どうする?
誤字・脱字などがありましたらお伝え下さい
これから先、どうするか考えていた
ゼギルさんのところにお世話になるか…
いや、それは無理だな
今ボクによくわからない感情が纏わりついてくる
その感情がわからないままではゼギルさんともとに居ることはできない
まぁボクなりにいろいろと考えていた
すると今まで静かだった外がいきなりざわめき出した
(なんだろう)
気になるが外に人がいると思うと出ようにも出れない
そわそわしながらも聞き耳を立てた
『あの…は、れん……つ……だ……ら』
『だが……ち……え、それ……は』
う〜ん、聞き取りにくい
『か…れ…き………しを…がて……こ…に』
これは帝王様の声
何の話をしているのだろうか
『だ…、あ…こは……んだ』
この声、聞き覚えが……
ゼギルさん…!?
テントの幕をそろっとめくり覗いてみるとそこにはゼギルさんがいた
「ゼギルさん!」
周りの人間は気にせず(気になるけど全力で無視する)ゼギルさんのもとに向かった
「シャルっ!無事だったか…っ!」
「うん、ごめんなさい…家を出ていって…」
「いや、俺が悪かった…」
ボクを優しく抱きしめてくれた
「すまない…守れなくて…っ」
「ううん、あれはボクのせい」
「シャルっ」
「ボクの実力がなかったから、弱かったから…だから守れなかった」
「シャルっ…!」
ゼギルさんはボクを咎めるように名を呼ぶ
でもボクが弱いせいなんだ
「シャル、俺は知っていて村を助けなかった…俺を咎めろ」
「助けなかった、じゃなくて助けることができなかったでしょ。それにゼギルさんは両親との約束をちゃんとまもったのだから」
ゼギルは悪くない
この人は人間族だ
煌人族にむやみに介入できなかったのだろう
今はこうして抱きしめてくれることが嬉しい
「…シャル、話がある」
「なに…?」
「シャルティア、余と一緒にこぬか?」
「え…?」
帝王様?
どういうこと?
一緒に来い…?
リステリア帝国にってこと?
まって、よくわからない…
「こいつのところの方が安全だ」
「ゼギルさん…?」
知り合いなの?
帝王様と?
さっきの衛兵らしき人は“先代様”と言っていた
先代様ってなに?
ボクはゼギルさんについてよく知らないのかもしれない
というか、安全って…
それだけでこの人についていくの?
ゼギルさんが信用しているとしてもボクは信用できない
だって“人間”だから…
人間は信用ならない
ならゼギルさんも人間だろ、信用してないのか?
いや、ゼギルさんは信用している
記憶がだんだんと鮮明になって、前世に引きずられてきているけど今までの出来事は本物だ
ゼギルさんとはよく関わっていた
ずっといたらわかる
この人は信用できる
ボクは人見知り
人を信用するのに時間がかかる
前世だったらどんなに時間がたっても信用などしないだろう
でも6年間、人見知りじゃなかった自分がいる
だからか、じかんがあれば信用できる……と思う
じゃあ帝王様と一緒にいたら信用できるのか?と問われたら分からない
ついていくのが最善なのか
今このときボクには決める勇気がなかった
「シャル、俺のところはけっして安全ではない。それにこいつのところのほうが自由に動ける」
「でも…」
たしかに、今回の襲撃
ゼギルさんのところにはこなかったとはいえ安全性はない
むしろあの場所は隠れるなら絶好の場所だ
でもそうしたらゼギルさんはどうする?
「俺なら大丈夫だ。だから、な?」
大丈夫、か
信用していいの?
でも今はそれしか道はない…か
「分かった、ゼギルさんを信じるよ」
「そうか、ありがとな」
「ううん、ゼギルさんも気をつけてね」
「あぁ」
もう一度ハグして帝王様に顔を向けた
「帝王様、ボ、ボク…いく」
「そうか、よかった。我が国はお前を歓迎する。自由も保証しよう。好きなこともしていい…だが一つ、条件がある」
「…なんで、す、か?」
やばいのじゃなければいいけど
「余の直属の錬金術師になれ」
「…え?」
直属の錬金術師?
え、帝王様直属?
普通にやばいんだけど
「シャルティア、お前はおそらく最後の錬金術師」
知ってる
「余が錬金術師を直属に迎えたことを他国に知れ渡ればより我が国は強固となり余の発言力も上昇する」
なるほど
互いに利がある
帝王様の直属、か…
「安全を保証する。望むものはできるだけ叶えよう…さて、これを聞いてお前はどうする」
「いい、よ」
安全を保証してくれて望むものを叶えてくれる
直属の錬金術師になるだけで
ボクに利がありすぎる
素晴らしい条件だ
「よし、契約成立だ。帰城したら正式な契約をする。いいな?」
「う、うん」
これはボクの未来が一つ決まった瞬間
この判断が後に幸となるか不幸となるか
今のボクは知る由もない
この日、ボクの人生が狂った
いや、元に戻されたのかもしれない
人を信じることができず、すべてが不幸だった前世
今世ではどうなるか
これからは前世の自分とシャルティア
二人で歩む
さぁ、どうなるかな?
帝王様直属の錬金術師となったシャルティア
どうなるのでしょうね




