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ノヴァリアの魔導師〜転生したら全属性使いだった〜  作者: にゃふ
第18話:北方遠征編

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第195章:白に侵される森

出発の日。


 学院の空は、まだ完全には元に戻っていなかった。


 薄く残る歪み。


 見上げれば、どこか“向こう側”を感じる空。


「……気持ち悪いね」


 ミナがぼそっと言う。


「慣れない方がいいやつだな」


 レイも短く返す。


 ◆


 学院正門。


 遠征隊は最小構成。


 レイ、ミナ、セラ、マリーナ、リオン、リュシエル。


 そして補給用の簡易装備。


「今回の目的は二つ」


 リュシエルが淡々と説明する。


「北方で確認された最大規模の歪みの調査」


「及び、侵入体の排除」


「シンプルだね」


 マリーナが苦笑する。


「その分、危険です」


 セラが付け加える。


「観測波の強度は、学院以上」


 ミナが笑う。


「いいじゃん」


 剣を担ぐ。


「強い方が燃える」


 ◆


 数日後。


 北方領域。


 空気が変わる。


 冷たい。


 鋭い。


 そして――


 静かすぎる。


「……音がない」


 レイが呟く。


 鳥の声も、風のざわめきも弱い。


「生態系が乱れてる」


 セラが周囲を見回す。


 そして一歩、森へ入る。


 ◆


 そこは“白い森”だった。


 雪ではない。


 木々が、白く変色している。


 葉も幹も、色を失っている。


「なにこれ……」


 マリーナが触れようとする。


「待って」


 セラが止める。


「魔力反応がおかしい」


 ミナが鼻をひくつかせる。


「……匂いも変」


「どんな?」


「空っぽの匂い」


 レイが眉をひそめる。


「それ、あいつらと同じか」


「近い」


 ミナは頷く。


 ◆


 さらに奥へ進む。


 白が濃くなる。


 地面まで色が抜け始める。


 そのとき。


 リオンが止まる。


「……前方」


 全員が構える。


 白い木の間。


 何かが立っている。


 人影。


 だが動かない。


「……生きてる?」


 マリーナが小さく言う。


 近づく。


 そして全員が息を呑む。


 それは――


 白く変色した人間だった。


 目は閉じている。


 だが立っている。


「これ……」


 セラの声が震える。


「生体反応が……ある」


「でも動かない」


 ミナが眉をひそめる。


 その瞬間。


 カチッ。


 小さな音。


 レイの背筋が凍る。


「下がれ!」


 叫ぶ。


 次の瞬間。


 その“人”が目を開いた。


 真っ白な瞳。


 そして――


 ドン!!


 異常な速度で襲いかかる。


「っ!」


 ミナが反応。


 ガキィン!!


 剣で受け止める。


「重っ!」


 だが止める。


 リオンが横から斬る。


 ザン!!


 だが血は出ない。


 白い粒子が散る。


「これ……」


 セラが叫ぶ。


「人じゃない!」


 ◆


 そのとき。


 森の奥。


 パキッ。


 パキッ。


 同じ音。


 次々と。


 マリーナが青ざめる。


「……ねぇ」


「嫌な予感するんだけど」


 白い木々の間。


 無数の影が立ち上がる。


 全部――


 “元は人だったもの”。


 ミナが苦笑する。


「……ゾンビ系?」


「違う」


 レイが低く言う。


「侵食されてる」


 白い存在に。


 ◆


 その瞬間。


 森の奥から、強い圧。


 空気が変わる。


 セラが息を呑む。


「これ……中心に何かいる」


 リュシエルも頷く。


「歪みの核です」


 レイが拳を握る。


「まずはここ突破だ」


 ミナが笑う。


「了解」


 剣を構える。


「じゃあ」


 一歩踏み出す。


「白い森、攻略開始だね」


 無数の白い存在が、こちらへ動き出す。

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