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ノヴァリアの魔導師〜転生したら全属性使いだった〜  作者: にゃふ
第20話:東方辺境都市編

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第218章:もう一人のレイ

ギィィィィン!!


 警鐘が鳴り響く。


 宿の窓の外。


 街の人々が避難を始めていた。


 兵士が走る。


 結界装置が起動。


 ◆


 だが。


 部屋の中は静まり返っていた。


 ◆


『――もう一人の“レイ”がいる』


 その言葉。


 誰もすぐには理解できない。


 ◆


「……は?」


 ミナが最初に口を開く。


「どういうこと」


 ◆


 レイも混乱していた。


「いや」


「俺も知らない」


「今、頭に浮かんだだけで……」


 ◆


 ユーノが即座に分析モードになる。


「仮説を立てる」


 指を折る。


「記憶障害」


「未来視」


「境界干渉による人格分岐」


「並行存在」


「時間逆行」


「……どれも最悪」


 ◆


「最後怖すぎ」


 マリーナが引く。


 ◆


 エリシアが震える声で言う。


「待って」


「もし本当に……」


 レイを見る。


「地下にいるのが」


 少し言い淀む。


「三ヶ月前に残った“あなた”なら?」


 ◆


 空気が凍る。


 ◆


 レイの胸がざわつく。


 理由の分からない焦り。


 ◆


 ポケットの結晶が熱を持つ。


 ドクン。


 ドクン。


 ◆


 そして。


 黒い文字が変わる。


 ◆


 『急げ』


 『間に合わなくなる』


 ◆


 アイリスが顔を上げる。


「……来る」


 ◆


 ズンッ。


 街全体が揺れた。


 ◆


 窓の外。


 地面に黒いヒビ。


 空間が歪み始める。


 ◆


「侵食だ!」


 カレンが立ち上がる。


「もう始まってる!」


 ◆


 ガルドが拳を鳴らす。


「作戦どうする!」


 ◆


 ユーノが即答。


「二手に分かれる!」


「市街地防衛と地下調査!」


 ◆


 ミナが即レイを見る。


「レイは?」


 ◆


 沈黙。


 ◆


 レイはポケットの結晶を握る。


 頭の中。


 知らない記憶。


 地下通路。


 崩壊。


 そして。


 血だらけの自分。


 ◆


『……来るな』


『でも来い』


 矛盾した感覚。


 ◆


 レイが静かに言う。


「……地下に行く」


 ◆


「危険すぎる!」


 セラが止める。


「まだ記憶も戻ってない!」


 ◆


「でも」


 レイは苦笑する。


「俺が行かなきゃダメな気がする」


 ◆


 ミナが数秒黙る。


 そして。


 剣を肩に担ぐ。


「なら一人では行かせない」


 ◆


「当然」


 カレンも立つ。


「死にかけ管理係が必要でしょ」


「その呼び方ひどくない?」


 ◆


 アイリスも前へ。


「……私も行く」


「“もう一人”が本物なら危険」


 ◆


 エリシアが地図を開く。


「地下旧水路から、第零層へ繋がる隠し通路がある」


「ただし――」


 顔が曇る。


「戻ってきた人はいない」


 ◆


 外。


 再び大きな揺れ。


 ドゴォォン!!


 街の東側から黒い柱が空へ伸びる。


 ◆


 ユーノの顔が青ざめる。


「門の起動が始まってる」


「急げ!」


 ◆


 レイは剣を握る。


 記憶はない。


 でも。


 確信だけはある。


 ◆


 地下に。


 自分がいる。


 そして。


 その先に――


 “真実”が待っている。

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