軌道空域編⑤貌
クズノハが開示した情報は、主に次の
1、主戦派は先の戦乱を、調査団が未開文明人に殺されたもの、と捉えており奪われた技術で将来的に報復される可能性を考えて、武器を取るように呼びかけた派と、地球人類を根絶する事こそが使命だとする派が協調した、というもの。
「はー、庭の草抜きが面倒いから除草剤撒いたれって事やな。」
「しー。」
マチコの口をヒュネアが塞いだ。
2、融和派にも、野生動物が暮らす森を焼くのは控えて保護と観察を行おうとする派、地球人類に適切な知識と技術を与えて発展させ、地球を将来的な破滅が起きた場合の退避先、または他文明に対する尖兵へと育成を提唱する派と─。
「けっきょく、私を拾ったUBDAと考える事同じなんだね。」
「わたしの生まれた所も、おんなじよーなものでしたからな。」
イヴを、ガルデニアが抱きしめた。
そして─。
「私クズノハは、地球人類の主権を尊重し、望まれた時に適切な量の支援を提供するという立場を取る、いち組織から送られた。」
組織、とクズノハは言った。
先の主戦派、融和派のくくりとは別。
恐らくは派の要項を満たさない、認められていない、または地下組織。
しかしその考え方は理解出来る。
自らを援け、己の足で立つ。そのために手を差し伸べる。共に歩く支援の形。
しかし、一番得られるメリットが少ない。なぜ両者から睨まれるリスクを取ってまで、エージェントとしてクズノハを送り込─、
「私は─、」
クズノハが、帽子を取り、指を鳴らした。
ぱち、ん。
彼女の相貌が、変わる。
恐らくは、地球人類の社会に溶け込むための擬態だったのだろう─。
ふわ、さわわ。
クズノハがゆっくり首を振り、カメラに映る彼女の首元、あご、頬に美しい毛が生え、
ぽ、ふ。
彼女の顔の骨格が変わる。
鼻と口が前方へ伸び、鼻頭は黒くしめり、数本のヒゲが生える。
ぽ、ん。
既に彼女の側頭部にあった耳は消え、頭頂部に、少し前のめりのものが、
「私クズノハの所属する組織は、彼ら融和派の一派に飼われ、躾けられた─。」
A、「キツネ娘だったのー!」
声を上げた「あなた」の口を、4人の手が塞いだ。




