第30首
第30首お届けできました。
第30首
秋の日の
たそがれ時の
カーブミラー
映っている人
どこにいるのか
短歌解説
私が間接的に関わった実話です。
第29首で子供の頃のことを書きましたが、これは私が中学1年の時の話です。
全国どこにも学校の怪談のようなものがありますが、私の中学校にも似たようなもの、例えば音楽室には誰もいないのにピアノが鳴るとかのオーソドックスな怪談は以前からありました。それが夏休みが終わって学校が始まると、中学校前の道路にあるカーブミラーに幽霊が映り込むという噂が広がっていきました。
見たという者の話によると、たそがれ時にそのカーブミラーを何気なく見たとき、角の向こう側にこちらを見ているかのようにカーブミラーを見上げている青色のワンピースを着た女の人が映っていたそうです。別段何も思わず、自分の進行方向だったのでそちらに進んで角を曲がったら、女の人は消えていたそうです。田舎の中学校なので、その道の周りは田んぼなので、人が隠れるような場所はありません。考えられるとすれば、大人の腰下ぐらいまで伸びた稲の間に身を潜めたぐらいですが、そんなことをする必然性もないと思えます。
カーブミラーに女の人が映ったという目撃情報は、その後も数件ありました。
私の帰路は、そのカーブミラーの前を通りませんので、当然カーブミラーを見上げることもなく、私はその怪奇現象とは無縁でした。
ところが、中学校の近くに住んでいた友人のSの家に遊びに行ったとき、夕方近くになって、Sがカーブミラーを見に行こうと言い出しました。
「えぇ、わざわざ恐いもの見に行くのか。いやだなあ」
と、やんわり断ったのですが、
「二人で見たら怖さも半減するだろ」
と、訳の分からない理論で強引に私を連れ出しました。
問題のカーブミラーの所に着くと、「合沢はあっちの角を曲がった所で見てくれ。僕はこっち側から見るから」とSが言いました。
もう辺りは薄暗くなりかけていましたので、私は早く済ませたいと思って、Sの指示通りにしました。
私が角を曲がってカーブミラーを見上げた直後、「わーっ!」というSの悲鳴が聞こえました。カーブミラーに映っているSがこっちを指さして、「で、出たあ」と叫びました。私も慌てて辺りを見回しましたが、何もいませんでした。そもそも霊気を感じていませんでした。
私がSの所にもどり、話を聞くと、「カーブミラーに緑の服を着ている何かが映った」と言いました。
私は、ため息をつきながら、「あのなS、僕の着ている服を見て」と言うと、「あ、同じ緑色・・・」と、何かに気付いたようでした。
そうです。私がその日着ていたのは緑のTシャツだったのです。Sはカーブミラーを見上げている私を反対側から見て、霊だと思ったのでした。辺りが薄暗くなっていたのと、Sの視力が悪かったのが、更にそう見えさせたのでしょう。
私は、そのカーブミラー辺りに何も感じなかったので、怪談の真相は分かりませんが、何人かは見ているということなので、もしかすると霊がいたのかもしれません。地縛霊だったのでしょうか?
現在は、中学校の移転に伴い、その場所にあったカーブミラーは撤去されています。
残り70本
今回はホラー要素は少ないですね。




