第204章:創造の剣
地下通路。
崩れかけた空間。
歪む壁。
そして――
暗闇に浮かぶ巨大な“目”。
『……干渉核』
『……発見』
明確な敵意。
狙いは、レイ。
◆
空気が重い。
誰も動けない。
圧が違う。
北方の核より、もっと濃い。
もっと深い。
◆
ミナが一歩前へ出る。
「レイ、下がって」
剣を構える。
「今回はあたしが前やる」
◆
だが。
レイは動かなかった。
じっと“目”を見ている。
何かを感じていた。
頭の奥。
向こう側の感覚。
境界。
構造。
そして――
“形”。
◆
(……作れる)
ふと。
そんな感覚が走る。
理由は分からない。
でも理解してしまった。
今の自分なら。
“向こう側”の構造を、少しだけ使える。
◆
「……レイ?」
ミナが振り向く。
レイがゆっくり右手を上げる。
「ちょっと試す」
「は?」
◆
空気が変わる。
周囲の魔力が、レイへ集まり始める。
いや。
魔力だけじゃない。
“空間”そのものが揺れる。
ピシッ。
ヒビみたいな光。
◆
ユーノが目を見開く。
「待て……何してる」
リュシエルも息を呑む。
「まさか……創造?」
◆
レイの手の中。
何もない空間が、歪む。
黒と白の粒子。
そして蒼い光。
それが、少しずつ――
“剣の形”になる。
◆
ミナが呆然とする。
「……武器?」
◆
ギィィ……
金属ではない音。
でも剣。
長剣。
少し透明。
刃の内側に、淡い光が流れている。
柄には謎の紋様。
現実の武器じゃない。
どこか――
“境界側”の武器。
◆
レイが握る。
瞬間。
空気が震えた。
ドクン。
まるで剣が、生きているみたいに。
◆
「……重っ」
レイが眉をひそめる。
だが振れる。
感覚がある。
「使える」
◆
カレンが完全に警戒顔。
「それ、普通の魔法じゃないわよね」
「多分」
レイも苦笑する。
「初めてだから分からん」
「初見でやるな!」
ミナがツッコむ。
◆
その瞬間。
巨大な目が開く。
ドゴォッ!!
黒い腕が大量に飛び出す。
「来る!」
◆
ミナが飛び出そうとした。
だが。
レイが前へ。
「俺やる」
◆
剣を構える。
自然と分かる。
振り方。
通し方。
壊し方。
◆
「――っ」
一閃。
ザンッ!!
黒い腕が――
空間ごと切れた。
◆
沈黙。
誰も声が出ない。
壁ごと。
歪みごと。
“存在”そのものが断たれている。
再生しない。
◆
ユーノが珍しく動揺する。
「……あり得ない」
「観測侵食を斬った?」
◆
アイリスが静かに呟く。
「やっぱり……」
レイを見る。
「あなた、普通の干渉者じゃない」
◆
巨大な目が揺れる。
初めて。
明確に――
警戒した。
『……危険認定』
◆
レイは剣を見る。
淡く脈動している。
だが同時に。
手が少し震える。
負荷。
大きい。
◆
それでも。
レイは前を見る。
「……これなら」
剣を握り直す。
「やれる」
◆
ミナがニヤッと笑う。
「ならさ」
剣を肩に担ぐ。
「あたしも混ぜてよ」
◆
カレンも構える。
ガルドが拳を鳴らす。
アイリスが目を閉じる。
◆
王都地下。
異常存在。
そして――
レイが初めて創り出した“境界の剣”。
戦いが、始まる。




