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あ、お前の推し、死んでるから  作者: まつり


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Re

「入稿確認しました。

お疲れ様です、先生。」


はい。


ありがとね、モーさん。

新装版の表紙、中表紙、あとがき。

それとセット販売限定のケース、初版限定の銃型のしおり、とにかく色々描いたけど、これで、本当に全部?


「うん、そうやね。

しっかしタケは最近、イラストレーターとして仕事を受けてた側だからか、絵が見やすくなったなぁ。

客観視って大事やね。


昔は、天才の僕が描いたものが分からない奴らは知るか!って感じやったのに。


大人になったなぁ。」


うーん。

ちょっと語弊があるよモーさん。

今でも僕は自分が天才だと思って描いてるから。


というかね、自分のことすら天才だと思ってない作者が描く物語なんて誰が読みたいんだって思ってんのよ。

漫画だけの話じゃないけどね。


ありとあらゆる創作物。


本来、天才が生み出したものしか衆人の目に触れないのが理想でしょ?


だけど誰が天才なんてのは誰にも分からないからね。

自分だけは自分を天才だと信じ込めない様な作家はダメでしょ。


「イキってんのか謙虚なのかよく分からんわ、その理論。

ちなみにデルタ君にその話したことあるん?」


こういう風には言ってないけど、デルタが音楽作って来てくれた時に言ったよ。

デルタは天才だって。


「そうしたら、なんて言ってた?」


そうなのよ、困っちゃうよなって。


「はは。

気が合うなぁ、キミら。


あ、悪いけど、もう一つ仕事増やす事になるわ。

ディーンの新装版と続編のwebCMを流すから、それのコンテ確認して。


ほいこれ、まとめたやつ。」


はいはい。

……。


「何やその苦い顔。

なんか気に食わんか?」


いや…。

んー。

あのさ、何で音楽、デルタじゃないの?


「……は?


いやいやいや、そらそうやろ。

ヒキも無いし、順調に伸びて来てはいてもあの子はまだまだ弱小Vtuberやで?


せっかく再開できる念願の連載。

しかもウチの会社がよ、webとはいえCM打たせてくれるくらい期待している作品に、そんな新人をやな、友達だからって使う訳ないやん。」


モーさん、デルタのチャンネルのOP観なかったの?

僕の動く絵と、デルタの音楽。

両方良かったでしよ?


「それはそうや。

作品としていいものだったて言っていいわ。


けどな、こっちはプロモーションやねん。

作品の読者層と合う曲を書いてる所へ依頼してやな、相手のファンとこっちのファンを繋げて、相乗効果を期待するもんや。


相手の名前、ネームバリューもある程度必要なんは仕方ないやろ。」


音源ある?


「まだ社内コンペでこれにしよかってなった段階で、正式に決まってはないからアレやけど、新曲借りるんやなくてあり物を使わせてもらう予定やから、音源は探せばそこらに転がってるよ。


流してみよか。」


お願い。


…モーさんはさ、あり物の曲の方が、デルタが僕の作品に合う様に作った曲よりも良いと思ったんだね?

それが作品の為になるって。


「悪いけど、そうや。

デルタ君の曲が嫌いな訳やないけども、実績諸々加味して、タケの親戚としてじゃあなく、プロの編集者として判断した。


……タケ、デルタ君の曲、そんなに気に入ってたんやな。」


OPに使ったのは7秒だけど、本当は3分ぐらいあるんだよ、あの曲。

デルタが、僕が描いたキャラクターのイメージに合わせて作曲された物がさ。


モーさんが持って来た曲を流し終えたら、僕がそっちを流すから、聴いてみてよ。


「聴くよ。


いくらでも聴くけどな、その曲がどんなに良いものでも難しいよ。

理由はさっき言った通りや。

曲がいくら素晴らしかろうと、作品を売るという目的には関係ないもん。」


ふぅん。

ま、分かったよ。

プロモーションのあれこれは僕には分からないからさ、きっとモーさんの言う事が正しいんだと思う。


「なんや、聞き分けがええな。


…お、あった、これや。

流すで、ちゃんと聴いてや、一応は。


あんな、タケ。

少なくともボクは、タケの作品に合うと思って人選してんのよ。


あり物とはいえ、プロやで?相手も。」


うん。


良い曲だと、思う。

だけど、約束通りデルタの方も聴くだけ聴いてもらうよ。


「分かった分かった。

とっとと流してくれ。


…なんでそんなにデルタ君の曲を使いたいねん。

言うてもアマチュアやろ?


好き嫌いはあれどクオリティに差はあ………。


あ?


ほんまにこの曲、デルタ君が作ってんの?

遜色ないやん。

プロと。」


モーさんもそう思う?

そうなんだよ。

ちょっと作ってみるわって、デルタは言ってたけれど、そんな出来じゃない。

なんというか、専門外だから詳しいことは分からないんだけど、なんか基礎が出来てるって感じるんだ。


学んできたもの、もしくは、築いてきたものって感じの。

努力と才能が必要な。


「あの子、記憶ないんやったよな。」


そう。


「絶対音楽関係の仕事してたやん、こんなん。」


僕もそう思ったんだ。

それもあって、デルタの曲を使いたいと思ったんだよ。

もしかしたら、デルタの未練は音楽に関係してるんじゃないかって、そう思ったから。


分かるでしょ?

情熱があるでしょ、この曲。


「うん、あるなぁ、良い曲や。


…そっか、タケがデルタ君の曲を使いたい気持ちも理由も分かった。

それでも編集者として、反対はするよ。」


もし、社内コンペに、いろんな曲の中に、デルタの曲が混じってたら、モーさんは投票してた?


「…して…ないな。

やっぱり曲のクオリティやなくて、ネームバリューで選んでしまってたと思うわ。」


あ、そ。


「すねんなや。」


すねてないよ。

すねてないけど、世知辛いなーって。

判断は尊重するよ、信頼してるし。


「悪いようにはしないから。

任せてくれ。」


うん、ありがと。



僕が勝手に作る分には問題ないでしょ。

という訳で、デルタ、新曲を頼む!


「話が見えねぇんだけど。」


そうね。

えーと、僕の本、ディーンの新装版と続編が出るでしょ?

それのCMをwebで流すって企画があるんだって。


それに僕はどうしてもデルタの曲を使って欲しかったんだけど、弱小Vtuberで名前も知られてないデルタを使うのはリスクが高すぎるからって却下されちゃったのよ。


腹立つでしょ。


「ほーん。

いや、腹は立たないな。

モーさんがそう言ったのか?

だったら、それが正しいんじゃないの?


プロモーションなんだから。」


ぐう…!

そうなんだけど、僕はデルタの曲がいいんだ、どうしても。

だから勝手に作って流そうと思って。


「いや、俺が作った音楽をそんなに気に入ってくれてんのはめちゃくちゃ嬉しいけどよ…相手に失礼だろ。」


へ?相手?


「うん、その会社が作ってくれる映像に音楽付けてくれる人がいるんだろ?その人に失礼じゃん。」


なんで?

別に公式で流す訳じゃないし。


「いや、二つ同時にだすのに、かける熱量に違いがありすぎるだろ。

そういうのは伝わるよ。


タケやん、自分で作画するつもりだろ?

会社の広告費の安い予算で外注したものと、作者のフルパワーを傾けた作品なんて差は出るぜ?


そもそもの熱意が違いすぎるし。」


いやいや、そんなに手間は掛けられないからね?

僕1人で作るんだし。

業者さんの方がクオリティは高くなるって。


「そうかもしれないけどよぉ、熱意はやっぱり伝わっちまうよ。


反対はしたくねぇけどなぁ。

曲を褒めてくれて嬉しいから。


けど、今後もディーンの連載続けていくのに、モメる可能性のある事はして欲しくないのよ、俺は。」


デルタが僕のことを思って反対してるのは分かってるけどさー。

…楽しかったんだよ、デルタとデルタのチャンネルのオープニング映像作ってる時。


僕はさ、中学生の頃には漫画家の道を歩き始めていて、なんだかんだ忙しかったから、誰かと何かをやった事がなくってさ。

行事も部活も、それどころじゃなかったから最低限しか参加してなくて。


「あー、まぁ、分かるよ。

俺の朧げな記憶の学生時代もそんなもんだった気がするから。


作ってみて考えるか。

後悔するかどうかはさ。

時間開けたりしたら許されるかもしれないし、ほら、連載再開の時に合わせたりさ。」


そうだね。

僕も動画に関しては素人みたいなもんだし、納得のいくモノが作れるかなんて分からないもんね。

前回は絵を早く描けるってだけの力技で解決したけど、あの手法じゃあ30秒作るのだってシンドいから、学ばなきゃ行けないね。


「本業に支障きたすなよ?

あん時だって、結構寝ずに描き続けてたんだから。」


そりゃあ。

うん、そうね。

そんなブレーキが僕に搭載されてたなら、そもそも絵を仕事にしてないかも。


ま、でも、ディーンを最優先にするから。


「おー。」


今保存してる曲、聴いてみていい?

イメージ膨らませるから。


「いいぜー。」


んーと?アプリのファイルから…。

…あのさ、デルタ。


「なに?」


死んで幽霊になっても、やっぱりえっちな動画とか見たくなるもんなの?


「…え?……………あ。」


清楚委員長に勉強教えてもらう為、我が家へ呼んだけど無防備すぎて我慢できない。


「いや、口に出して読まないで、タイトルを。

それ、エロいのじゃないから。」


そんな訳ないだろ。

いや、僕も男だから別になんにも思わないよ。

単に、身体がない幽霊でも必要なのかと思ったから聞いただけで。


「マジで違うんだって!!

ほら、あれ!あれだよ!

ディーンの電子版を作ってることをタケやんに伝える前に、読んでみてってモーさんに貰ったんだ。

だけど、まだタケやんに知られない様にって言われてたから偽装してたの!」


いいよ、別に。

そんな、隠さなくたって。

恥ずかしいのはわかるけど。


清楚系が好きなの?


「違う!

あ、いや、違くもないけど、違うぅ!


清楚系も好きよ、俺。」


も?


そういう動画っぽいタイトルってどストレート過ぎて、そういう文言入れずに成立させるの難しい

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