第216章:辺境都市ルミナス
三日後。
東方辺境都市。
◆
巨大な城壁。
東方最大級の交易都市。
本来なら活気に満ちているはずだった。
だが――
静かだった。
妙に。
不自然なくらいに。
◆
「……なんか変」
ミナが小声で言う。
耳がぴくりと動く。
「人の気配少ない」
◆
確かに。
市場は開いている。
人もいる。
でも。
全員どこか怯えている。
視線が落ち着かない。
◆
兵士の数も多い。
門付近には結界装置。
警戒態勢。
◆
ガルドが眉をひそめる。
「戦争前みたいな空気だな」
◆
宿へ向かう途中。
噂が聞こえる。
『また消えたらしい』
『地下には近づくな』
『夜に声が聞こえる』
◆
レイの胸がざわつく。
知らないはずなのに。
この雰囲気。
どこか――
覚えがある。
◆
その時。
ズキッ。
頭痛。
一瞬。
脳裏に映る。
◆
崩れた街。
黒い空。
大量の侵食体。
そして――
倒れている誰か。
ミナ?
セラ?
見えない。
◆
「っ……!」
レイが足を止める。
「レイ?」
◆
「……大丈夫」
でも。
顔色は悪かった。
◆
宿到着後。
すぐに作戦会議。
◆
ユーノが地図を広げる。
「異常反応の中心は地下旧水路」
「ただ」
資料を置く。
「記録にない空間反応がある」
◆
レイが小さく言う。
「……第零層」
◆
全員が見る。
◆
「やっぱ気になる?」
ミナが聞く。
◆
レイは頷く。
「絶対そこに何かある」
「理由は分からない」
「でも」
少し真剣な顔。
「俺、そこ知ってる気がする」
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沈黙。
◆
アイリスが静かに言う。
「なら早めに動くべき」
「気配が悪化してる」
◆
その時。
コンコン。
扉が鳴る。
◆
「失礼します」
入ってきたのは。
ルミナス防衛隊の女性。
銀髪。
鋭い目。
◆
「私はルミナス防衛副隊長、エリシア」
軽く頭を下げる。
「あなた達を待っていました」
◆
だが。
彼女の視線がレイで止まる。
数秒。
固まる。
◆
「……嘘」
小さく呟く。
顔色が変わる。
◆
「どうして」
少し震えた声。
「あなたが……生きてるの?」
◆
部屋が静まり返る。
◆
レイが眉をひそめる。
「……え?」
◆
エリシアの表情が揺れる。
「三ヶ月前」
「あなたは――」
◆
言葉を止める。
そして。
震える声で言った。
「ここで死んだはずなのに」




