表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ノヴァリアの魔導師〜転生したら全属性使いだった〜  作者: にゃふ
第19話:王都編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
212/224

第211章:空白の物語

 医療室。


 外はまだ雨。


 静かな夜。


 だが部屋の空気だけは、どこか落ち着かなかった。


 ◆


 レイはベッドに座りながら、目の前の面々を見る。


 知らない顔。


 知らない世界。


 でも――


 不思議と嫌な感じはしない。


 ◆


「……つまり」


 レイがゆっくり言う。


「俺、異世界転生したあとに色々あって」


「全部忘れたってこと?」


 ◆


 ユーノが頷く。


「簡潔に言えばそう」


「雑すぎ!」


 マリーナがツッコむ。


「もっと段階あるでしょ!」


 ◆


 ミナが椅子を前へ引く。


「じゃ、最初から」


 腕を組む。


 少し考えて。


「まず」


 レイを見る。


「君、転生してすぐから割と変だった」


「え?」


「いや褒めてない」


 ◆


「学院に入って」


 「色々事件起きて」


 「魔物暴走とか」


 「変な組織とか」


 「北の森で死にかけたり」


 ◆


 レイが真顔になる。


「……情報量」


「まだ序盤」


「序盤!?」


 ◆


 セラが少し優しく補足する。


「あなた、普通の人じゃなかったの」


「観測者っていう異常存在に干渉できた」


「普通の魔法じゃ対処できない相手」


 ◆


「で」


 ミナが指差す。


「それを君がどうにかしてた」


「俺が?」


「うん」


「めちゃくちゃ無茶しながら」


 ◆


 マリーナが勢いよく頷く。


「ほんとに危なかったんだよ!?」


「何回倒れたと思ってるの!」


「えぇ……」


 レイが若干引く。


(そんな無茶するタイプだったっけ俺……)


 ◆


 アイリスが静かに言う。


「北の森では」


「あなたが闇を払った」


「その代償で、長く眠った」


 ◆


 ミナが少し視線を逸らす。


「……四週間」


 小さく言う。


「ずっと起きなかった」


 ◆


 レイが固まる。


「四週間?」


「そんなに?」


 ◆


「で」


 ユーノが話を続ける。


「王都来て」


「地下で異常発生」


「君、新しい剣作った」


「剣?」


 ◆


 セラが棚から一本の布包みを持ってくる。


「これ」


 ゆっくり開く。


 そこにあるのは――


 蒼と黒が混ざった、不思議な剣。


 ◆


 レイが目を見開く。


「……これ」


 知らない。


 はずなのに。


 なぜか。


 胸がざわつく。


 ◆


 無意識に触れる。


 瞬間。


 ピシッ。


 淡く蒼い光。


 剣が、反応した。


 ◆


 全員が止まる。


 ミナが小さく笑う。


「覚えてなくても反応するんだ」


 ◆


 レイは戸惑う。


「俺……これ使ってたの?」


「めちゃくちゃ」


 カレンが腕を組みながら言う。


「化け物じみた使い方でね」


「褒めてる?」


「半分くらい」


 ◆


 アイリスが静かにレイを見る。


「でも最後」


「あなた、全部使った」


「身体壊しかけながら」


 ◆


 ミナが少し怒った顔。


「腹までやられたし」


「……え?」


 反射的に腹を見る。


 包帯。


 傷跡。


「マジか」


 ◆


 沈黙。


 レイは少し考える。


 そして。


「……なんか」


 小さく言う。


「ごめん」


 ◆


「なんで謝るの?」


 ミナが即返す。


「生きて戻っただけで十分」


 少しだけ。


 本当に少しだけ笑う。


「まぁ記憶飛んだのは腹立つけど」


 ◆


 部屋に少し笑いが戻る。


 でも。


 空白は、確かにある。


 ◆


 その時。


 レイの頭に。


 一瞬だけ映像。


 黒い空間。


 蒼い剣。


 誰かの声。


『……まだ終わってない』


 ◆


「っ……」


 レイが頭を押さえる。


「レイ!?」


 ◆


 ほんの一瞬。


 脳裏に浮かんだ。


 知らないはずなのに。


 自分の記憶みたいな感覚。


 そして。


 窓の外。


 誰かがこちらを見ている気配がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ