ボクの心(1)
誤字・脱字などがありましたらお伝え下さい
ここに来て一週間たった
その間ボクは直属としての仕事を………していない
庭園見たり図書室行ったり
そんなことしかしてない
いや、してないというより仕事がない!
これでは貸し借りなしの関係が…!
「グラス様、今日はどうなさいますか?」
「今日は…帝王様……会いに、いく」
「承知いたしました」
「あと…」
「?」
「ボクのこと…シャルって…呼んで…」
「っ!?」
フィリーシャさんに会ってまだ一週間
今世が混ざって薄まっているとはいえボク本当に人見知り?って思うぐらい心をひらいているつもりだ
フィリーシャさんっていつもニコニコしてるけど皇子様みたいに裏がなくて、信頼できる
そう思ってフィリーシャさんに言ったのだが…
返事がない
「いや…だった…?」
嫌なのかな?
それならしょうがない、か…
少しつらいけど…
フィリーシャさんはいまだに返事がない
見るとなにかにもだえていた
「え!?…あの……大丈夫、ですか…?」
「え、いえ!嫌じゃありません!大丈夫です!……可愛いの過剰摂取をしてしまっただけで……」
ん?大丈夫のあとが聞き取りづらかった
何言ったのだろうか?
でもまあ大丈夫ならいいか
嫌じゃなくてよかった
「では私のことはフィと」
「フィ…?」
「はい!シャル様!!」
なんだろう…誰かに似ている…
雰囲気的に似ている…
そう、サフィアに……
………うん、思い出さないようにしよう
復讐心にのまれてしまうから
「では朝食後皇帝陛下のもとに案内いたします」
「えっ?…許可とか、いいの…?」
皇帝だよ?
気安く行ったらだめなんじゃ…
行きたいとは言ったけど
「許可はもうでております!皇帝陛下がいつでも来て良い、と」
それでいいの?
帝王様…
◇◆◇
「ねぇ、あれって……」
「えぇ、あの…」
視線が痛い
予想はしてたけどやっぱり視線が多い
意識を保つのに手一杯だ
こんなに人間がいるとは…
それに目線の多くはけっして良いものではない
裏があるような…というか思いっきり嫌なヤツだ
ボクに対して不満があるのだろうか
でもまぁ、こういう目線は慣れている
前世でよく感じた目線だから
心という心をすべて消して帝王様のものに向かった
◇◆◇
「シャルティア・メアリー・グラス様のおなりです」
そう言って扉を開けてくれたのは近衛兵
図書室の本に載ってあった
見分け方はマントだ
普通の兵とは違い近衛兵は月とフェンリルを象った刺繍を銀の糸でほどこしている
近衛兵の刺繍の意味は唯一皇族だけに忠誠を誓う、ということらしい
神にだけ忠誠を誓うフェンリルにならって作られたのだろう
扉が開いた先は豪華ではないが一つ一つのものが高級品だと分かるようなものが沢山あり、でも実用的そうな執務室だった
「よく来たな、シャルティア」
・・・誰?
ボクは目の前にいる人が分からずにいた
いや、帝王様だとは分かるけど…
「ん?どうした……あぁ、これが本当の姿なんだ」
本当の?……あ!
ボクと一緒だった時は髪と目の色を変えてたんだった
あのときは髪も目も茶色だった
けど今は違う
皇子様と同じ銀の髪にベニトアイトのような美しい深い蒼の瞳が煌いていた
皇子様は金だから皇后様が金なのかな?
それにしても帝王様のキラキラ度が以前よりも増している
髪と目の色が違うだけで?
いや、威厳も増して服装も皇族の服だからか
こういう姿を見ると皇帝陛下なんだなって思うし、なにより心臓が痛い
そんなことを考えているとふと視線を感じた
嫌な予感をしながらも帝王様の横を見た
「皇子様…」
ほんと、呪われているのだろうか
神秘の結晶の名を持っているのに…
帝王様に驚きすぎて気づかなかった
皇子様がいるならここにいないほうがいいかな?
「ボク…でなおし、ます…」
フィを連れて部屋を出ようとした
なるべく悟らせないように
……しかし
「待ってくれ!なぜ私から逃げる…!」
皇子様に腕を掴まえられ止められた
悟らせないように、は無理か
これじゃ逃げようにも逃げれない
帝王様の前だから手荒なまねもできないし…
皇子様の表情は珍しく貼り付けた笑顔ではない
少し焦った顔だった
「えっと…」
この状況、どうする?
「クリスティル、シャルティア、ひとまず座れ」
帝王様に促されて仕方なくソファーに座った
本当は今すぐ出ていきたいが…
目の前には皇族が二人
圧がっ……!
フィがいるのが唯一の救いだよ
後ろだけど…
「もう一度聞く、なぜ私から逃げるんだい?」
うわ、もう戻ってる
しかも圧増々の笑顔で…
「えっと……」
なぜ…
理由はあるよ?でも…
無礼にはならないかな?
不敬罪とか嫌なんだけど
「無礼にも不敬罪にもならん。正直に言ってみよ」
え…?帝王様って人の心読めるの?
そういう魔法?
まぁ、帝王様がいいって言うなら…
理由は一つ
「怖いから、です…」




