第222章:受け継がれる記
蒼黒の光。
それは川のように流れ、
未来のレイから今のレイへと吸い込まれていく。
◆
「なっ……!」
レイが思わず目を閉じる。
頭の中に激しい衝撃。
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知らない記憶。
戦い。
絶望。
仲間との日々。
学院。
北の森。
王都地下。
そして――
ルミナス。
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次々と流れ込む。
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ミナと笑った日。
セラと調査した夜。
マリーナの失敗。
ガルドとの訓練。
アイリスの忠告。
◆
全部。
全部。
◆
「ぐあああああっ!!」
レイが膝をつく。
頭が割れそうだった。
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だが。
止まらない。
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そして。
最後に見えた。
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崩壊した未来。
燃える王都。
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倒れている仲間たち。
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ミナ。
セラ。
マリーナ。
ガルド。
アイリス。
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守れなかった未来。
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その中心で。
未来のレイは一人立っていた。
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『……ごめん』
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そこで映像は終わる。
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レイの目から涙がこぼれた。
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知らなかったはずの記憶。
でも。
今は分かる。
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あれは。
確かに自分だった。
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ゆっくり顔を上げる。
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未来のレイはもう立っていなかった。
身体は半透明になっている。
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「思い出したか」
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レイは静かに頷く。
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「全部じゃない」
「でも……」
拳を握る。
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「みんなとの記憶は戻った」
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ミナが目を見開く。
「……本当に?」
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レイは少し笑う。
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「心配かけたな」
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その瞬間。
ミナの目に涙が浮かぶ。
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「馬鹿」
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短い一言。
でも。
それだけで十分だった。
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未来のレイが満足そうに笑う。
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「それでいい」
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身体が崩れ始める。
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粒子になって消えていく。
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「待て!」
レイが手を伸ばす。
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未来のレイは首を振る。
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「俺は失敗した世界の残骸だ」
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「ここで終わる」
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そして。
最後に。
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「頼んだぞ」
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静かに笑う。
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「――俺」
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光となって消えた。
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沈黙。
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だが。
感傷に浸る時間はない。
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ドゴォォォォン!!
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巨大な扉が開く。
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黒い霧が爆発的に噴き出す。
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観測者。
最上位存在。
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その姿が完全に現れる。
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空間が歪む。
重力が狂う。
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ミナたちが思わず足を止める。
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しかし。
レイは一歩前へ出た。
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蒼黒の剣を握る。
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記憶。
経験。
戦い方。
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未来の自分から受け継いだ全て。
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そして。
守りたい仲間たち。
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「今度は」
静かな声。
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「失敗しない」
◆
蒼黒の魔力が吹き上がる。
◆
観測者とレイ。
◆
運命を決める戦いが、
ついに始まろうとしていた。




