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後悔しても、君が好き  作者: ぽてと。
3/5

名前のない違和感

気にしなくていいはずなのに、なぜか引っかかることってありますよね。

次の日の教室は、いつも通りだった。なのに、どうしてか少しだけ落ち着かない。

「おはよ、澪」

いつも通りの声に、ほっと息をつく。やっぱり、考えすぎだよね。そう思った、そのとき。

「あ、紬!」

教室の後ろから呼ばれて、紬が振り向いた。

「今いい?」

軽く手を振るその子の方へ、紬は迷いなく歩いていく。

……あれ。

気づけば、その後ろ姿を目で追っていた。昨日の別れ際が無意識に頭の中に浮かぶ。いつもなら、こういうときも隣にいるはずなのに。

 授業が始まっても、ノートの上の文字は、ほとんど頭に入ってこなかった。チョークの音も、先生の声も、どこか遠くで鳴っているみたいで。気づけば、視線は何度も、斜め前の席に向いてしまう。紬は、さっきの子と小さく話していて、そのたびに、楽しそうに笑っていた。

 なんで、こんなに気になるんだろう。ペンを持つ手が、少しだけ止まる。

「朝日奈」

ふいに名前を呼ばれて、はっと顔を上げた。

「これ、答えてみて」

「……え、あ……」

黒板を見ても、何の話をしていたのか分からない。一瞬の沈黙。クラスの視線が集まるのがわかって、心臓が変に跳ねる。

「……すみません、わかりません」

小さくそう答えると、

「ちゃんと聞いとけよー」と軽く流されて、授業は続いた。

 キーンコーンカーンコーン

チャイムの音が鳴って、ようやく授業が終わる。

、、、長かった。ノートを閉じながら、無意識に小さく息をついた。きっと、紬がまた話しかけてくる。いつもみたいに、「さっきの問題さ〜」とか、どうでもいい話をして。そしたら、さっきのことも、ちょっとは気にならなくなるかもしれない。

そう思って、ペンを置いて顔を上げた、そのとき。

「紬、ちょっといい?」

さっきの子の声がした。

「あ、うん」

紬はすぐに立ち上がって、当たり前みたいにその子の方へ行く。

「ねえねえ、このあとさ——」

楽しそうに話しながら、二人はそのまま教室を出ていった。

……え。

何も言えないまま、その背中を見送ることしかできなかった。さっきまで、あんなに普通に話していたのに。

なんで。机の上に置いたままの手を、ぎゅっと握る。

別に、約束してたわけじゃない。ただ、いつもそうだっただけ。それだけなのに。

「……はは」

小さく笑ってみるけど、うまくいかない。こんなの、

気にする方がおかしいのに。なのに、胸の奥が、じんわりと痛んだ。

澪の違和感は、これからどうなるのか。

次もぜひ読んでいただけると嬉しいです!

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