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この度、妹にペットされまして……双子の兄弟は先輩の大根と妹を愛育しながら旅をする!  作者: 三田黒兎素
第7章 かいほう

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ダンジョン4

 迷路を迷いながら歩き続けて3日、ようやく舞踏会でもできそうなくらい広々とした場所に出た。

 奥には、扉が見えた。その扉を開ければきっと、ダンジョンコアがあるはずだ。

 ただ、その場所に辿り着くまでには大きな障害物が待ち受けていた。


「此処は、鉱石と毛皮のダンジョンなのか? 羊毛もあったけど、毛皮はモフモフだし、これから寒くなるからありがたいけどよ~、その分倒すと、なんか罪悪感も覚えるというか……」

「一発で仕留めないと、毛皮も使い物にならなくなるし、気を遣うダンジョンだったね」


 ヒナタの後ろで、ミヒメとくぅちゃんは顔を俯かせて哀愁を漂わせていた。

 毛も皮もズタズタに切り裂いた大半は、ミヒメとくぅちゃんの仕留めた魔獣だったから、落ち込んでいた。

 後半は、虎や獅子といった大物ばかりで、ヒナタもフウタも手こずったのだから、ミヒメもくぅちゃんも健闘はしていた。しかし、これから冒険者として活躍していく上で、素材に配慮した闘い方も学ばなくてはならないと、ヒナタの少し厳しい指導が入っていた。

 これから少しずつ解体にも携わっていくようヒナタに言われたミヒメは、できるだけヒナタの視界に入らないように背後に控えていた。

 解体に関しては、フウタもヒナタと同じ考えだったから、口を挟まなかったが、ただ見ているだけというのも罪の意識を感じた。

 素材を大事にしなくてはならないが、これから相手する敵は、そんなことは言っていられないと、フウタは助け舟を出すことにした。


「あの熊、めちゃくちゃデカいな。キングではないが、将軍クラスに近いかもしれんな。だとすると、オレたちでも一発では仕留めるのは無理だし、素材も諦めたほうがいいだろうな」

「ボクたちもまだまだ未熟だし、素材よりも自分たちの命の方が大事だからね。毛皮は諦めるとしても、心臓や肝臓は薬の材料にもなるから、手に入れたいところではあるけど、どのくらい強いかも分からないから、今回は、素材は二の次で、思いっきりやろうか」


 ヒナタはそう言って、後ろを振り向き、身を屈めてミヒメと視線を合わせた。


「キツイこと言ってばかりでゴメンね。でも、ヒメちゃんのこのポシェットも、破けないように丈夫な革で作ってるんだ。傷が多いと、破けやすくなっちゃうから、ついつい厳しくしちゃった。ごめんね」

「ううん。ミミもかい体、イヤイヤばかりして、ごめんなさい」

「うん、ボクもごめんね。仲直りしよっか」

「うん!」


 ヒナタはミヒメの額に軽くコツンと当てて、仲直りの儀式をした。


「それじゃあ、あの熊の魔獣は簡単には倒せないから、たくさん傷だらけにして、ちょっとずつ体力を削っていこうね。お兄ちゃんたちもがんばるから、ヒメちゃんも足止めとかサポートしてくれると嬉しいな」

「うん、ミミに任せて!」

「ミヒメ、オレのサポートもよろしくな」

「うん! ふうちゃはミミが守る!」


 フウタもミヒメの額にコツと小さな音を立てて額を合わせた後、魔獣からミヒメを隠すようにミヒメの前に立った。


「最初はどのくらい毛皮が硬いのか確認したいから、くぅちゃんの超音波氷撃は、ボクかフウタが合図するから、それまではいつもの超音波口撃の方でよろしくね。先ずは、ボクが先陣斬ったら、すぐに退避する。その後はフウタに任せるから、よろしく。じゃあ、行くよっ!!」


 ヒナタは助走をつけて、黒熊の魔獣に向かって飛んだ。空中で回転しながら勢いをつけ、数秒で黒熊の目前に辿り着いた。魔熊は素早いヒナタに反応できず、あっさりとヒナタの一閃が入った――がしかし、魔鍬の毛皮は想像以上に硬く、魔力を通した巨大な鉈であっても、掠り傷しかつけられなかった。


「フウタ!」


 ヒナタは襲い掛かってくる前脚の爪を躱して両脚で蹴りを入れ、黒熊の胸を壁のようにして身体をバウンドさせて最初の位置へ戻ってくると同時に、フウタが扇風陣で追い風を起こして、一気に黒熊との距離を詰め、双刃で二つの小さな傷を入れた。


「チッ」


 フウタは舌打ちしながら、追い風を活かして天井に向かって舞い上がり、黒熊の攻撃を避けると、空中でバク転し、ヒナタの隣に着地した。


「硬すぎ。少し手が痺れた」

「一筋縄ではいかねえか――くぅちゃん、氷撃!」


 黒熊がこちらに向かってくるのが見え、フウタの合図でくぅちゃんの必殺技――超音波氷撃が着弾した。

 氷塊はしたが、ほんの数秒しか保たず、体力も有り余っているのか、黒熊を覆う氷は弾け飛んだ。

 それでも体力は削げたのか、動きが鈍くなった。


「いっけ~」


 ミヒメの影魔法にも捕まえられ、身動きが取れなくなった。どらちゃんが植物魔法で出した、トゲトゲの蔦も黒熊の四肢に絡みついていた。その棘には、錫魔蜂の毒針が仕込まれていたようで、藻掻き苦しんでいた。

 新参のモモちゃんも、黒熊の真上で桃の触覚から、花粉を出して振り撒いていた。花粉が眼球に直撃し、視界を奪う。


「ワオーン」


 くぅちゃんも超音波口撃で黒熊に脳震盪を与えていく。


「はっ」

「とりゃー」

「えいっ」


 ヒナタとフウタもそれぞれの得物を変形させ、着実に黒熊にたくさんの傷を負わせていった。ミヒメも影の槍で、兄たちに負けないくらいの傷を増やしていた。

 動きの鈍くなった黒熊の攻撃は難なく躱すこともでき、ミヒメたちはほとんど無傷で、最後のミヒメの一撃で黒熊を討った。


「いえ~い」

「やったね」

「やったな」


 黒熊の毛皮はズタボロだったが、ミヒメたちの完全勝利となった。

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