トライカー編25 澱
ダンッ!
踏み出し、
タタタタタ!
駆ける!
ザンッ!
薙ぐ!
ゲシャ!
壁を、生えた手指ごと踏み蹴り、そのまま跳ねる!
チィィィン!
天面から生える手指を引き掴み、床面から生えるそれへランサーを振り下ろす!
ッタ。
着地し、手指の残骸を踏み締めゆっくりと見回す。
ふわ、
細くしなやかな手指が、「あなた」を後ろから抱きしめる。
この手は、知っている。
「あなた」は目を閉じ、
A、「今、君を感じた。」
「あなた」のほっぺを摘んだ指は、指先で鼻をくすぐる。
A、─「あーん、ナインかえってきましたなー!」
目を開く。
夏と秋の熱を感じる。
ぎゅうう。
ガルデニアの両腕が「あなた」を抱きしめる、首裏に頭を擦り付けられている。
「すげェ…、アタイたちはみんなアレにヤラれちまったのに。」
「急に倒れて、光る剣?を振り回して暴れ出したのは驚いたけど─。」
マチコや、商店街のお隣さん達が口々に話す。
「ふふー、ナインはわたしのじまんのだんな様ですからなー。」
回り込んだガルデニアは、「あなた」の胸の中にしがみつく。
「えへへ、おかえりなさい。」
A、「ありがとう。ただいま。」
抱きしめて、口付けをする。
さっ。
そのまま「あなた」はガルデニアを抱き上げて、急ごしらえのトライカーのコントロール用椅子に座り、膝に乗せる。
A、─「おおー、おひめさまだっこですなー。」
ガルデニアは喜んで「あなた」に顔を擦り付ける。
パチパチ、カチ。
指示用コンソールへ入力を行い、
フィーン。
トライカー達を再起動させる。
「んー、まだアレとやんの?」
マチコに問われ、答える。
B、「直接イングラと交戦して、理解した事がある。」
この駆除作業を行うまで、ガルデニアの口から溢れた指をストックしていた容れ物のフタを開け、一本を取り出す。
B、─「うげ、素手で触んの…。」
「わたしは対惑星文明兵器だからへーきですけど、ナインにとってはばっちいと思いますなー。」
頷く。
くるくる。
それの重心を指先で回し、
ばし、
掴み、
ぎゅ!
握り、
ばちぃぃん!
潰す!
C、「イングラは、人間でも妖怪でも無い。」
商店街の人たち、マチコ、ガルデニア、スマートフォン、アロエのカメラにも見えるように、握り潰した手指の残骸を見せる。「群体の、意識を持った知的原生動物だ。」




