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ノヴァリアの魔導師〜転生したら全属性使いだった〜  作者: にゃふ
第19話:王都編

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第206章:蒼き閃

 地下通路。


 崩壊しかけた空間。


 裂けた壁の向こうで、“目”が震えている。


『……危険度上昇』


『……優先排除対象――』


 その言葉が終わる前だった。


 ◆


 ドンッ。


 レイの姿が――消えた。


「……え?」


 ミナが目を瞬かせる。


 ◆


 次の瞬間。


 ザンッ!!


 黒い腕が、空中で断たれる。


 再生する前に。


 さらに。


 ザンッ!!


 ザンッ!!


 ザンッ!!


 蒼い斬光だけが、地下空間を駆け抜ける。


 ◆


「速っ……!」


 カレンが目を見開く。


 さっきまでとは違う。


 剣に“慣れてきている”。


 いや。


 剣がレイに馴染み始めている。


 ◆


 レイは地面を蹴る。


 空間を踏むように。


 一瞬で位置を変える。


 黒い侵食体の死角。


 真上。


 背後。


 壁際。


 次々と移動。


 ◆


「《境界歩法》……」


 アイリスが小さく呟く。


「まさか自然に……?」


 ◆


 レイは剣を振る。


「遅い」


 ザンッ!!


 侵食体の“核”だけを切る。


 再生前に崩壊。


 ◆


 さらに三体。


 腕が迫る。


 だが。


 ピシッ。


 空間干渉。


 一瞬だけ軌道がズレる。


「そこ」


 斬る。


 消える。


 ◆


 ミナが笑い始める。


「なにそれ!」


「急に主人公すぎ!」


「自分でもよく分からん!」


 レイも返しながら次を斬る。


 ◆


 ガルドが豪快に笑う。


「ははっ!前衛いらねぇじゃねぇか!」


「いや必要!」


 マリーナが即ツッコミ。


「全部任せたら倒れるでしょ!」


 ◆


 その通りだった。


 レイの呼吸は少しずつ荒くなる。


 剣の蒼い光が、不安定に揺れる。


 力は強い。


 だが負荷が大きい。


 ◆


 巨大な“目”が動く。


 空間が歪む。


 黒い槍が無数に展開。


『……排除』


 ◆


「レイ!」


 ミナが叫ぶ。


 だが。


 レイは静かだった。


 剣を握る。


 目を細める。


 ◆


(核……見えた)


 目の奥。


 深い場所。


 繋がっている点。


 ◆


「一気に行く」


 姿勢を低くする。


 蒼い光が足元へ走る。


 空気が震える。


 ◆


「《境界剣技・閃界連刃せんかいれんじん》」


 ◆


 ――消えた。


 次の瞬間。


 地下通路に蒼い軌跡だけが残る。


 ザンッ!!


 ザンッ!!


 ザンッ!!


 連続する斬撃。


 黒い槍が次々と崩れる。


 侵食体が消える。


 歪みが閉じる。


 ◆


 そして最後。


 巨大な“目”の前。


 レイが現れる。


「終わり」


 ◆


 一閃。


 ザァァンッ!!


 “目”が真っ二つに裂けた。


 沈黙。


 そして――


 黒い空間が、崩れ始める。


『……接続……断絶……』


 ◆


 ミナが剣を肩に担ぐ。


「強すぎでしょ」


 少し笑う。


 でもその目は少し心配そう。


「……大丈夫?」


 ◆


 レイが剣を消そうとした瞬間。


 ギィ……


 剣が不自然に震える。


 手に、痛み。


 ピシッ。


 腕に薄い光のヒビが走る。


「っ……」


 ◆


 アイリスの顔が変わる。


「まずい」


「使いすぎ」


 ◆


 そのとき。


 地下最深部から――


 ドクン。


 重い脈動。


 さっきとは比較にならない気配。


 ユーノが青ざめる。


「冗談だろ……」


「今倒したの、本当に前座だった」


 ◆


 地下のさらに奥。


 巨大な“門”のような反応が――


 ゆっくり開き始めていた。

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