表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ノヴァリアの魔導師〜転生したら全属性使いだった〜  作者: にゃふ
第19話:王都編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
213/224

第212章:失われたままの一歩

 翌朝。


 王都の空は晴れていた。


 数週間ぶりに降り続いた雨も止み、窓から朝日が差し込んでいる。


 ◆


 レイは病室の窓際に立っていた。


 眼下には王都の街並み。


 人々の声。


 馬車。


 魔導列車。


 何もかもが初めて見る景色なのに――


 自分はここで戦っていたらしい。


 ◆


「……実感ないな」


 ぽつりと呟く。


 四週間眠っていた。


 転生後の記憶はない。


 仲間との思い出もない。


 戦いの記憶もない。


 ◆


 だが。


 傷跡だけは残っている。


 腹に残る大きな傷。


 右腕に残る薄い光のヒビ。


 そして――


 自分を見つめる仲間たちの目。


 ◆


 コンコン。


 病室の扉が開く。


「起きてたか」


 ミナだった。


 ◆


 レイは振り返る。


「おはよう」


「おはよう」


 少し気まずい。


 相手は自分をよく知っている。


 でも自分は覚えていない。


 ◆


 ミナもそれを分かっているのか、無理に距離を縮めようとはしなかった。


「身体は?」


「だいぶ動く」


「なら良かった」


 ◆


 少し沈黙。


 そしてレイは言った。


「……決めた」


 ◆


 ミナが顔を上げる。


「何を?」


 ◆


「思い出せなくても進む」


 静かな声だった。


 ◆


「記憶が戻るまで待つのも違う気がする」


「今の俺は今の俺だし」


「覚えてないなら、これから作ればいい」


 ◆


 ミナは数秒黙った。


 そして。


 ふっと笑う。


「それ」


「たぶん前のレイも言いそう」


 ◆


「そう?」


「うん」


 ◆


 その時。


 病室の扉が勢いよく開いた。


「レイーーーー!!」


 ◆


 マリーナだった。


 後ろにはセラとアイリス。


 さらに少し遅れてユーノ。


 ◆


「退院許可出たよ!」


「え」


「今日から自由!」


 ◆


 レイが目を丸くする。


「早くない?」


「四週間寝てたからね」


 ユーノが冷静に言う。


「むしろ長い」


 ◆


 セラが微笑む。


「ただし無理は禁止」


「その言葉、前にも言われた気がする」


「たぶん百回くらい」


 ミナが即答した。


 ◆


 全員が少し笑う。


 ◆


 その後。


 レイは正式に医療区画を出た。


 ◆


 王立中央魔導院。


 対観測者部隊本部。


 そこには既に新たな任務資料が積まれていた。


 ◆


 カレンが腕を組む。


「復帰初日で悪いけど仕事よ」


「ブラックすぎない?」


 レイが苦笑する。


 ◆


「王都地下の件は終わってない」


 アイリスが真面目な顔で言う。


「門も閉じてない」


「それに」


 ユーノが資料を机へ置く。


 ◆


 王国地図。


 そこには新しい赤い印があった。


 王都ではない。


 北方でもない。


 ◆


東方辺境都市ルミナス


 ◆


「三日前から異常観測反応が発生」


「規模は王都地下ほどじゃない」


「でも」


 ユーノの表情が曇る。


「反応パターンが似てる」


 ◆


 部屋の空気が変わる。


 ◆


 レイは資料を見る。


 知らない地名。


 知らない土地。


 でも。


 胸の奥が少しざわつく。


 ◆


「行くの?」


 マリーナが聞く。


 ◆


 レイは地図を見つめる。


 そして。


 静かに頷いた。


「行こう」


 ◆


 記憶はない。


 過去も曖昧。


 それでも。


 立ち止まる理由にはならない。


 ◆


 こうして――


 レイたちは新たな異変の地、


 東方辺境都市ルミナスへ向かうことになる。


 しかしその地には、


 王都地下で姿を消した黒衣の人物と、


 さらに大きな秘密が待ち受けていた。


 そしてレイ自身もまだ知らない。


 失った記憶の中に、


 世界の命運を左右する真実が隠されていることを――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ