久保田の認識
何の話をしているんだろう。
「お前には、わからない」
神山は、別の仕事の書類を取りに会社に戻ってきた。
すると、そこには久保田がいた。
久保田は、何か流暢に話しているが何を言ってるのか、よくわからない。
新しい会社を立ち上げたい。
社員に国木田を募集したのに、無視された。
とか何とか言っていた。
神山が国木田だと、全く気がついていないようだ。
ずっと黒木の話らしいことを言ってる。
しかも目の前の神山を黒木だと思い込んでいる。
もうわけがわからない。
その場は、適当にやり過ごして後から話を聞かなければならないだろう。
神山は、頭が痛くなった。
□
どうやら、その新会社はうまくいっていないらしい。
社員が集まらないのが欠点になっているそうだ。
そういえば後で、黒木を改めて新会社に誘ってみたらしいが、ひどい追い返し方をされたと言っていた。
だろうね。
あのヤバイ人代表みたいな黒木が、そんな新会社の儲けが薄い話に乗ると思えない。
しかも、会社の利益を狙ってる、ライバル新会社にしたいというコンセプト。
それって実際には、黒木と直接敵対するという意味になる。
いやいや。
でも久保田はさっき、俺を目の前にしても黒木だと思って話していたし。
国木田は、別人だと思っている。
国木田は俺のもう一つの名前だ。
久保田は、どういう認識なんだ?
頭がこっちまで混乱しそうだ。
「あ」
ふと気がついた。
神山は普段、会社にいない。
普段、会社にいるのは、神山じゃなくて黒木だ。
今日たまたま、神山が本人として資料を取りに来たところを遭遇しただけだ。
神山は、誰かのせいにするのをやめた。




