第211章:二人のレイ
ドクンッ!!
巨大な扉が震える。
黒い霧が溢れ出す。
空間そのものが悲鳴を上げているようだった。
◆
そして。
扉の隙間。
そこから現れたのは――
影。
◆
人型にも見える。
だが違う。
輪郭が定まらない。
見ようとすると形が変わる。
◆
ミナが本能的に後退する。
「……なに、あれ」
◆
獣人の勘。
危険察知。
それが全力で警告している。
◆
逃げろ。
近づくな。
見るな。
◆
アイリスの声が震える。
「観測者……」
「それも……最上位」
◆
ユーノが顔面蒼白になる。
「ありえない」
「こんなの資料にもないぞ」
◆
未来のレイが苦笑する。
「そりゃそうだ」
「見た奴がほぼ全員死んだからな」
◆
レイは剣を握る。
心臓が速い。
怖い。
だが。
逃げる気にはなれなかった。
◆
「どうすればいい」
◆
未来のレイが答える。
「倒すんじゃない」
◆
剣を構える。
◆
「封じる」
◆
次の瞬間。
影が動いた。
◆
消えた。
◆
「っ!?」
カレンが反応する。
だが遅い。
◆
ドゴォォン!!
壁が吹き飛ぶ。
衝撃波。
全員が吹き飛ばされる。
◆
「きゃあっ!」
マリーナが転がる。
ガルドが咄嗟に庇う。
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レイも後ろへ弾かれる。
だが。
その前に。
◆
未来のレイが立っていた。
◆
蒼黒の剣。
一閃。
◆
ザァァン!!
空間ごと切り裂く。
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衝撃が相殺される。
◆
「見とけ」
未来のレイが言う。
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「これがお前の本来の戦い方だ」
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踏み込む。
消える。
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一瞬で影の横。
さらに後ろ。
さらに上。
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斬撃。
斬撃。
斬撃。
◆
空間に蒼い線が何本も走る。
◆
だが。
影は再生する。
◆
「効いてない!?」
ミナが叫ぶ。
◆
「効いてる」
未来のレイが答える。
「ただ足りない」
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その瞬間。
未来のレイの身体に亀裂。
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パキッ。
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肩が崩れる。
腕が砕ける。
◆
「っ……!」
◆
レイが目を見開く。
「おい!」
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未来のレイは笑う。
「だから言ったろ」
「限界だって」
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ドクン。
扉が脈打つ。
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さらに巨大な気配。
◆
未来のレイの顔から笑みが消える。
◆
「……来る」
◆
レイを見る。
真っ直ぐ。
◆
「お前に全部渡す」
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蒼黒の剣が光る。
◆
「俺の記憶も」
「戦い方も」
「失敗も」
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レイが目を見開く。
「待て――」
◆
未来のレイは首を振る。
◆
「時間切れだ」
◆
そして。
蒼黒の光が――
レイへ向かって流れ始めた。




