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ノヴァリアの魔導師〜転生したら全属性使いだった〜  作者: にゃふ
第19話:王都編

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第201章:中央招集

数日後。


 王都行きの列車は、雪原を抜けて南へ走っていた。


 窓の外を流れる景色を眺めながら、ミナがぼそっと言う。


「……でっか」


 遠く。


 巨大な城壁が見えてくる。


 王都アルディア


 王国最大の都市。


 政治、軍事、魔術、経済――

 すべての中心。


 ◆


「緊張してる?」


 マリーナが聞く。


「してない」


 即答。


 だが尻尾は少し落ち着きなく揺れている。


 レイが横で笑う。


「分かりやすいな」


「うるさい」


 ◆


 列車が減速する。


 ホームには、既に兵士たちが並んでいた。


「歓迎って感じじゃないね」


 ミナが小声で言う。


「警戒されてる」


 リオンが短く返す。


 ◆


 扉が開く。


 王都の空気は、北方と違った。


 人が多い。


 音が多い。


 熱量がある。


 だがその裏に――


 妙な緊張感。


 ◆


「学院所属の遠征隊だな」


 迎えに来ていたのは、王国直属の騎士。


 白銀の装備。


 鋭い視線。


「案内する」


 愛想はない。


 ◆


 王都内部。


 巨大な街並み。


 高層魔導塔。


 複雑な水路。


 魔導式交通路。


 マリーナが完全にきょろきょろしている。


「すご……」


「田舎者丸出し」


 ミナが笑う。


「ミナも見てたじゃん」


「見てないし」


 レイが苦笑する。


 ◆


 やがて。


 一行は中央区へ到着する。


 そこにあったのは――


 巨大な白い建造物。


「王立中央魔導院」


 セラが静かに言う。


「王国最高機関の一つ」


 ◆


 中へ入る。


 空気が変わる。


 静かだ。


 だが鋭い。


 ここにいる人間全員が、“何か”を知っている。


 そんな感覚。


 ◆


 案内されたのは、円形会議室。


 扉が開く。


 中には既に複数人。


 軍。


 魔術師。


 研究者。


 そして――


 王国上層部。


 ◆


「来たか」


 低い声。


 中央席に座る老人が、レイたちを見る。


「北方遠征隊」


 その視線は、真っ直ぐレイへ向いた。


「特に君だ」


 ◆


 レイは少し眉をひそめる。


「……何か?」


 老人は静かに言う。


「君は、“向こう側”を見たな?」


 空気が止まる。


 ◆


 ミナが即座に警戒。


 セラも目を細める。


 だが老人は続ける。


「安心しろ」


「責めるつもりはない」


「むしろ逆だ」


 ◆


「我々は、君を必要としている」


 ◆


 沈黙。


 レイの目が細くなる。


「……どういう意味だ」


 ◆


 老人が指を鳴らす。


 部屋中央に、立体魔法陣が展開。


 王国全土の地図が浮かぶ。


 そこには――


 無数の赤い光点。


「っ……」


 マリーナが息を呑む。


「こんなに……?」


 ◆


「観測異常は増加している」


 老人が淡々と続ける。


「北方だけではない」


「西部海域」


「地下遺跡」


「旧帝国領」


「王都地下」


 次々と赤い点が灯る。


 ◆


「そして」


 老人の声が低くなる。


「通常の魔導士では対処できない段階に入った」


 その言葉の意味。


 全員が理解する。


 ◆


 レイが静かに聞く。


「……だから俺?」


「そうだ」


 即答。


「干渉者」


 その単語に、会議室の空気が揺れる。


 ◆


 ミナが前に出る。


「ちょっと待って」


「レイを便利道具みたいに扱う気?」


 鋭い声。


 一部の騎士が反応する。


 だが老人は冷静だった。


「違う」


「彼は既に中心にいる」


 ◆


 レイの背筋に冷たいものが走る。


「中心……?」


 老人は地図を見る。


「観測者は、君を認識している」


「そして」


 静かに告げる。


「君を通して、“こちら側”へ干渉し始めている」


 ◆


 部屋が静まり返る。


 セラが小さく呟く。


「……そんな」


 リュシエルも顔を曇らせる。


「進行が早すぎる」


 ◆


「だから時間がない」


 老人が立ち上がる。


「王国は、対観測者組織を正式に編成する」


「その初動部隊として――」


 視線が集まる。


 レイたちへ。


「君たちに参加してもらいたい」


 ◆


 王都。


 国家。


 世界。


 全てが、動き始める。


 そしてレイは理解する。


 もう戻れない。


 これは学院の事件じゃない。


 世界規模の戦いだ。


 ◆


 その瞬間。


 レイの耳にだけ――


 声が響く。


『……見つけた』


 ゾワッ。


 背筋が凍る。


 誰にも聞こえていない。


 だが確かに。


 “向こう側”が近づいている。

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