新撰組
「今宵の虎徹は血に飢えている」
新撰組屯所、屋敷の縁側で月明かりに刀をかざして俺はそう言った。
「よんだ?……ていうか、その刀錆びてるし、虎徹とちゃうやろ」
ふと、屋敷の塀の上から顔を出した赤ら顔のおじさんが、声をかけてきた。
『え?いやいやいや、その塀のぼれる?』
『だれ?』
『せっかくの、名ゼリフが……』
「誰だ?」
そう、当然の疑問を投げかける俺に、おじさんは、不思議そうに、いう。
「だから、虎徹やって」
確かに、彼の頭上に『虎徹』という名前が出ている。
「いやな、ワシ鍛冶屋やっててな、営業や」
『虎徹、鍛冶屋て感じするわ』
『営業の仕方が、斬新!』
そう突っ込むリスナーのコメントを見ながら、俺はそのおじさんに問う。
「それで、なんで塀から?入り口から入れよ」
「いや、入り口、コワイおっさんおって、入られへん。それにな、二つ目のジョブの忍者の技を試したかったからな」
『お?ジョブ2つつけれるのか?』
『忍者、あつっ』
塀から、降りて来た虎徹さんは、すぐに新撰組の仲間達に捕まった。
不法侵入だから、当然だ。
「コイツどうします?」
副長の『トシ』が聞いてくる。
「まあ、取り敢えず縄つけたまま、話しようか?」
そう言う俺の前に、おとなしく連行された虎徹さんはふと、俺の名前をいじってくる。
「ところで、名前、″コンドウさん″さんてよんだらええの?普通にコンドウさんでええの?」
『確かに』
『皆、ちょっと呼び方、困ってたな』
俺の頭上には『コンドウさん』と出ている。




