あまり300枚と145枚
どないすんねんこの大量のポストカード。
300枚はあるで。
ほら、そこのボンクラ共。
とっとと頭回して案出せぇ。
「あ、あ、SNSで欲しい人を呼び掛けたら…。
僕もなんか手伝うし…。」
アホかお前。
クイズ大会までやったんや。
参加してくれた人に失礼やろ。
それなら撤回せんなんぞクソみたいなルールやめてまえ。
そっちの方が誠実やろ?
おい、クソみたいな男の中の男。
お前はなんか言いたい事ないんか。
「そうですね。
でも今回ばかりは俺のせいでもタケやんのせいでも無く、モーさんが招集した司会の方がちょっとあまりにも、あんまりだったせいだと思うんですけど…。」
あ?
ゲストに呼んで、完璧じゃないからそいつが悪いと?
やるやんデルタ。
お前、魔女のチャンネルに放り込むから完璧に立ち回ってこいや。
「無理です…。」
そうやろ?
来てくれた事に感謝せんとな。
でや。
別のプレゼント企画を考えなあかん。
しかも参加型や。
ステッカーもポストカードも配るつもりで多めに作ってるから、アホほど在庫があるよな。
グッズというのはな持ってるとそのVtuberに愛着が湧くというもんや。
受け取った人が普段使いしてくれたら、それを見た人が興味持ってくれるかもしれん。
いい事づくめやな?今回のポストカードもステッカーも、身内がデザインしててコストも大してかからんしな。
やけどな、それは手元に来てからの話や。
幸い欲しがってくれる人を集めるのは成功しとるけどな、今のところお前らは餌をチラつかせて茶番を見せつけるアホとカスやで。
どうにかして成功させな。
ほんまやったら、タケの言う通りリポストで配布が楽やで。
景品なんてもんにしてしまったからにはもうそうはいかん。
参加してもろて、勝ち取って貰わないとな。
ほれ、案を出せ。
運と間が終わってるなら、せめて企画で楽しませんかい。
「…クイズを…。」
おい。
何番煎じや?2連続で失敗しといてようそんな事口にできるな。
飲んでもらわれへんまま味もなくなったわ。
「…また絵で対決する?
どっちが勝つか当ててもらうとか…。」
まぁ、無しやないけどなぁ。
3000人くらい参加してくれてたやろ?
2人でやったら単純計算で1500枚は刷らなあかんやん。
せめてもう1人…。
魔女先生だと、デルタともタケとも繋がりあるからお願いしやすいんやけど…あかんな。
「ん?デルタって師匠と知り合いだったの?」
「ここ最近ちょっとな。
ほら、俺のガワがタケやんの作って気がついてくれてて。
モーさん、なんであかんの?
俺から頼んでみようか?」
お前、借りも返さないままやろ。
なのにこっちの事情で手伝って下さいは失礼やんか。
「師匠は頼られるの好きだと思うけどなぁ。」
タケにはそうなんかもしれんけどな、失礼やって言うてんねん。
せめて向こうに貢献出来てからや、お願いは。
「あ、コンテストやろうぜ。」
ん?急になんやねん。
コンテスト?
デルタ君の絵を募集するってこと?
そんな集まらんやろ、それは。
何枚かはくると思うけどな、自分の絵を他人に見せるって時点で特殊技能やから。
「いやいや、せっかくポストカード作ったんだから、お手本になるじゃん。」
お手本?
なんのやねん。
「デルタがいそうな所選手権、やろうぜ。」
「心霊写真っぽい写真を送ってもらうって事?」
「そんな感じ。
気に入ったやつは使わせてもらったりしてさ。
優秀賞にはタケやんがそれに描き足して、景品にしてさ、参加賞にポストカードとステッカーをあげようよ。」
んー、アリやな。
意味はないけど、意味深な風景写真を送ってもらうってことやんな。
おもろいやん。
今の時代誰でも写真撮れるから、参加は気軽や。
気軽やけど、一つ手間あるから馬鹿みたいな数の参加者にはならないやろな。
おもろいけど、それでも結構な数送られてくると思うで。
それ選別せなあかんやろ。
「2回も無駄に付き合わせちゃってるからね、俺のリスナーには。
それぐらい頑張るよ。」
デルタ君がやる言うならいいけど。
タケもええかな。
優秀賞作品…10枚ぐらいに、デルタ君の絵を描いてもらう事になるけど。
「全然いいよ。
サイコロの件は僕のせいでもあるし…。
やっとデルタを描き慣れてきたから、いい絵が入れられると思う。
漫画の息抜きにも丁度いいかも。」
そうか。
んじゃ、告知しとくで。
デルタ君も頼むわ。
「え、俺がやるよ?」
今回はコンセプトが分かりづらいからボクが告知するわ。
心霊写真っぽいって言ったって、ピンと来ない人もおるやろ。
ボクがサンプルのポストカード持ってるし、分かりやすい説明いれなあかんから、ノリで生きてるデルタ君の告知だと分かりにくくなりそうや。
「モーさん。」
ん?なんや?
「デルタはもう死んでるよ。」
おっと、せやな。
「…てっきりデルタはしっかりやってるよってフォローしてくれるのかと思ったら全然違った。」
◆
なんでデルタと師匠が知り合ってんの?
「素朴な疑問だな。
そう思うのはよく分かる。
でもまだ内緒だ。」
なんで?
僕を経由して知り合うなら分かるけど、僕を飛び越えて知り合うことはなくない?
「そんなことないよ。
ばーちゃんも漫画の描き方を配信してるし、ほら、俺のガワがタケやんだからコンタクトとってきてもおかしくないじゃん。
なんつーか、愛されてんのな、ばーちゃんに。」
……ばーちゃん?
もしかして師匠のことばーちゃんって呼んでるの?
凄いな…。
「タケやんが俺の親で、その師匠なんだからばーちゃんだろ。」
まぁ、そうなんだけど。
僕が中3の時にさ、投稿して賞を取ってね。
その表彰式で初めて会ったんだ、師匠に。
まぁ、中学生なんてそんな場に慣れてるはずもないから、オドオドしている僕に、気を遣って話しかけてくれたのよ。
澤野柘榴です、おめでとう。
あんた、絵が良かったよ。
もう少しストーリー練られる様になったら一端になれるよ、頑張んなって。
「うん。
若い頃から威圧感と魔女感はあったんだ。
でも、優しいじゃん。」
そうなんだ。
でも、その時隣にいた別の漫画家さんがね。
「うはは!柘榴!隣に中坊が並ぶとめちゃくちゃおばちゃんだな!」
って。
「デリカシーは終わってるけど、柘榴って呼ぶくらいだから友達内の冗談だろ?
その人もタケやんの緊張を和らげようとしたんじゃねぇの?」
そう。
実際、師匠の事務所によく遊びに来てたし、師匠も困ったら相談するのはその鷹先生だったから、仲がいいのは間違いないんだ。
だけど、僕は聞いたのさ。
「何を?」
骨。
骨が軋み、割れる音を。
師匠は自分をおばちゃん呼ばわりした鷹先生に、目にも止まらぬ速さでアイアンクローをかまして、白目を剥かせたのさ。
あの音が…耳から離れない。
「ホラーの文脈で面白いエピソードを話すなよ。
あー、だから、おばちゃん通り越してばーちゃん呼ばわりして、殺されなかったなって話?」
そういうはなし。
「だって意味合いが違うもん。
鷹先生とやらは、属性の話だろ?
何歳になったとしても、女性におばちゃん属性を貼り付けるのは失礼だよ。
だけど、俺は役職の話だから。
親の親だからばーちゃんだねってそれだけの事だろ。」
まぁ、そうか。
良かった、怒ってないなら。
デルタは二度死ぬかと思って心配したよ。
「007のサブタイトルみたいな心配すんな。
そういえば、ディーンの一話のタイトル、カジノロワイヤルって007から取ってんの?」
そうだよ。
好きなんだ、007。
カッコいいじゃん。
「タケやん、ちょっと俺に名前を聞いてくんない?」
え?
……あぁ!
おほん、貴方、名前はなんて言うの?
「デルタ。
化野……デルタ。」
あはは!カッコいい!
ボンドのやつじゃん!
「そうそう。
正直、ボンドの一番カッコいいところは名乗りだよな。
名前言ってから、絶妙な間でフルネームいうところ。」
分かる!
「ちょっとタケやんもやってみ。
…なぁ、アンタ、なんて名前だ。」
ゆういち。
竹野内…ゆういち。
おぉ……。
恥ずかしいけど、なんか、カッコいいね。
あれだね。
ポイントは、始めは相手を見ずに名前を言って、フルネームは相手の目を見て言うことだね。
「そうな!あはは!」
「…あんたら、普段からこんな話ばっかりしてんの?
男の子すぎるやろ。」




