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ノヴァリアの魔導師〜転生したら全属性使いだった〜  作者: にゃふ
第19話:王都編

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第207章:傷を負って

 ドクン。


 地下最深部から響く脈動。


 空気が重い。


 いや――


 地下そのものが軋んでいる。


 ◆


 ユーノが魔導端末を見ながら顔を青くする。


「反応値が意味不明だ……」


「今までの十倍以上」


「十倍?」


 マリーナが引きつる。


「それ、笑えないやつでは?」


「全然笑えない」


 ◆


 ミナが剣を抜き直す。


「でも行くしかないでしょ」


 視線は前。


 暗い通路の奥。


 ◆


 レイも歩き出そうとする。


 だが。


 ピシッ。


「っ……!」


 右腕に走る痛み。


 光のヒビ。


 少しだけ広がっている。


 ◆


 アイリスが即止める。


「待って」


「その状態で前出るの危険」


「分かってる」


 レイは苦笑する。


「でも今休んでる余裕ない」


 ◆


 カレンが少し苛立った声を出す。


「無茶するタイプね、あんた」


「初対面でバレた」


「隠す気ないでしょ」


 ◆


 ミナが横へ来る。


 レイの肩を軽く叩く。


「一人でやろうとしない」


「前はあたし」


「無理そうなら引っ張る」


 少しだけ真面目な顔。


「倒れる前に言って」


 ◆


 レイは少し黙る。


 そして。


「……ありがと」


「珍しく素直」


「うるさい」


 ミナが笑う。


 ◆


 一行は前進を始める。


 地下深部。


 古い遺跡構造。


 壁には謎の文字。


 壊れた魔法陣。


 不自然な静けさ。


 ◆


 そのとき。


 空間が歪む。


 ボコッ。


 横壁から侵食体が飛び出す。


「左!」


 ◆


 ミナが即反応。


 ザンッ!!


 切り裂く。


 だが後ろ。


 もう一体。


「っ!」


 ◆


 レイが動く。


 剣を呼び出す。


 蒼い光。


 だが――


 少し遅い。


 ◆


 ザシュッ!!


「っ……!」


 腕を掠める。


 血。


 浅い。


 でも確実に入った。


 ◆


「レイ!」


 ミナが振り向く。


 カレンが即座に追撃。


 侵食体を切断。


 ◆


「平気」


 レイは傷を押さえる。


 だが呼吸が少し乱れる。


 剣の維持も重い。


 ◆


 アイリスが顔を曇らせる。


「侵食傷かもしれない」


「普通の傷じゃない可能性ある」


「最悪」


 レイが小さく息を吐く。


 ◆


 だが止まらない。


 さらに前へ。


 ◆


 道が狭くなる。


 崩れた石橋。


 その向こう。


 黒い霧。


 脈動。


 ◆


 ガルドが眉をひそめる。


「……なんか嫌な音するな」


 ◆


 ドクン。


 ドクン。


 まるで心臓。


 巨大な何かが呼吸している。


 ◆


 レイの耳にだけ。


 また声。


『……来るな』


 低い。


 深い。


 前のとは違う。


 もっと古い。


 ◆


 レイが足を止める。


「……誰だ」


「え?」


 ミナが見る。


「何か聞こえた?」


 ◆


 レイが前を見る。


 黒い霧の向こう。


 何かがいる。


 ◆


『……壊れるぞ』


 声。


 警告。


 でも敵意ではない。


 ◆


 その瞬間。


 黒霧が裂ける。


 巨大な“門”が姿を現す。


 異質。


 現実に存在してはいけない形。


 そして――


 その前に。


 人影。


 黒い外套。


 顔は見えない。


 ◆


 全員が止まる。


 カレンが剣を構える。


「……誰」


 ◆


 その人物が、ゆっくり顔を上げる。


 そして。


 真っ直ぐレイを見る。


「……遅かったな」


 ◆


 レイだけが凍る。


 その声。


 どこか――


 自分に似ていた。

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