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ノヴァリアの魔導師〜転生したら全属性使いだった〜  作者: にゃふ
第8話:ザイロスとの戦闘

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第73章:宝

影騎士の残骸も跡形もなく沈んだクレーターを抜け、レイたちはさらに奥へと足を進めた。


瘴気は濃くなる一方だが、道は妙に整備されている。まるで誰かが「歓迎している」かのように。


「いや、歓迎っていうより……罠っぽくない?」とミナが額をしかめる。


「罠なら全部踏み潰して進めばいいだけだ」とヴァルゼリオは笑っている。頼もしいのか脳筋なのか微妙だ。


そんなやり取りをしながら進むと――

目の前が急に開けた。


「……え、ゲームか?」


そこは広い石造りのホールで、なんと大小さまざまな宝箱がきっちり整列していた。ざっと見ても二十、三十はある。中には宝石で飾られた大箱や、逆に不気味に黒ずんだ箱まで。


「お宝だぁぁ!!」とミナが一番乗りで飛び出した。


「ちょっと待て、こういうのは罠が――」


レイが止める間もなく、ミナは蓋をこじ開けた。


――が、中からはふわっと布が出てきただけだった。


「……服?」


「コート、だな。それも黒いロングコートだ」とヴァルゼリオ。


レイはそのコートを手に取り、広げてみる。見た目は漆黒、しかし裏地には銀色の魔法陣のような紋様が刻まれている。軽いが、触るだけで魔力が循環するのが分かる。


「……異世界って感じするな」


そう呟いて、そのまま羽織ってみた。


バサッ――


袖を通した瞬間、背中の布がふわりと舞い、まるで主人を待っていたかのように自然に馴染んだ。


「レイ……めちゃくちゃ似合ってる」


セラがぽつりと呟く。


ミナも頷きながら、「なんか……ラスボスみたいでカッコイイ」と笑う。


ヴァルゼリオは腕を組みながら、「ああ、魔王って言われても信じるぞ」とニヤニヤしていた。


レイは鼻を掻きながら小さく言った。


「……まあ、悪くはないな」

宝箱ゾーンを抜けると、空気がガラリと変わった。


壁や床は鋼鉄のような光沢を帯び、魔導ランプが青白い光を放っている。棚には瓶詰めの薬品や、魔石、そして――


丸ごと封印された魔物の臓器や骨。


「うっ……なにこれ……」とミナが顔をしかめる。


「魔術研究施設だな。俺の時代にも似たような施設はあったが……これは桁が違う」とヴァルゼリオの声には怒気が混じっていた。


そして、部屋の中央――


巨大な水槽がずらりと並んでいる。


中には――


かつて魔王軍にいた兵士たちの身体が、魔力チューブに繋がれて浮かんでいた。


「……っ!」


さすがのレイも息を呑む。


その多くには記憶があった。魔王軍幹部を倒した時に戦った相手たちだ。敵だったとはいえ、誇りと力を持った戦士たち。


その彼らが――ただの「素材」として保管されている。


セラが小さく呟く。


「……ひどい」


ミナは怒りで牙をむき出しにし、ヴァルゼリオは拳を握りしめたまま震えていた。


「……やっぱ、俺がぶっ殺すわ。あのクズ野郎」


低く呟いたのはレイだった。

その時――


「おやおや、随分と感傷的ですねぇ」


上方のスピーカーから響く声。


見ると、ガラスの廊下の上に――ザイロスが立っていた。


白い手袋をつけた手で、にやりとボタンを押す。


――ザシュゥゥゥン!!!


水槽の魔力チューブが一斉に反応し、亡骸だったはずの魔王軍兵士たちが目を開いた。


次々と封印が解除され、床に降りるたびに鈍い衝撃が響く。


「貴様……何をした」


ヴァルゼリオが怒声を上げる。


ザイロスは笑って手を振る。


「さて、私は先に奥で準備がありますので。

皆さんは――彼らと仲良くしててくださいね。」


そう言って、去っていく。


魔王軍の亡骸兵士たちはゆっくりとこちらを向いた。


――戦闘開始だ。

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