トライカー編⑨組み立て
ぱち。
オンソク、水素結晶を使用した演算回路の組み込まれた人差し指と中指を揃えたほどの大きさの板に、思考用の短期記憶回路を取り付ける。
「それの差し込みが甘いと戦闘中に外れたり、プログラムの読み込み不良を起こすんだ。二段階の差し込みスロットになってるから、もっかい押し入れてみ?」
マチコの指示の通り、指に力を込める。
ガチ、リ。
A、「これ、壊れたんじゃない?」
短期記憶回路組み込んだオンソクをマチコに渡す。
「ナインはしっかり訓練してるから握力はすごいですが、わたしを撫でる時はフワッと触ってくれますからなー。こーゆーのは苦手でしょー。」
A、─「いんや、こんなもんだよ。」ぱちり。マチコはコードのついたグリップでオンソクを挟み、手のひらほどの機械に繋ぐ。かち。機械のテスターらしきものらしいそれは、数値が上がるのが見て取れる。「大丈夫、民間用に出力なんかは抑えられてるけど構造自体は軍用品とおんなじだ。人間が叩いたくらいじゃ壊れねーよ。ナインも軍人なら、その要領でやりゃいーんだ。」
オンソクの部品には命が無くても、魂が宿るかも知れない。
けれどそれは、1番に守りたいガルデニアやパートナー達とは、違う。
区別を、する。
丁寧に扱うし、敬意を払う。
けれど、ガルデニアの、みんなの代わりにはならない。
そう考えて、「あなた」はもう一度踏み出した。
ぱち。
まずは軽くはめ合わせて、
ガチ。
ロックするように押し込む。
広げた説明書の通り、パーツを組み込んでゆく。
「んー、ナインは軍人ではありますが、女神直属の次元騎士ですなー。」
かち。
ジジ。
ガルデニアがラジオのスイッチを付ける。
ひゅぅーいい、ん。
選局のためダイヤルを回している。
「おー、ラジオ持ってんのか。てか女神?次元騎士…?」
ガルデニアはラジオのアンテナを立てた。
「このラジオはラジオに見えてつーしんききなのですなー。あ、そーそー、わたし達のいる場所はちょっと特殊でしてな、自分のことを女神って呼ぶひともいるんですなー。」
「へ、へぇ。」
きゅいい、ざ、ぼ、ざざ。
ラジオノイズに混じって、ひとの話し声のようなものがする。
「おー、ちょーど太陽の位置から東ですなー。」
アンテナを調整したガルデニアは、目を閉じて─。
「らー♪お時間はまもなくお昼、みなさんいかがお過ごしですかな?潜次元戦艦リコペルシカ所属の準ダクトロ、対惑星文明兵器のハゴロモオトヒメリュウ、ガルデニア・ヴィナヴァルテですぞー♪」
じじ、じ。
「らー♪はいガルデニアさんお便りありがとうございます♪こちらは日付けを回った所♪」
「んんー?先生ですなー?」
目を閉じたままガルデニアが返事をする、
「乙女のまばたき作戦はお遍路順調♪電磁発振駆動装置も感度良好♪お相手はこの私、星姫アセデリラ・アルマコリエンデ直下のラ アーラと♪」/「この私、星姫アルセロラ・アルマコリエンデ直下のラ ルーコが─♪」
「あわわ!間違えちゃた!」
ぶちっ。
慌ててガルデニアはラジオの電源を落とした。
「はぁ、はぁ。ん、んん!ナインは今の話っ、聞いてませんでしたな!?」
普段はのほほんとした話し方のガルデニアが、喉から絞り出すような声で「あなた」に質問する。
A、「今星姫って─。」
B、「乙女のまばたきって─。」
A、B、─「ちぇいっ!」ぱしっ!ガルデニアが「あなた」の首元に可愛くチョップをした。
「あわわ!ナインが気絶しませんなー!えいっ、えいっ!」
ぱし、ぱし!
ガルデニアは「あなた」の胸元に飛び込んで首元をチョップする。
「こーなったら、らー♪」
ガルデニアは空気振動の制御に長ける準ダクトロであり、師であるアウタナ・セリフラウと同じく─。
ぽん、ぽんぽぽぽん。
白い花が、無数に咲いた!
甘い香りが部屋を埋め尽くしている!
A、「そんな!ぼく/私は能力とランサー使用不許可なのに!」
包み込む甘い香りが眠りを誘うものの、それでも叫ばずにはいられない!
「はー、はーっ!さすがナイン、効きませんな!もーこーするしかありませんなー!」
ガルデニアの唇が「あなた」に迫り、
「ふー、お手洗い借りたぜー、な、何だこの花!うぉ、ガルデニア何やってんだ!」
「これが本気の子持ち人妻ムーブですなー!」
「す、すげェ!!!」
マチコは驚愕した。




