第34首
第34首お届けできました。
第34首
本当は
怖いことなど
好きじゃない
単に彼女が
ホラー好き
短歌解説
私の実話です。大学時代の友人の話です。
友人のNは、女子短大の子と付き合っていました。私はNの彼女とは会ったことはありませんでしたが、Nとたまにコーヒー店で偶然出会うと、必ずと言っていいほど、のろけ話を聞かされていました。
その日も、彼女とホラー映画を見に行って、怖い場面で彼女が自分の腕をギュッと掴んできたことなどを、鼻の下を伸ばしながら話しやがりました。
「あれ? N、おまえホラー映画というか、怖いの苦手じゃなかったっけ?」
私がそう訊くと、
「怖いことは苦手だけど、彼女に頼られてるって思うと、頑張れちゃうんだよな」
「ふーん、そんなもんか。でも、デートでホラー映画なんて、もっと他に見る映画無かったの?」
「あいつがホラー好きなんだよ。今度は心霊スポット見に連れてってだって」
「ホラー映画だけで止めとけよ。心霊スポットなんてハードすぎるぞ」
「大丈夫、大丈夫。いざとなったら俺があいつを護る」
こんな会話をしてその日は別れたんですか、2週間ほどたってNと会ったとき、会った瞬間にNの背後に霊気を感じました。
心なしか、Nが疲れているように感じました。
いつもは格好をつけてブラックで飲んでいるコーヒーも、大量の角砂糖を投入していました。
「N、まさかおまえ心霊スポットに行ったりした?」
「うん、行ったよ。彼女と一緒に」
Nは疲れ切っているのか、ボソッとした小声で言いました。
「どこに行ったの?」
「U首ダム」
Nが言ったのは、地元でも有名な心霊スポットでした。
ちなみに、私も何年か前の昼間にU首ダムを訪れたことがありますが、昼間でも怖い雰囲気が漂っているのに、夜中に行こうという人の気が知れません。
おそらくNは、U首ダムで霊に取り憑かれたのだと思います。
「N、悪いことは言わないから、お祓いに行った方が良いよ」
私のアドバイスを受け入れて、Nはお祓いに行ったようです。
残り66本
彼女と二人で行って、Nの方に取り憑いたのは何故なのでしょう。私の霊感がもっと強かったのなら、直接Nの背後にいた霊に訊けたのかもしれませんが。
いや、そんなことをしたらヤバいか。




