第192章:境界の決戦
最近、忙しすぎて書けてませんでした。少しずつ復帰します
中庭。
崩れた石畳の上に立つ、巨大な影。
中核個体。
その存在だけで、空気が重い。
ミナが笑う。
「いいじゃん」
剣を回す。
「やっと本番って感じ」
レイも一歩前へ出る。
「全員で行くぞ」
◆
中核個体が動いた。
ドン!!
一歩踏み込むだけで地面が砕ける。
四本の腕が、一斉に振り下ろされる。
「散開!」
リュシエルの指示。
全員が一斉に散る。
ドォォン!!
衝撃波が走る。
◆
「いくよ!」
ミナが最初に突っ込む。
残像を引く速度。
ザンッ!!
腕を斬る。
だが――
再生が速い。
「やっぱ硬い!」
だが止まらない。
連続で斬り刻む。
ザン、ザン、ザン!!
少しずつ、コアの位置を露出させる。
◆
「援護する!」
マリーナが詠唱。
「爆炎集中!」
巨大な火球が生成される。
ドォン!!
直撃。
影の身体が大きく歪む。
「今!」
◆
セラが魔法陣を展開。
「拘束強化!」
通常より強い拘束。
中核個体の動きが一瞬鈍る。
◆
リオンが踏み込む。
最短距離。
最速の一撃。
ズバッ!!
コアに浅く傷を入れる。
「浅い……!」
だが確実に届いている。
◆
レイが手を上げる。
空間が歪む。
干渉。
観測。
そして――
「そこだ」
バン!!
コアに衝撃。
だが――
砕けない。
「……硬すぎる」
◆
その瞬間。
中核個体が吠える。
『……干渉……排除……』
四本の腕が暴れる。
拘束が砕ける。
ドォン!!
衝撃で全員が吹き飛ばされる。
「くっ……!」
レイが地面に転がる。
ミナも受け身を取る。
「これ、普通にやっても削り切れないね」
セラが息を切らす。
「コア強度が異常……!」
◆
そのとき。
空が光る。
学院中央塔。
巨大魔法陣が完成する。
エルドの声が響く。
『照準固定』
空に、無数の光線が集まる。
そして――
『撃て』
ドォォォン!!!
極大魔導砲撃が中核個体に直撃する。
爆発。
衝撃。
光が全てを飲み込む。
◆
煙が晴れる。
中核個体は――
立っていた。
「……マジ?」
ミナが引く。
だがダメージはある。
身体の半分が崩れている。
コアが、はっきり見えた。
◆
その瞬間。
レイの中で、何かが弾けた。
ドクン。
心臓の音が、異様に大きくなる。
世界が、静かになる。
音が遠い。
視界が澄む。
境界が、見える。
「……ああ」
小さく呟く。
「そういうことか」
手を上げる。
空間が歪む。
今までとは違う。
もっと深い。
もっと明確。
「レイ……?」
ミナが気づく。
雰囲気が変わっている。
レイの目が、淡く光る。
「全部、見えてる」
中核個体。
コア。
構造。
そして――
存在の繋がり。
「これなら」
一歩踏み出す。
◆
中核個体が動く。
だが。
レイが手を振る。
ピタッ。
動きが止まる。
「……は?」
ミナが固まる。
レイが、静かに言う。
「終わり」
手を握る。
パキッ。
音がした。
それだけ。
次の瞬間。
バンッ!!
コアが内側から砕けた。
中核個体が崩れる。
完全消滅。
◆
静寂。
誰も動けない。
ミナがぽつり。
「……えぐ」
マリーナも呆然。
「今のなに……」
セラが震える。
「干渉……じゃない……」
リュシエルが低く言う。
「……上位干渉」
◆
その瞬間。
レイの身体が揺れる。
「……っ」
膝をつく。
ミナが駆け寄る。
「レイ!?」
呼吸が荒い。
視界が揺れる。
「大丈夫……じゃないな……」
苦笑。
次の瞬間。
ドサッ。
倒れる。
「レイ!!」
◆
そして。
空。
亀裂が――
さらに広がる。
さっきより明確に。
その奥。
複数の光点。
静かに、こちらを見ている。
リュシエルが呟く。
「……まずい」
セラも青ざめる。
「今の力で……完全に認識された……」
ミナがレイを抱き起こす。
「最悪じゃん……」
だが笑う。
「でもさ」
空を見る。
「勝ったのはこっちだよね」
確かに。
中核個体は消えた。
防衛戦は、勝利。
だが――
戦いは終わっていない。
むしろ。
本格的に始まった。
空の亀裂。
その向こう側。
“観測者たち”が、静かに動き始める。




