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ノヴァリアの魔導師〜転生したら全属性使いだった〜  作者: にゃふ
第17話:学院編

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第186章:干渉体

旧式観測層。


 扉の向こうは、想像していた研究室とは違っていた。


 広い。


 異様なほど広い。


 天井は見えず、床には巨大な魔法陣が刻まれている。


 それも一つではない。


 何十、何百という紋様が重なり合い、

 巨大な観測回路を形成している。


「……これ全部、装置?」


 マリーナが息を呑む。


「ええ」


 セラが周囲を見回す。


「学院一つ分の観測設備……」


「いや」


 リュシエルが静かに言う。


「これは“学院”の装置ではありません」


 その瞬間だった。


 空気が、歪んだ。


 ピシッ。


 まるでガラスに亀裂が入る音。


 レイの背筋が凍る。


「……来る」


 ミナがすぐ剣を抜く。


「やっとか」


 次の瞬間。


 空間の一点が、黒く沈んだ。


 そこから――


 何かが落ちてくる。


 ドン。


 床に影が広がる。


 だが、形が定まらない。


 黒い霧のようなものが、ゆっくりと人型に近づいていく。


「……あれ、魔物?」


 マリーナが呟く。


 セラは首を振る。


「違う」


 声が低い。


「魔力構造が存在しない」


 それは異常だった。


 この世界の生物は、必ず魔力構造を持つ。


 だがそれは――


 空っぽ。


 なのに、存在している。


 影が、ゆっくりと頭を上げた。


 顔の位置に、光点が一つ。


 それが、レイを見た。


 ゾワッ。


 空間の向こうの“視線”が一気に濃くなる。


「……観測」


 レイが呟く。


 影が動いた。


 瞬間。


 ドン!


 床が爆ぜる。


「速っ!?」


 ミナが飛び退く。


 影が、もう目の前にいた。


 拳が振り下ろされる。


 レイは反射で腕を上げる。


 ドォン!!


 衝撃。


 体が後ろへ弾かれる。


「ぐっ……!」


 壁に叩きつけられる寸前、ミナが腕を掴んだ。


「レイ!」


「大丈夫……」


 だが重い。


 ただの一撃で腕が痺れる。


「物理強度、異常」


 リオンが短く言う。


 剣を抜く。


 次の瞬間。


 影が再び消えた。


「どこ!?」


 マリーナ。


「上!」


 リュシエルが叫ぶ。


 天井の闇から、影が落ちてくる。


 リオンが剣を振る。


 ギィン!!


 火花。


 刃が止められた。


「硬い……!」


 その瞬間、セラが魔法を放つ。


「拘束陣!」


 青い魔法陣が床に広がる。


 鎖のような光が影を縛る。


 だが。


 パキン。


 あっさり砕けた。


「嘘でしょ!?」


「魔法干渉無効……!」


 セラの声が震える。


 影が、ゆっくりと首を傾けた。


 そして。


 口のないはずの顔から、音が出る。


 ノイズのような声。


『……干……渉……』


 全員が凍る。


 影が、レイを指差した。


『……確認……対象……』


 空間の奥の視線が、さらに強くなる。


「やっぱり俺か」


 レイが苦笑する。


 影が、一歩踏み出す。


 瞬間。


 レイは目を閉じた。


 あの感覚。


 境界。


 観測。


 干渉。


 胸の奥の力が、わずかに揺れる。


 影が突進する。


 その瞬間。


 レイの周囲の空気が、静かに歪んだ。


 ピタッ。


 影の動きが止まる。


「……え」


 ミナが目を見開く。


 影の拳が、レイの顔の数センチ前で止まっている。


 レイは、ゆっくりと目を開けた。


「観測してるんだろ」


 静かな声。


「なら見ろ」


 手を、軽く振る。


 その瞬間。


 バンッ!!


 影の体が、横へ吹き飛んだ。


 床を滑り、壁に激突する。


 全員が凍りつく。


 セラが震える声で言う。


「……今の、何?」


 レイ自身も、少し驚いていた。


「分からない」


 正直に答える。


「でも――」


 影が、ゆっくりと起き上がる。


 壊れていない。


 むしろ。


 光点が、強く輝いている。


『……干渉……確認……』


 次の瞬間。


 影の体が変形し始めた。


 腕が増える。


 背中が膨らむ。


 空間が歪む。


 リュシエルが低く言う。


「……進化している」


 ミナが笑う。


「いいね」


 剣を構える。


「じゃあ、こっちも本気出そうか」


 旧式観測層の中央。


 干渉体との戦闘が本格的に始まる。

ここしばらく出ますので

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