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ノヴァリアの魔導師〜転生したら全属性使いだった〜  作者: にゃふ
第6話:平和な日常を求めて

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第59章:夜の襲来

その夜。

レイとセラは、国王の寝室を中心に、複数の防御魔法陣を設置していた。床に刻まれた魔法陣は青白い光を放ち、わずかな侵入者の気配でも即座に反応する仕組みだ。


「これで大丈夫だろう。下手な暗殺者なら、一歩踏み入れただけで分かる」

レイは魔力の流れを確認しながら呟いた。


セラも隣で頷く。

「でも、油断は禁物よ。あの毒の手口……普通の賊じゃない気がする」


「だろうな。毒針なんて、ただの暗殺者じゃ扱えない」

レイはそう返し、深夜の静けさに耳を澄ませた。


結局、その夜は何事もなく朝を迎えた。


──翌朝。

国王自らが「朝食を共にせよ」と招いた。豪華な王族の食事は、レイたちにとって初めての体験だった。


白銀の食器に並ぶのは、香草で味付けされた肉料理や、ふんわりと焼き上げられたパン、透明なスープに浮かぶ果実。口にした瞬間、優しい甘みと深い旨味が広がる。


「さすが王族の料理……。これが毎日出てくるのか?」

レイは半ば感嘆しながら呟いた。


「ふふ、感動してるレイも珍しいわね」

セラは嬉しそうに微笑む。


国王はまだ完全には回復していないものの、少しずつ表情に活力が戻っていた。

「そなたたちもゆっくり休むとよい。夜に備えてな」


その言葉通り、昼間は控えの間で休息を取り、体力と魔力を温存した。


──そして、二日目の夜。

再び夜の帳が下りる頃、異変は訪れた。


「……来たな」

レイが低く呟いた瞬間、魔法陣のひとつが強烈に発光した。廊下の奥、結界に仕掛けた警戒陣に何かが触れたのだ。


「魔力反応……一人、いや二人か?」

セラが鋭い目で反応を探る。


レイは頷くと、腰の剣に手をかけた。

「行くぞ。ここを抜けられたら国王が危ない」


二人は素早く廊下を駆け抜け、魔法陣のある場所へ向かった。

そこに立っていたのは──


黒ずくめの二人組だった。フードで顔を隠し、体には闇の気配がまとわりついている。その手には、細長い針のような武器が握られていた。


「やはり毒針か……」

レイは眉をひそめる。


フードの下から低い声が響いた。

「邪魔をするな、若き魔導師。我らの使命は王の命を奪うこと……」


「使命? 誰の命令だ?」

レイが問いかけるも、相手は答えるつもりはなさそうだった。むしろ、返事代わりに刃を構えた。


「仕方ないな……セラ、気を付けろ」

「もちろん!」


次の瞬間、二人の暗殺者が同時に飛びかかってきた。

その動きは速く、まるで影が揺らめくように見える。


だが──レイが展開した魔法陣が閃光を放ち、暗殺者たちの動きを鈍らせた。

「かかったな!」


セラはすかさず弓を引き絞り、矢を放つ。矢は風の魔力を帯びて一直線に飛び、片方の暗殺者の武器を弾き飛ばした。


だが、もう一人は俊敏に跳躍し、レイの背後を狙う。

「甘い!」


レイは振り返りざまに炎の刃を展開し、相手の針を弾いた。その刹那、彼は相手の瞳を見て気づく。


「……闇の魔法で操られている?」


暗殺者の目は虚ろで、正気の光がなかった。まるで何者かに操られているかのようだ。


セラも驚きの声を上げた。

「じゃあ、この人たちは……!」


レイは歯を食いしばる。

「生け捕りにするぞ! こいつらはただの駒だ!」


だが、その瞬間──暗殺者たちの体が黒い霧に包まれ、苦しげに痙攣した。次の瞬間、体は崩れ落ち、影のように溶けて消えていった。


セラが息を呑む。

「そんな……! 消えちゃった……」


レイは険しい表情で霧の残滓を見つめる。

「やっぱりか。黒幕は別にいる……。そして、これはただの前触れにすぎない」


残されたのは、かすかに漂う闇の魔力の痕跡。

その不穏な気配を前に、レイの胸には重い予感が広がっていった。

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