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【9/25番外編追加】幼馴染の『死ぬ死ぬ』が五年続いたので、婚約破棄させていただきます【完結】  作者: 木風


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第五話 お二人とも正気とは思えません

 マルグリットは眉を寄せた。


「嫉妬?」

「君は昔から冷静で、僕が誰と話していても気にしなかった。ターニャを優先すれば、少しは僕を求めてくれると思ったんだ」

「五年間も?」

「最初は、本当にターニャを心配していたんだ。嘘じゃない!けれど途中で、余命の話は嘘だったと打ち明けられた。その頃にはもう、君が少しでも僕を引き留めてくれればと思うようになっていて……だから、やめさせなかった」

「では、途中からは嘘だと知りながら、わたくしを試していたのですか」


 バルコニーの柱の陰から、ドレス姿のターニャが姿を現した。


「ユリアン様は、マルグリット様が一度でも引き留めてくだされば、すぐにやめるとおっしゃっていましたの」


 余命わずかだったはずの令嬢は、夜会用の華やかなドレスを着ている。

 顔色もよく、先ほどまで会場で踊っていたのか、頬は健康的に色づいていた。


「ターニャ様」

「わたくしも、少しくらいならと思って協力しただけですわ。だってマルグリット様、ユリアン様がわたくしに付き添っても、少しも嫉妬なさらないから」

「少しくらいが、五年に?」


 ターニャは気まずそうに唇を尖らせた。


「途中でやめる機会を逃してしまって」

「医師から余命を宣告されたという話も、すべて嘘だったのですか」

「最初は本当に体調を崩しましたの。でも、ユリアン様がとても心配してくださるから」

「医師に余命半年と言われたと、何度も話していましたわね」

「そう言えば、ユリアン様がもっと優しくしてくださったので……」


 あまりに身勝手な答えだった。

 ユリアンは困った顔をして、マルグリットへ手を伸ばした。


「でも、もう全部終わった。君が戻ってきてくれれば、僕もターニャとは距離を置く」


 マルグリットは大きく後ずさった。


「いりませんわ」

「マルグリット」

「いりません。いりません。いりませんわ!」


 今までの我慢も、遠慮も、すべてどうでもよくなった。


「病気のふりを五年も続ける方も、それを確認せず信じる方も、婚約者を嫉妬させるために結婚式まで挙げる方も、全部いりません!」

「僕は君を愛していたから」

「愛している相手を五年間苦しめ、その苦しむ姿を見たかったとおっしゃっているのです!怖いですわ!お二人とも正気とは思えません!」


 ユリアンの顔が歪む。


「君が一度でも僕を引き留めていれば、こんなことにはならなかった!」

「わたくしのせいにしないでくださいませ!」


 ユリアンがなおも腕を掴もうとした時、二人の間へアーヴァインが入った。


「彼女は断っている。これ以上近づくな」

「で、殿下……」


 ユリアンの顔から血の気が引く。

 アーヴァインの背後には、数名の護衛が控えていた。


「話は聞かせてもらった。五年にわたって病を偽り、婚約者を試し、挙げ句には彼女の評判を落とす噂まで流したようだな」

「噂は僕たちでは」

「君たちが病弱なターニャ嬢を見捨てた令嬢として語った結果だろう。少なくとも、今夜の発言については私が証人になる」


 ユリアンは何も言えず、唇を震わせた。

 ターニャも青ざめた顔で俯いている。


「両家には、王家から事実を確認させる。仮病に協力した者がいるなら、それも含めて調べることになるだろう」

「そんな……」

「自分たちが始めたことだ。今度は最後まで責任を持つといい」


 アーヴァインはマルグリットへ向き直った。


「戻ろう」

「はい」

「君とのダンスは、まだ一曲しか終わっていない」


 差し出された手を、マルグリットは迷わず取った。

 そのまま、呆然と立ち尽くす二人を残してバルコニーを後にする。

 会場へ戻る直前、マルグリットは小さく息を吐いた。


「申し訳ございません。せっかくの夜会で、このような騒ぎを」

「謝る必要はない。むしろ、君がはっきり言い返してくれて安心した」

「わたくし、怖いとまで言ってしまいましたわ」

「間違ってはいないと思う」


 マルグリットは笑った。

 アーヴァインも笑い、二人は次の曲が始まるダンスホールへ戻っていった。

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よろしくお願いします( *・ㅅ・)*_ _))ペコ

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『無華の花嫁』書影公開
無華の花嫁
~華の加護なき無能な少女は、黒薔薇の殿下に愛される~
和風シンデレラ/異能恋愛/黒薔薇の殿下/虐げられ令嬢/救済&溺愛
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