トライカー編17酢醤油
カシ、パチン。
パーツを仮組みし、奥まではめ合わせる。
「はーい、できましたなー。」
ガルデニアが、練った小麦粉を薄く広げて焼いた餅をテーブルに乗せる。
、と。
お皿の下に指を添え、置いてから引き抜く。静かに丁寧に。提供時の基本的な所作。
お漬物、辛子を加えた酢醤油の小皿が置かれる。
きゅいい、
持ち上げたまま、ギヤを回転させて駆動系に支障が無いか確認する。
「テーブル片付けてほしーなー?」
っと、た。
続けて余った小麦粉を練り合わせて茹でた何らかのお団子が置かれる。
チィィィン、
腕部のアークソード展開機構を調整し─。
ダンッ!
「ごーはーん!でーきーまーしーたーなー!」
げんこつでテーブルを叩き、ガルデニアが語気を強めて言う。
A、「ごめん、集中してた。」
両手を合わせ、「いただきます。」と続ける。
昨日の食材で余った、または足が早いものを焼いて、冷えた白米と鶏ガラスープで食べる。
A、─「ふーふー。アロエちゃん、フラマ セラタのみんなはどーですかなー?」
丸餅に息を吹きかけ冷ましながら、ガルデニアは「あなた」のスマートフォンに声をかけた。
「昨晩ガルデニアのボディカメラとして中継していましたが、カランコエが54体目のナイン人形をだめにしました。」
「あむあむ。ふーむ。」
ガルデニアは次の餅に手を付けた。
「これはナインが帰ったら、ぼろぼろにされちゃいますなー?」
にやにやと笑いながら、餅で挟んだお漬物をぱりぽりと齧る。
A、「みんなにも早く会いたいけど、次の惑星直列までに、この地球でやり遂げたいことが出来たんだ。」
そうアロエのカメラに向かって伝え、「あなた」も丸餅を齧る。
もぐ、もぐ。
顎を動かす。
物を噛むことで頭部への血流量が増え、思考がより鮮明になる。
手元のトライカーは駆動系の仕上がりにまだムラがある。明日は10月10日、エリアリーダーマチコとの戦い。
それを切り抜ければ、国内大会、そして全球大会。
そこで勝ってようやく、この地球人類全体が、「あなた」がロミネンシアのパイロットになることに疑問を持たなくなる。
地球人類代表として、戦うことを望むようになる。
異星文明と─。
「まーた未来の予測してますなー?」
ガルデニアが身を乗り出し、「あなた」のほっぺたをつまみ。
「ちゃんとごはんたべないわるいこはこーですぞー、んんっ。」
酢醤油の味がする。とろけるような口付け─。
がらっ。
「邪魔すんぜェうお、開店前だからって子持ち人妻ムーブしてる!」
朝ごはんをたかりに来たマチコは、驚愕した。




