1枚と2枚目
「おかえり。
サイン会どうだった?
泊まりの仕事とか、描きには酷だよなぁ。
なにそれ、お土産?
神社の封筒なんて初めて見たわ。「おかえり。
サイン会どうだった?
泊まりの仕事とか、運動不足の絵描きには酷だよなぁ。
なにそれ、お土産?
神社の封筒なんて初めて見たわ。
連載がうまくいきます様にって?」
いや、お札。
通りすがりに神社があったからさ、買ってみたんだよ、お札。
「…は?…俺を?」
うん。
デルタを。
「ひどくない?
仲良くやって来たと思ってんだけど…。
あ、泣きそう。
涙を出す身体はないけど、悲しいと言う気持ちで胸が張り裂けそう。」
なんで?その方がデルタの為じゃん。
「まぁ…未練を覚えてないだけでさ、なにかがあってこの世に残ってんだろうけど…確かに幽霊なんて早く成仏するに越したことはないよな。
今までありがとう、タケやん。
俺、楽しかった。」
え?成仏するの?
マジか…寂しくなるよ。
まだずっと一緒にいれるもんだと勘違いしてた。
まぁ、僕もいずれ死ぬから、その時にまた遊ぼうな。
「…?」
……?
「エモい感じの挨拶を賜った所申し訳ないけど、多分噛み合ってないわ、話が。」
嘘ぉ。
とりあえず見てみてよこれ。
サイン会場の近くに晴明神社ってあってさ、凄くない?
安倍晴明のところでしょ?
これを使えばデルタがパワーアップするんじゃないかって思ったんだけど…。
「なんでぇ?
普通霊にお札使ったら除霊しちゃうでしょ。」
何その説。
お札は霊を強化するアイテムでしょ。
漫画で読んだよ。
「この漫画脳がぁ…。
一般的にお札は除霊道具だろ。
俺を浄化させるために買って来たんだと思ったわ。」
そんなこと考えなかったよ。
ただ、デルタをスーパーデルタにしようと思っただけなのに。
…果たしてデルタの知識が正しいのかな。
僕の方が正しいパターンとか無い?
「無い…とは言い切れないけどよ。
知らないから、お札の効果こそ一般知識ではないもん。
っていうか、最近俺も暇な時間にタケやんの電子書籍コレクションから漫画読み漁ってんだけどさ。
そのニワカな知識でも武器としてお札使うキャラの方が多いんだけど。
どっから得たの、その知識。」
ん?師匠の漫画。
アシスタント時代に丁度連載していた作品で、自分に取り憑いた幽霊をお札で強化して妖怪と戦ってもらうって漫画があったんだよね。
めちゃくちゃ状況が似てるなって。
その主人公が安倍晴明の子孫って設定だったから、これは!と思ったんだけど。
「あー…。
じゃあ仕方ないな。
親からの教えなんだもん。
しかもアシスタントしてたなら思い入れも違うよなぁ。
…ちなみに、強化状態の幽霊ってどんな感じになってたん?」
身体がムッキムキになってね、生前の武器を召喚出来るようになるんだよ。
「おぉ…。
ちょっとお札を試したくなって来たわ。
いや、ちょっと待って。
俺、記憶喪失なんだけど、武器とか出るかな。」
男はみんな心に一本の刀を持っているから、大丈夫。
きっとデルタにもカッコいい武器が出ることだろうさ。
「そうな、そうだわ、うん。
それはそう、出るわ、武器は。」
ちょっとお札見て。
開けてみたんだけど、なんか達筆でカッコいいねぇ!
「あ、あんまり近づけないで!怖いから!
俺からしたら今のタケやんは笑顔でチェーンソーを近づけてくる殺人鬼みたいなもんだから!
感覚的にね?
…いや、達筆で読みにくいけど、めちゃくちゃ悪霊退散って書いてあるんですけど。」
デルタは悪霊じゃないじゃん。
大丈夫だって!
先っぽだけでも試してみようよ!
「そんな口説き文句みたいなのに乗せられて命?命でいいのか?賭けられないって。
俺のイメージでは、それに霊が触れただけでパシュッって弾け飛ぶんだけど…本当に大丈夫?
やっぱダメでしたでこの楽しい日々が終わるの嫌だぜ?」
デルタがパシュってなるのは僕も嫌だなぁ。
あのさ、この辺に、成仏した方がいい幽霊いないの?
その人?人でいいのかな?で、試してみようよ。
「何も分かってなさそうな子供の幽霊とかもいるからさ、そういう子は成仏して欲しいと思うけど、果たしてお札での除霊が痛くないのかとか考えちゃうよなぁ。
気軽に試したりは出来ないよ。
大人は大体未練があってこの世に留まってるんだろうし、あ、自分成仏したいですって奴は会ったことないなぁ。
もし居たら試してもいいと思うけど。」
そうだね。
あ、普通に悪霊はいないの?
デルタと話してると、幽霊って良い奴なんだって思っちゃうけど、人を呪い殺そうとしてるやつもいるイメージあるよ。
「…んー。
ぽいやつは見たことあるけど…ワンチャンそれ、そのお札、パワーアップアイテムなんだろ?
理性のない輩に試しに使うのはよくないだろ。」
確かに。
身体がムッキムキになって、武器を出されたら困るもんね。
「おぉ、誰しも心に一本の刀を持ってるからな。」
ね。
◆
「アンタ最近あんまり見なかったけど、何してたの。
女でも出来たのかな?」
出来てねぇよ。
色々忙しくて。
っていうかさ、幽霊同士のカップルなんて存在すんの?
「居ないんじゃないかな。
本能を全て失うのが死、でしょ?
そうなってまで一緒に居たいと思える相手なんて、そうそういないよ。
もしかしたら寂しいとかはあるのかもしれないけど、まぁ、ある意味自分勝手だから成仏出来てないんだから。
わざわざ集まったりしないよね、幽霊同士で。
独りでやりたい事があるからこの世にいるんだもん。」
そんなことを理屈で理解してんなら、聞くな。
…お前さ、成仏したいか?
「なんで?」
いや、なんつーかよ、お前の未練って、あそこにいる男だろ?
あいつ、結婚して子供もいるし…なんつーか、もうさ、お前もそんなに…執着してるように見えないから。
「んー、まぁ、ね。
元々ね、私が勝手に病気になって死んじゃってさ、遺した幼馴染の元恋人を見守ってただけだしね。
幸せになってくれたなら、未練もないんだけど。
なんだか見ちゃうのよ。
好きなのよ。
もうあの人じゃなくて、人間模様を見るのが。」
昔はラブコメドラマばっかり観てたけど、やっぱり見続けるならサザエさんの方が落ち着くわって感じ?
「なにそれ、ふふふ。
でも、そうね。
そうかも。
幸せになってもらいたかった人が幸せになってる姿をこうして見るのが嬉しくって楽しくって、居なくなるきっかけを見失ってるだけ。
…成仏、しても良いのかも。
このままでいいわけ、ないし。」
そっか、推しってやつか。
タケやんに伝えようか?
今なら成仏させてあげられるかもしんねぇ。
「タケやん?
なんかゆるい名前の霊能者の方ね。
普通なんとか斉とかなんとか道とかたいそうな名前ついてるのに。」
いや、霊能者じゃないよ。
普通に友達。
こないだお札の効能を間違えて買って来てさ。
ちょっと聞いてよ。
タケやん、お札を除霊道具じゃなくって霊のパワーアップアイテムだと思って買って来たんだぜ?
俺を強化しようと思ったんだと。
そんな訳ない、お札は除霊道具だって言ったら、間抜けな顔してさぁ、笑ったよ。
「…貴方の友達?」
そう!
いやー、死んでから親友が出来ると思わなかったよ。
もしかしたら俺の未練、アイツと遊びたいだけなんじゃねぇかなって。
なんつって。
「普段からそんな話ばっかりしてるの?」
お?おぉ。
大体はそうな。
でも真面目な話もするぜ?
異世界で流行らせるなら何がいいかとか、ランプの魔人に頼む3つの願いは何にするかとか。
無人島に持ってくならライターだよな、とか。
「…ふぅん。
仲良すぎじゃない?
ま、遊びには行かせてもらうよ。
もし成仏出来たらそれでもいいし、出来なくてもいいし。」
タケやんの言う通りパワーアップする可能性もあるぜ。
ほら、男なら誰しも心に一本の刀がだな…。
「私、女ですけど。
ね、そのタケやんってイケメン?」
ん?あー、まぁ、そうな。
どっちかといえば。
髪とかもっさりしてるし、薄めの顔だけどイケメン方向ではあるな。
「あんたら、需要ありそうね。
とりあえず観に行くわ。
そういうのもそろそろ観たい気分だったし。」
……そういうの?
まぁいいや。
遊びにこいよ!
パワーアップするか、成仏させてやるから。
「なんか言い方。」
え?
「チャラい。」
うそ!
連載がうまくいきます様にって?」
いや、お札。
通りすがりに神社があったからさ、買ってみたんだよ、お札。
「…は?…俺を?」
うん。
デルタを。
「ひどくない?
仲良くやって来たと思ってんだけど…。
あ、泣きそう。
涙を出す身体はないけど、悲しいと言う気持ちで胸が張り裂けそう。」
なんで?その方がデルタの為じゃん。
「まぁ…未練を覚えてないだけでさ、なにかがあってこの世に残ってんだろうけど…確かに幽霊なんて早く成仏するに越したことはないよな。
今までありがとう、タケやん。
俺、楽しかった。」
え?成仏するの?
マジか…寂しくなるよ。
まだずっと一緒にいれるもんだと勘違いしてた。
まぁ、僕もいずれ死ぬから、その時にまた遊ぼうな。
「…?」
……?
「エモい感じの挨拶を賜った所申し訳ないけど、多分噛み合ってないわ、話が。」
嘘ぉ。
とりあえず見てみてよこれ。
サイン会場の近くに晴明神社ってあってさ、凄くない?
安倍晴明のところでしょ?
これを使えばデルタがパワーアップするんじゃないかって思ったんだけど…。
「なんでぇ?
普通霊にお札使ったら除霊しちゃうでしょ。」
何その説。
お札は霊を強化するアイテムでしょ。
漫画で読んだよ。
「この漫画脳がぁ…。
一般的にお札は除霊道具だろ。
俺を浄化させるために買って来たんだと思ったわ。」
そんなこと考えなかったよ。
ただ、デルタをスーパーデルタにしようと思っただけなのに。
…果たしてデルタの知識が正しいのかな。
僕の方が正しいパターンとか無い?
「無い…とは言い切れないけどよ。
知らないから、お札の効果こそ一般知識ではないもん。
っていうか、最近俺も暇な時間にタケやんの電子書籍コレクションから漫画読み漁ってんだけどさ。
そのニワカな知識でも武器としてお札使うキャラの方が多いんだけど。
どっから得たの、その知識。」
ん?師匠の漫画。
アシスタント時代に丁度連載していた作品で、自分に取り憑いた幽霊をお札で強化して妖怪と戦ってもらうって漫画があったんだよね。
めちゃくちゃ状況が似てるなって。
その主人公が安倍晴明の子孫って設定だったから、これは!と思ったんだけど。
「あー…。
じゃあ仕方ないな。
親からの教えなんだもん。
しかもアシスタントしてたなら思い入れも違うよなぁ。
…ちなみに、強化状態の幽霊ってどんな感じになってたん?」
身体がムッキムキになってね、生前の武器を召喚出来るようになるんだよ。
「おぉ…。
ちょっとお札を試したくなって来たわ。
いや、ちょっと待って。
俺、記憶喪失なんだけど、武器とか出るかな。」
男はみんな心に一本の刀を持っているから、大丈夫。
きっとデルタにもカッコいい武器が出ることだろうさ。
「そうな、そうだわ、うん。
それはそう、出るわ、武器は。」
ちょっとお札見て。
開けてみたんだけど、なんか達筆でカッコいいねぇ!
「あ、あんまり近づけないで!怖いから!
俺からしたら今のタケやんは笑顔でチェーンソーを近づけてくる殺人鬼みたいなもんだから!
感覚的にね?
…いや、達筆で読みにくいけど、めちゃくちゃ悪霊退散って書いてあるんですけど。」
デルタは悪霊じゃないじゃん。
大丈夫だって!
先っぽだけでも試してみようよ!
「そんな口説き文句みたいなのに乗せられて命?命でいいのか?賭けられないって。
俺のイメージでは、それに霊が触れただけでパシュッって弾け飛ぶんだけど…本当に大丈夫?
やっぱダメでしたでこの楽しい日々が終わるの嫌だぜ?」
デルタがパシュってなるのは僕も嫌だなぁ。
あのさ、この辺に、成仏した方がいい幽霊いないの?
その人?人でいいのかな?で、試してみようよ。
「何も分かってなさそうな子供の幽霊とかもいるからさ、そういう子は成仏して欲しいと思うけど、果たしてお札での除霊が痛くないのかとか考えちゃうよなぁ。
気軽に試したりは出来ないよ。
大人は大体未練があってこの世に留まってるんだろうし、あ、自分成仏したいですって奴は会ったことないなぁ。
もし居たら試してもいいと思うけど。」
そうだね。
あ、普通に悪霊はいないの?
デルタと話してると、幽霊って良い奴なんだって思っちゃうけど、人を呪い殺そうとしてるやつもいるイメージあるよ。
「…んー。
ぽいやつは見たことあるけど…ワンチャンそれ、そのお札、パワーアップアイテムなんだろ?
理性のない輩に試しに使うのはよくないだろ。」
確かに。
身体がムッキムキになって、武器を出されたら困るもんね。
「おぉ、誰しも心に一本の刀を持ってるからな。」
ね。
◆
「アンタ最近あんまり見なかったけど、何してたの。
女でも出来たのかな?」
出来てねぇよ。
色々忙しくて。
っていうかさ、幽霊同士のカップルなんて存在すんの?
「居ないんじゃないかな。
本能を全て失うのが死、でしょ?
そうなってまで一緒に居たいと思える相手なんて、そうそういないよ。
もしかしたら寂しいとかはあるのかもしれないけど、まぁ、ある意味自分勝手だから成仏出来てないんだから。
わざわざ集まったりしないよね、幽霊同士で。
独りでやりたい事があるからこの世にいるんだもん。」
そんなことを理屈で理解してんなら、聞くな。
…お前さ、成仏したいか?
「なんで?」
いや、なんつーかよ、お前の未練って、あそこにいる男だろ?
あいつ、結婚して子供もいるし…なんつーか、もうさ、お前もそんなに…執着してるように見えないから。
「んー、まぁ、ね。
元々ね、私が勝手に病気になって死んじゃってさ、遺した幼馴染の元恋人を見守ってただけだしね。
幸せになってくれたなら、未練もないんだけど。
なんだか見ちゃうのよ。
好きなのよ。
もうあの人じゃなくて、人間模様を見るのが。」
昔はラブコメドラマばっかり観てたけど、やっぱり見続けるならサザエさんの方が落ち着くわって感じ?
「なにそれ、ふふふ。
でも、そうね。
そうかも。
幸せになってもらいたかった人が幸せになってる姿をこうして見るのが嬉しくって楽しくって、居なくなるきっかけを見失ってるだけ。
…成仏、しても良いのかも。
このままでいいわけ、ないし。」
そっか、推しってやつか。
タケやんに伝えようか?
今なら成仏させてあげられるかもしんねぇ。
「タケやん?
なんかゆるい名前の霊能者の方ね。
普通なんとか斉とかなんとか道とかたいそうな名前ついてるのに。」
いや、霊能者じゃないよ。
普通に友達。
こないだお札の効能を間違えて買って来てさ。
ちょっと聞いてよ。
タケやん、お札を除霊道具じゃなくって霊のパワーアップアイテムだと思って買って来たんだぜ?
俺を強化しようと思ったんだと。
そんな訳ない、お札は除霊道具だって言ったら、間抜けな顔してさぁ、笑ったよ。
「…貴方の友達?」
そう!
いやー、死んでから親友が出来ると思わなかったよ。
もしかしたら俺の未練、アイツと遊びたいだけなんじゃねぇかなって。
なんつって。
「普段からそんな話ばっかりしてるの?」
お?おぉ。
大体はそうな。
でも真面目な話もするぜ?
異世界で流行らせるなら何がいいかとか、ランプの魔人に頼む3つの願いは何にするかとか。
無人島に持ってくならライターだよな、とか。
「…ふぅん。
仲良すぎじゃない?
ま、遊びには行かせてもらうよ。
もし成仏出来たらそれでもいいし、出来なくてもいいし。」
タケやんの言う通りパワーアップする可能性もあるぜ。
ほら、男なら誰しも心に一本の刀がだな…。
「私、女ですけど。
ね、そのタケやんってイケメン?」
ん?あー、まぁ、そうな。
どっちかといえば。
髪とかもっさりしてるし、薄めの顔だけどイケメン方向ではあるな。
「あんたら、需要ありそうね。
とりあえず観に行くわ。
そういうのもそろそろ観たい気分だったし。」
……そういうの?
まぁいいや。
遊びにこいよ!
パワーアップするか、成仏させてやるから。
「なんか言い方。」
え?
「チャラい。」
うそ!




