骨折した営業部神山
「ええ、骨折しちゃったの」
そうなんだよ。
「先日、会社に乱入してきた元社員が大暴れして。
それで、手に持っていたバットで殴られて、これ」
営業部の神山は、入院中のベッドの上から、自分の骨折した足を指さして言った。
困ったものである。
最近は、本当に物騒な話が多いもので。
□
ピロンと神山の携帯が鳴ってメール届いた。
差出人は会社。グループメールらしく会議中の動画が添付されていた。
それを神山は再生してみた。
「次の社員候補として、神山を推薦する」
「社長、次の社員候補には、私を推薦してくれるはずじゃ...!」
社長の堀田の意見に開発部長の黒木が食いかじかった。
他の社員たちは黙って聞いている。
「とにかく決めたんだ。次の社長候補は、神山にする」
黒木はまだ、文句がありそうだ。
社長の堀田は席を立って、会議室を出ていこうとした。
「あの、社長」
出口付近で、総務担当の浜野が社長に声をかけた。
「黒木には、任せない。彼は、私の財産を全て狙っている」
それだけ言って、社長の堀田は会議室を出た。
□
病院で寝ている神山にまた、メールが入った。
ー「大変。会社の襲撃犯たちに、役員たちが復讐するつもりらしい。助けに来て」
神山は、ふと考えた。
襲撃犯なら放っておけば良いのでは。
と思ったが、そうでもないらしい。
襲撃犯は、別の企業の有名人らしく、復讐するうちの会社が悪者にされると。
ほう。
ややこしいが、つまりうちの会社が劣勢らしい。襲撃犯よりも。
仕方がない。
とはいっても、自分は足を骨折して病院のベッドの上だ。
少し考えて。神山は通信部連絡をし、襲撃犯の脱走の手伝いしてもらうように頼んだ。
□
それから。
襲撃犯は無事に脱出出来たらしい。
その後、神山も会社から脱出しなければいけなくなってしまうのだが。
それはまた、別の話。




