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ノヴァリアの魔導師〜転生したら全属性使いだった〜  作者: にゃふ
第17話:学院編

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第189章:観測の向こう側

 動きを止められた干渉体の群れ。


 それはまるで、標的だった。


「いくよ!」


 ミナが最初に動く。


 ドン!!


 一気に距離を詰める。


 固定された干渉体の懐へ潜り込み――


 ザンッ!!


 コアを正確に断つ。


 一体、消滅。


「次!」


 そのまま横へ跳ぶ。


 連続斬撃。


 ザン、ザン、ザン!!


 影が次々と崩れていく。


 ◆


「拘束維持、あと十秒!」


 リュシエルが叫ぶ。


 魔法陣の光が強まる。


 だがその分、負荷も大きい。


 額に汗が浮かぶ。


 セラが即座に補助。


「魔力供給する!」


 回路に干渉し、出力を安定させる。


 リュシエルが小さく頷く。


「助かります」


 ◆


 リオンは無駄がない。


 一歩。


 踏み込み。


 ズバッ。


 一体。


 振り返りざまに、もう一体。


 正確にコアだけを切り落とす。


「残り、半数以下」


 冷静な報告。


 ◆


 マリーナは後方から支援。


「いくよ!」


 火球を圧縮。


 ドォン!!


 固定された干渉体に直撃。


 爆発と同時に、コアが露出。


「今!」


 レイが手をかざす。


 ピシッ。


 空間が歪む。


 バン!!


 コアが内側から砕けた。


「ナイス連携!」


 マリーナが笑う。


 ◆


 そして。


 最後の一体。


 ミナが軽く息を吐く。


「終わり」


 踏み込み。


 ザンッ!!


 コアごと真っ二つ。


 黒い粒子が、ゆっくりと空間に消えていく。


 静寂。


 ◆


「……終わった?」


 マリーナが呟く。


 リュシエルがゆっくり手を離す。


 魔法陣の光が消える。


「はい。一時的には――」


 その瞬間だった。


 ピシッ。


 空間に、亀裂。


 全員の動きが止まる。


「……今の」


 セラが顔を上げる。


 ピシッ。


 また一つ。


 今度は、はっきり見える。


 空間が――


 割れている。


 レイの心臓が強く打つ。


「来る」


 低く呟く。


 ミナが剣を握り直す。


「まだ終わりじゃない感じ?」


「むしろここからだ」


 レイの声は静かだった。


 ◆


 亀裂が広がる。


 ゆっくり。


 だが確実に。


 その向こう側――


 “何か”がいる。


 さっきまでの干渉体とは違う。


 質が違う。


 重さが違う。


 観測の“密度”が違う。


 リュシエルの声が、わずかに震える。


「……本体反応」


「え?」


 マリーナが振り向く。


「本体って」


 答えは、すぐに来た。


 亀裂の奥。


 光点が、一つ。


 ゆっくりと開く。


 それだけで分かる。


 格が違う。


 セラが小さく呟く。


「……これが」


 レイも、目を離せない。


「観測者側の存在……」


 光点が、こちらを見る。


 その瞬間。


 全員の身体が重くなる。


「っ……!」


 ミナが膝をつきかける。


「なにこれ……重……!」


 リオンでさえ、動きが鈍る。


 マリーナが息を詰まらせる。


「魔力……押されてる……」


 違う。


 これは魔力じゃない。


 存在そのものが押し潰されている。


 レイだけが、かろうじて立っていた。


 光点が、ゆっくりと揺れる。


 声が、響く。


『……確認』


 それは、言葉というより。


 認識。


『……干渉者候補』


 レイの背筋に冷たいものが走る。


 ミナが叫ぶ。


「レイ、下がって!」


 だが動けない。


 光点が、さらに開く。


『……適合度……上昇』


 空間が軋む。


 観測層全体が震える。


 リュシエルが叫ぶ。


「まずい!このままじゃ――」


 その瞬間。


 レイの中で、何かが“噛み合った”。


 あの感覚。


 境界。


 観測。


 干渉。


 レイは、一歩踏み出す。


「……やめろ」


 静かな声。


 だが空間が反応する。


 ピシッ。


 亀裂が、一瞬止まる。


 光点が揺れる。


『……応答……』


 レイの目が、わずかに光る。


「ここは俺たちの世界だ」


 手を上げる。


 空間が歪む。


「勝手に入ってくるな」


 バンッ!!


 亀裂が一瞬、閉じかける。


 だが。


 光点が強く輝く。


『……興味……確定』


 その瞬間。


 亀裂が、さらに広がった。


 ミナが叫ぶ。


「最悪じゃん!!」


 レイは歯を食いしばる。


 止めきれない。


 これはまだ、力が足りない。


 そして理解する。


 これは――


 “ボス”ですらない。


 ただの“視線”。


 それだけでこの圧。


 リュシエルが叫ぶ。


「撤退を!今すぐ!」


 セラも頷く。


「ここは持たない!」


 レイは、最後にもう一度だけ空間を見る。


 光点が、じっと見ている。


 まるで。


 観察対象を見つけた研究者のように。


 レイは小さく呟く。


「……覚えた」


 そして振り向く。


「戻るぞ!」


 全員が一斉に動く。


 旧式観測層からの撤退。


 だがその背後で――


 亀裂は、まだ閉じていなかった。

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