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ノヴァリアの魔導師〜転生したら全属性使いだった〜  作者: にゃふ
第20話:東方辺境都市編

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第211章:二人のレイ

ドクンッ!!


 巨大な扉が震える。


 黒い霧が溢れ出す。


 空間そのものが悲鳴を上げているようだった。


 ◆


 そして。


 扉の隙間。


 そこから現れたのは――


 影。


 ◆


 人型にも見える。


 だが違う。


 輪郭が定まらない。


 見ようとすると形が変わる。


 ◆


 ミナが本能的に後退する。


「……なに、あれ」


 ◆


 獣人の勘。


 危険察知。


 それが全力で警告している。


 ◆


 逃げろ。


 近づくな。


 見るな。


 ◆


 アイリスの声が震える。


「観測者……」


「それも……最上位」


 ◆


 ユーノが顔面蒼白になる。


「ありえない」


「こんなの資料にもないぞ」


 ◆


 未来のレイが苦笑する。


「そりゃそうだ」


「見た奴がほぼ全員死んだからな」


 ◆


 レイは剣を握る。


 心臓が速い。


 怖い。


 だが。


 逃げる気にはなれなかった。


 ◆


「どうすればいい」


 ◆


 未来のレイが答える。


「倒すんじゃない」


 ◆


 剣を構える。


 ◆


「封じる」


 ◆


 次の瞬間。


 影が動いた。


 ◆


 消えた。


 ◆


「っ!?」


 カレンが反応する。


 だが遅い。


 ◆


 ドゴォォン!!


 壁が吹き飛ぶ。


 衝撃波。


 全員が吹き飛ばされる。


 ◆


「きゃあっ!」


 マリーナが転がる。


 ガルドが咄嗟に庇う。


 ◆


 レイも後ろへ弾かれる。


 だが。


 その前に。


 ◆


 未来のレイが立っていた。


 ◆


 蒼黒の剣。


 一閃。


 ◆


 ザァァン!!


 空間ごと切り裂く。


 ◆


 衝撃が相殺される。


 ◆


「見とけ」


 未来のレイが言う。


 ◆


「これがお前の本来の戦い方だ」


 ◆


 踏み込む。


 消える。


 ◆


 一瞬で影の横。


 さらに後ろ。


 さらに上。


 ◆


 斬撃。


 斬撃。


 斬撃。


 ◆


 空間に蒼い線が何本も走る。


 ◆


 だが。


 影は再生する。


 ◆


「効いてない!?」


 ミナが叫ぶ。


 ◆


「効いてる」


 未来のレイが答える。


「ただ足りない」


 ◆


 その瞬間。


 未来のレイの身体に亀裂。


 ◆


 パキッ。


 ◆


 肩が崩れる。


 腕が砕ける。


 ◆


「っ……!」


 ◆


 レイが目を見開く。


「おい!」


 ◆


 未来のレイは笑う。


「だから言ったろ」


「限界だって」


 ◆


 ドクン。


 扉が脈打つ。


 ◆


 さらに巨大な気配。


 ◆


 未来のレイの顔から笑みが消える。


 ◆


「……来る」


 ◆


 レイを見る。


 真っ直ぐ。


 ◆


「お前に全部渡す」


 ◆


 蒼黒の剣が光る。


 ◆


「俺の記憶も」


「戦い方も」


「失敗も」


 ◆


 レイが目を見開く。


「待て――」


 ◆


 未来のレイは首を振る。


 ◆


「時間切れだ」


 ◆


 そして。


 蒼黒の光が――


 レイへ向かって流れ始めた。

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