お見合いパーティの珍事件
「どうぇえええええ」
「いや、ホントに」
お見合いパーティ主催のスタッフの会議中に、八田はドえらい声を出して驚いた。
「ええと、つまりこの黒木っていうのが、このチャラい感じの男の顔でメンバー登録してたと」
「はい」
「それでパーティ参加者の女性は、このチャラ男が来ると思ってるんだ」
「そうらしいです」
はあ、八田は驚きつつため息をついた。
一体、このお見合い会場で何が起こってるんだ。
□
「いや、何で今までバレなかったの」
「それが、ほとんどのやりとりがビデオチャットだったらしいです。しかもフィルター盛り盛りの」
「ああそれで」
「で、会う予定も夜ばっかりで。あ、これ詐欺かもって気がついた女性からのアンケートです」
八田は、手渡されたアンケートに目を通す。
ー「夜に会った時、あれ写真と違う人だなとは思ったんですよ。
でも、私の勘違いかなって。でもファッションも違うし、話し方はビデオチャットの人だったんですけど」
うーむ。
八田は、唸った。なるほど、勘違いだと思ったか。
しかし、地味でキレやすそうという黒木のイメージと、このいかにもチャラくて遊んでいそうな男となぜ同じ人物だと思ってしまったのか。
いやでも、案外、見た目だけじゃわからないし。
いやいや、見た目の印象で大分中身が推測できるぞという意見もあるし。
頭がぐるぐるしてきた。
□
「それで」
「うん」
「なんか、女性たちが困ったことに」
「困ったことに」
「この写真の男性、神山君に突撃しちゃったみたいなんですよ」
「ええ!?」
つまり、女性たちはこの黒木の写真を神山が勝手に使ってると思い込んだらしい。
何で、そうなるんだ。
「で神山くんは、なんて言ってたんだい」
「相当、怒ってました」
「だろうね」
どうやら、揉めたらしい。
神山くんに付きまとって、何度も確認したり、逆にお見合いパーティに神山くんを巻き込む女性もいたりで、めちゃくちゃでしたよ。
そんなこんなで、ほとんどの女性が写真のプロフィールが黒木さんと違うことに気がついちゃったらしいです。
「それから、一部の女性は黒木さんを警戒するようになったそうです」
なるほどね。
「それで、困ったことがあって...」
「ふむ、何があったんだ」
「お見合いパーティの人数が埋まらなくなっちゃったんですよね」
「え、そうなのか?」
いや、でもまあ当然のことかもしれない。
女性たちは、チャラ男とお見合いしたかったのであって、真面目風の男は狙ってなかったのだろう。
「ええ、黒木さんのお見合いパーティはいつも予約で一杯でしたからね。流石に困りました」
それは、確かに。
何か解決方法か...。
八田は頭が痛くなってきた。
□
それから、黒木はプロフィールを一新して、別のお見合いパーティを荒らし回ってるらしい。
何だって!?と思うが黒木は凝りていないらしい。
しかし上手く行っている話は聞いていない。
おそらく、ここまで大事になったら街のお見合いパーティ会場はすでに、全て問題を把握しているだろう。
しばらくして、軽く誤魔化しながら元いたお見合いパーティの会場に戻ったらしい。
上手くいくかだって?
それは、まだわからない。




