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ノヴァリアの魔導師〜転生したら全属性使いだった〜  作者: にゃふ
第17話:学院編

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第184章:封印解除

 学院地下。


 普段は立ち入り禁止の保管階層を、さらに三層降りた場所。


 空気が重い。


「……ここ、学生が来る場所じゃないよね」


 ミナが壁を触る。


 石ではない。

 古い魔導合金だ。


「旧式観測層は、学院創設時の施設」


 リュシエルが説明する。


「今の理論が確立する前、

 “世界そのものを測る”ために作られた」


「それってつまり」


 マリーナが呟く。


「かなり危ない研究」


「ええ」


 否定しない。


 ◆


 やがて通路の先に、巨大な扉が現れた。


 高さは三メートル以上。


 表面には複雑な魔法紋様が刻まれている。


 中央には円形の封印装置。


「これが……」


 セラが息を呑む。


「旧式観測層の封印」


 リオンが周囲を確認する。


「警備は?」


「形式上は私が全権管理しています」


 リュシエルが淡々と答える。


「つまり、誰も止めに来ない」


「止められない、が正しいですね」


 ◆


 レイは封印装置の前に立つ。


 紋様が、微かに反応している。


「……俺を認識してる」


「干渉保持者だからでしょう」


 セラが分析する。


「旧式観測装置は、

 “境界に触れる魔力”に反応する」


 ミナが腕を回す。


「で?どうやって開けるの」


 リュシエルが羊皮紙を広げる。


「封印解除は三段階」


 指で順に示す。


「第一、観測鍵の供給」

「第二、封印回路の同期」

「第三、遮断結界の解除」


「長い」


 ミナが即答。


「つまり」


 セラがまとめる。


「レイの魔力が鍵」


「ええ」


 リュシエルは頷く。


「ただし」


 目が少しだけ鋭くなる。


「封印が解ける瞬間、学院全体の魔力網が揺れます」


「揺れるって?」


 マリーナ。


「観測波が広がる」


 短く言う。


「つまり、向こうにも分かる」


 沈黙。


 レイは扉に手を置く。


「もう知られてる」


 昨夜の接触。


「なら同じだ」


 ミナが笑う。


「だったら派手にやろう」


 ◆


「始めます」


 リュシエルが結界を展開する。


 青白い光が扉の周囲に広がる。


 セラとマリーナが魔力回路を調整。


 リオンは周囲警戒。


 ミナは――


「暇」


「黙ってて」


 セラが即ツッコミ。


 ◆


 レイは、ゆっくり目を閉じる。


 呼吸を整える。


 あの“透明な感覚”を呼び起こす。


 空間の境界。


 魔力の流れ。


 そして――


 観測される感覚。


「……来る」


 小さく呟く。


 手から魔力を流す。


 封印紋様が、淡く光り始めた。


 ブゥン――


 低い振動。


 地下通路全体が揺れる。


「第一段階クリア!」


 マリーナが叫ぶ。


 だが同時に。


 学院上空。


 魔力観測塔の水晶が一斉に光った。


 ◆


 学院地上。


 学生たちがざわつき始める。


「今の何?」


「魔力波?」


「地震じゃないよな」


 塔の上階。


 学院長エルドが静かに立っている。


「……始めたか」


 遠くを見る。


 その視線の先。


 空の一部が、ほんの僅か歪んだ。


 ◆


 地下。


 封印紋様が、さらに輝く。


「第二段階!」


 セラの声。


 魔法陣が回転し始める。


 ギィィィ……


 巨大な扉が、少し動いた。


 その瞬間。


 レイの背筋が凍る。


「……来た」


「何が?」


 ミナ。


「観測」


 空間の向こう側から。


 明確な“視線”。


 数じゃない。


 質が違う。


 重い。


 深い。


 そして――


 興味を持っている。


「……ねぇ」


 ミナが天井を見る。


「これ、向こうも見てない?」


 リュシエルが小さく答える。


「見ています」


 短い沈黙。


 そしてミナが笑う。


「いいじゃん」


 拳を鳴らす。


「見せてあげようよ」


 ギィィィ……


 扉が、さらに開く。


 暗い空間が、向こうに広がる。


 旧式観測層。


 世界の境界を測ろうとした場所。


 そして今――


 境界の向こう側も、こちらを見ている。


 封印は、もうすぐ完全に解ける。

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