第4話
何も言わなかった。
父親が外で作った子供を母親が激しく拒絶したときに、レインは何も言わなかった。
母親は子供を娼館に売り飛ばした。子供の母親は流行りの風邪ですでに死んでいた。
父親の後を継ぎ、借金取りになったばかりのときに、仕事で花街に行ったときに、娼婦が引き留めた。
引き留めたのは母親が娼館に売り飛ばした腹違いの妹だった。
妹はレインが兄であると忘れていた。
ほとんどの歯は抜かれ、片手と片足になっていた。
レインは妹を買った。買ったと言っても行為をするためではなく、時間を買ったのだ。
安い部屋で、妹は行為をしないレインに対して混乱していた。
レインはしばらく混乱しているのを見ていた。
妹はベッドの下から薬を取り出した。
それは麻薬のようで、過激に摂取して、死んだ。
レインはただ見ているだけだった。
死んだ方が幸せだと思ったからだ。
だが、今になってそれは本当に幸せだったのか思うのだ。
今になって後悔している。
父親が妹を連れてきたときに、母親が激しく拒絶していたが、何か言っていれば、妹は娼館に売り飛ばされなかったのではないかと。
レインはビビのかつての父親だった男を凍てついた眼差しで見る。
男はにやついた顔でビビと同じぐらいの少女たちをレインに差し出す。
レインは手を伸ばした。
男の髪を鷲掴みにして、床に叩きつけた。
「ふざけてるんじゃないぞお前。一日待ってやれば、私がガキを求めていると? 寝言をぬかしてるんじゃないぞ」
男は鼻血を流しながら、だって、と慌てる。
「ビビを、ビビをお気に召したじゃないですか。だから私は──」
「黙れ」
アルビーが男にさるぐつわを嵌める。
レインは男をアルビーに引き渡す。
「鉱山に放り込んでおけ。それから金目の物は売り払っておけ」
「はっ」
アルビーは男を連れていこうとして、少女たちを見た。ビクビクと怯え、今にも泣きそうである。
「これらはどうしますか?」
レインは歩き出す。
「孤児院でも入れておけ」
アルビーはどこか引き取るのではと思っていたので、ホッとするのだった。




