軌道空域編②絶叫
ふぃんふぃんふぃんふぃん。
「わー!たかーいでーすなー!」
「これくらい、平気っ!」
「私もしないといけませんかー?」
「何でや!アタイ一般人やろー!」
A、「嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ!」
がコン!
ふわっ。
一瞬だけの、無重力。
──お話は、数十分前。──
「ほほー、ここがゆーえんちですなー。」
「子どもの遊び場、私には合わない。」
「お菓子のお店がいっぱいですー。」
「今日のアタイはガイドさんやからなー。」
「あなた」は遊園地パンフレットと、今日の訓練メニューを確認する。
天の川銀河中心天体で騎士としての訓練を抜け、数々の戦場を渡り歩き、ヒト型二脚兵器にも搭乗実績のある「あなた」、対惑星文明兵器として本来訓練の必要が無いガルデニア、各区域防衛機構でインプリンティングまたは訓練を受けたイヴ、ヒュネア、マチコにはもともとの軍人としての基礎知識、体力などがあり、標準的なこの地球のヒト型二脚兵器ロミネンシアの訓練は不要だった。
「まーまー、戦うところが戦うところですからなー。」
「わかったから頭撫でないで。」
「ここのプリンクレープおいしー。」
「んー、この列やなー。」
「あなた」達は絶叫アトラクションの列に並んだ。
A、「おかしくない!?」
繁忙期を過ぎた、秋口に入って冷え込んで、来場者もまばらになった遊園地で「あなた」は声を上げる。
A、─「ふつーにロミネンシアを使って訓練するとおかねがかかりますからなー?」
「ナイン様といられるならどこでもいいわ。」
「ちゅろすおいしーです。」
「だいたいガルデニアの言う通りやな。ナインらは急に増えたロミネンシアパイロットや。機体はどないかなっても訓練に使う予算はもともとあらへんし、安ぅ済むならそれでもえーやん。」
A、「それは、その通りだね。」
この岩石惑星、地球にはその重力から飛び立とうとした人類の研究、挑戦の記録がある。
異星文明との争乱の後、彼らの使う兵器、彼ら自身との戦闘には当然の陸戦と海中でのもの、そして─。
A、─「わたしは光の海をとべますけどなー。」
「ガルデニアはそうだけど、私は出来ないから。」
「私も飛べますよー。」
「ヒュネアは対流圏までやろー。」
A、「とにかく、ぼく/私たちはその対流圏より上の成層圏で、異星文明の兵器と向き合わないといけない。」
一般的な旅客機などの、飛行機が飛ぶ高さ。
燃料を使う従来のジェットエンジンを利用して航空機で飛び立ち、高度と空域に達した時点でパージ、作戦行動を行う。
A、─「わたしが飛べば終わりますけど、誰かに押し付けられた平和なんて欲しくありませんからなー。」
「わかってるなら私にワンピースなんて着せないで。」
「食べられるものなら何でも幸せですー。」
「アタイはパイロットになられへんかったから、この絶叫マシンで我慢しといたるわ。」
そう強がるマチコは、脚が震えていた。
──いま──
びゅあああ。
顔面に、全身に当たり泣き叫ぶ大気に、「あなた」達は声を上げて叫ぶ。
操縦席ならこんな思いはしなくていいはずだ!そもそも気圧コントロールがされていないと即死するし、ガルデニアの保護が効いてるからこんな訓練は必要ないはずだUltraSuperGiganticで高速機動戦闘には慣れているからこんな訓練は必要ないはずだ吊り下げられた椅子は高度を上げ回転し視界の景色が上下左右に反転して回転する必要ないここまで必要ない必要ない!
「ナイン、なーいーんー?」
「ほら見なさい…ナイン様もうえっぷ。」
「落ちながら食べるアイスクリームは最高でしたー。」
「何で、何でこんなんあと2日もせーなあかんの…。」
A、「同感…。」
「あなた」とマチコは、げっそりした。




