“鍵”が必要です」


幻影が指を鳴らす。


――ドシュゥン!


床の魔法陣が光り、周囲の闇から無数の魔物が出現する。


狼型の黒獣、鎧を纏った骸骨兵、そして空中を漂う魔力生命体。


ミナが剣を構えながら叫ぶ。


「うわっ、数多すぎじゃない!?」


セラは冷静に魔力を練りながらレイに尋ねる。


「レイ、どうする?」


レイは一歩前に出て――意外な言葉を口にした。


「――これは任せる」


ミナとセラが同時に「はぁ!?」と声を上げる。


だがレイは真剣な目つきで二人に頷いた。


「この程度、二人なら余裕でしょ。俺は奥の扉の解除を探ってくる」


「は? お前なにサボろうとして――」


「サボりじゃねえ。信頼だよ」


そう言い残して、レイは背中の黒いコートを翻しながら高台の方へと歩き出す。


一瞬、ミナとセラは呆気に取られたが――


次の瞬間にはにやりと笑っていた。


「よーし、言ったなレイ! なら見せてやるよ、アタシたちの実力を!」


「ここで立ち止まってる暇なんてない。行くわよ、ミナ!」


二人の魔力が弾け、無数の魔物たちが一斉に襲いかかる。


その中心を、二人の少女が笑いながら切り開いていく――

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