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ノヴァリアの魔導師〜転生したら全属性使いだった〜  作者: にゃふ
第20話:東方辺境都市編

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223/225

第222章:受け継がれる記

 蒼黒の光。


 それは川のように流れ、


 未来のレイから今のレイへと吸い込まれていく。


 ◆


「なっ……!」


 レイが思わず目を閉じる。


 頭の中に激しい衝撃。


 ◆


 知らない記憶。


 戦い。


 絶望。


 仲間との日々。


 学院。


 北の森。


 王都地下。


 そして――


 ルミナス。


 ◆


 次々と流れ込む。


 ◆


 ミナと笑った日。


 セラと調査した夜。


 マリーナの失敗。


 ガルドとの訓練。


 アイリスの忠告。


 ◆


 全部。


 全部。


 ◆


「ぐあああああっ!!」


 レイが膝をつく。


 頭が割れそうだった。


 ◆


 だが。


 止まらない。


 ◆


 そして。


 最後に見えた。


 ◆


 崩壊した未来。


 燃える王都。


 ◆


 倒れている仲間たち。


 ◆


 ミナ。


 セラ。


 マリーナ。


 ガルド。


 アイリス。


 ◆


 守れなかった未来。


 ◆


 その中心で。


 未来のレイは一人立っていた。


 ◆


『……ごめん』


 ◆


 そこで映像は終わる。


 ◆


 レイの目から涙がこぼれた。


 ◆


 知らなかったはずの記憶。


 でも。


 今は分かる。


 ◆


 あれは。


 確かに自分だった。


 ◆


 ゆっくり顔を上げる。


 ◆


 未来のレイはもう立っていなかった。


 身体は半透明になっている。


 ◆


「思い出したか」


 ◆


 レイは静かに頷く。


 ◆


「全部じゃない」


「でも……」


 拳を握る。


 ◆


「みんなとの記憶は戻った」


 ◆


 ミナが目を見開く。


「……本当に?」


 ◆


 レイは少し笑う。


 ◆


「心配かけたな」


 ◆


 その瞬間。


 ミナの目に涙が浮かぶ。


 ◆


「馬鹿」


 ◆


 短い一言。


 でも。


 それだけで十分だった。


 ◆


 未来のレイが満足そうに笑う。


 ◆


「それでいい」


 ◆


 身体が崩れ始める。


 ◆


 粒子になって消えていく。


 ◆


「待て!」


 レイが手を伸ばす。


 ◆


 未来のレイは首を振る。


 ◆


「俺は失敗した世界の残骸だ」


 ◆


「ここで終わる」


 ◆


 そして。


 最後に。


 ◆


「頼んだぞ」


 ◆


 静かに笑う。


 ◆


「――俺」


 ◆


 光となって消えた。


 ◆


 沈黙。


 ◆


 だが。


 感傷に浸る時間はない。


 ◆


 ドゴォォォォン!!


 ◆


 巨大な扉が開く。


 ◆


 黒い霧が爆発的に噴き出す。


 ◆


 観測者。


 最上位存在。


 ◆


 その姿が完全に現れる。


 ◆


 空間が歪む。


 重力が狂う。


 ◆


 ミナたちが思わず足を止める。


 ◆


 しかし。


 レイは一歩前へ出た。


 ◆


 蒼黒の剣を握る。


 ◆


 記憶。


 経験。


 戦い方。


 ◆


 未来の自分から受け継いだ全て。


 ◆


 そして。


 守りたい仲間たち。


 ◆


「今度は」


 静かな声。


 ◆


「失敗しない」


 ◆


 蒼黒の魔力が吹き上がる。


 ◆


 観測者とレイ。


 ◆


 運命を決める戦いが、


 ついに始まろうとしていた。

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