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異世界の歩き方!!  作者: Nihonshi-Sekaishi
信頼関係構築イベント
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12/24

異世界で初めて見せる余裕

「なんにその微妙な顔!? 

この俺様と同じ適正だぞ!! 

この10年に一度の大天才の魔法使い,プラティ様と

おんなじ『石』なんだよ?!」


あまりに予想外の反応だったのか

表情が一気に曇り,手をあたふたさせる


「いや10年に一度かい 

思っていたよりも現実的なラインですね

……あのぉ私が思い描いていたのは,

紅蓮に光り天にまで突き抜けそうなほど高く燃え盛る『火』!! か

万物をいとも容易く洗い流し大地をも雄大と切り裂く『水』!! を

勝手ながら想像していたので………」


今は座っているから両手のみで

火と水,それぞれを最大限に表す大袈裟なジェスチャーをする

それでなんとかその2つのかっこよさを伝えたかったが……

どうやら弟子様のご機嫌はますます

悪化の一途を辿っているようだ


「えとー あのぅーー……

いやもう言ってしまいますけど 

地味なんですよ!!石なんて!」


石畳の地面を両手でバンバンと叩き

不平不満をこの身で示す

あーもうぶっちゃけてしまった

この光景を周りから見ていたら

頭のおかしい人認定されそうだが

僕的には至極真っ当な反応であると思う


大抵異世界の魔法って『火、水、風、土』の四種類だけで、

そっから色々組み合わせていって楽しむものだと認識している

でもでもこの世界は土OUT, 雷,氷,石INとなっている

雷、氷は正味全然いい むしろカッコイイから

こちらとしては大歓迎ではあるのだが……

石, こいつが駄目だ


将来の僕の大魔法士の姿にはあまりにも不適格となっている

なんてったって再三言っているが

石なんて地味属性,他にあるか!?

確かに他の魔法属性に一矢報いるほどの力は

あるのかもしれないが……


なにより僕が重きを置いているのは

1にかっこよさ,

2にかっこよさだ!!

それにおいて石は他の追随を許さないほどに

地味じゃないか!?

もしこの世界に魔法のクーリングオフサービス

があるなら今すぐ受けたいよ!


「いやいやいや?! 石ってすごいんだぞ!!

実際王都騎士団でいっちゃん死亡率が低いのって

石適性持ちだし防御性能はピカイチなんだよ?!」


彼女は顔を真っ赤かにして不服そうにしている僕を前にして

泣きじゃくる子供をあやしてあげるように

必死に熱弁している


「いやです! 正直防御とかはどうでもいいんです!

僕はもっとこう……

攻撃特化で敵をバッタバッタと倒していきたいんです!!

それが僕の無双日記に相応しいんです!」


僕の一生懸命な雄弁にも段々と熱を帯びてくる


「フウマみたいなずっと敬語使ってくる弱腰にゃあバッタバッタは無理だよ!」


プラティ様はしゃがんで,座り込む僕に目線を水平に合わせる

そして無慈悲にも正論を打ち込んできた


「礼儀と勇猛さは関係ないですよ!! 

やっぱり石は嫌ですよ

魔法適正ってリセマラできないんですか!?」


胴体に来る鈍痛などは全く気にはならず,

僕は魔法への落胆によりイジケテしまう

傍から見たらおもちゃを買ってくれなくて

親にねだり泣き喚く子供にそっくりだ

まぁ実際厚顔無恥なところは

非常によく似ているからなんとも言えないが……



「あ!! ここにいたのね?! 

やーっと追いついたわ… はぁはぁ

って………

フウマまた誰かと喧嘩してるの? そんな体勢で?」


「うっ…………

ルナーシュ様,お見苦しい姿を晒け出してしまいってぇ…

申し訳のしようがありません」


仰向けになり四肢をバタバタと揺らすポーズから

素早く立ち上がり,垂直の体勢となる

僕が浮かべている表情は

さぞ恥辱と恥ずかしさにまみれていることだろう



「うん その対応で正解 

私が来てもずーっとそのままだったらさすがに引いてたもの……」


「お恥ずかしい限りです」


いっときの感情に流され子供のように

振る舞ったことへの不甲斐なさで

唇を強く噛んでしまう


「ところでルナーシュ様,質問なのですが……

魔法の属性の『石』とは

プラティさまの言うとおり強力なのでしょうか?」


立ったまま足の関節を曲げ,姿勢を少しだけ崩す

それに合わせてプラティさまは軸足を右に固定し,

フリーとなった左足をブラブラさせている


「ええ とっっってもね!!」


プラティさまと同じように端の東屋に足を運び,

ベンチにゆったりと腰を下ろす

それを見て,

僕含め2人はルナーシュ様のもとにまで寄ってくる

来てみると,東屋についてある屋根のおかげで

日差しが遮られて,少しだけヒンヤリすることができた


「ていうよりもこの国最高の魔法使いが『石』なのだから,

強さは疑いようがないでしょ?」


向かい合わせでいる僕にそう言う



「えうぇ? そ,そうなんですか?」


今,僕は心から驚愕している 

是非とも一度はお目にかかりたいものだ

一体全体どうやってこの地味能力で戦えているのかを

(本当に地味なのかは見ていないから当然わからないけど!)


「そうよ! 彼は『石』の『ペイン』っていう基礎魔法をもとに

それを派生,応用してしまくって

今世最強とまで呼ばれるようになったのよ!!」


あからさまに胸は張っているようには見えないが,

まるで自分のことのように誇らしげに語る


「まぁまぁ 他人の話はここまでにして……

まずはやってみようよ!! 

普通,初めてのペインだったら

握り拳大のおおきさの岩が生成できるんだけど……

フウマならきっとそれよりも大きめの岩作れるよ! 頑張って!!」


そんなキラキラした目でじーっと見つめられたら

もう無理にイヤイヤ引き下がることはできない


「……わかりました やってはみます

あでも失敗しても絶対に笑わないでくださいね! これは僕との約束です!!」


これは保険をかけざるを得ない

だってそもそも論,

異世界召喚者である僕が

魔法を使えるかも当然わからないし…

仮に使えても,

単純に才能がなくてしょぼい結果になったら恥ずかしいし…



「もっちろん!! 人は誰しも最初は失敗するもの、

そこからどうやって成長するかが一番大事なんだからね」


なんか僕が失敗する前提の励まし文句を貰ってしまい

心境は少々複雑なのだが……


確かに百聞は一見に如かず,

もしかしたら石と僕の相性は抜群で

この屋敷を貫くほどの巨岩ができるかもしれない!



「魔法って技名唱えるだけでいいんですよね! 先生!」


「うむ 体の中のシャフトをどこか一点に集める意識を持てれば

なおよーし」


僕は屋敷の方を向いて手を前方に大きくかざす

後ろを振り返り問いを投げると,

プラティさまは出番を待ち侘びたように嬉々としてアドバイスをくれる


「よーし ぶっちるぞ! すーうぅぅぅぅぅぅぅ……

ペイーンーーー!!!!!」


そう声高らかに唱えた瞬間,

かざした手がゆっくりと

薄灰色の眩い光球に包まれていった

更に手のひらの周りに

小さい光の粒が順々に集まっていく


そして,一瞬だけ鋭い光芒が発せられたので

思わず目をつぶってしまった

光が収まったのを見計らって

そっと瞼を開けてみると……


***


「え?」「え?」「へ?」


眼前には何も変わらないただの豪邸が佇んでいる

不思議に思い眼下へ目線を下げたら


「うぇ?? 砂利?」


「えとーーね フウマ……

とても,とーっても言いづらいけど

多分魔法の練度が足りなさすぎて

岩が岩の形を、石が石の形を保てなくなって………

砂利になっちゃった…わ___ 」


ルナーシュ様は共感性羞恥からなのか赤面し

顔を小さい手で一生懸命隠している

その行為は僕にとって,下手に笑われるのよりも

ずっと堪えてしまう対応だ


「あーーーはあはぁはぁはぁはぁ!!

はーーーーー笑」

同時にプラティさまは笑いをこらえる努力なしに,豪快に笑っている

正直今回に関してはプラティさまの方が

まだましな反応かもしれない



「あ………あ,ぁ」


僕は僕自身の才能のなさと魔法への落胆により

わかりやすくガクッと膝から崩れ落ちてしまう


「あのー大丈夫? えっとーあほら!!

たぶんもうそろそろ晩御飯の準備が始まるから!

居室に来て,ご飯ができあがるのを

待っていたらいいと思うわ!! ね?」


ルナーシャ様はこの重苦しく,気まずい雰囲気をなんとかしようと

頑張っているようだが

効果は何もなく

燃え尽き,呆然としている僕と

ゲラゲラ笑っているプラティさまの構図はなにも

変わっちゃいない


「あぁ………

じゃあもう私行ってるから!! 

居室への案内はプラティにしてもらってちょうだい じゃあね!」


逃げた 

よほどこの気まずさが堪えたのだろう


「うーんと 俺様も行っていい?」


さっきまで人目を気にせず笑ってたのに

急に笑うのを止め,淡々と整然と聞いてくる


「…………」


「沈黙はダメって意味だけど……

ごめん!! 行ってるね!」 


逃げた 

よほどこの二人きりの雰囲気が堪えたのだろう


「あっ!! そうだ

居室は玄関入って左にまっすーぐ進んだら右手にあるからねー」


玄関に向かって走り出す前,

プラティさまは思い出したように振り返って

僕に助言してくれた


***


誰もいなくなった広場

太陽は徐々に傾き始めて,

映し出す影はどんどん大きくなっている


僕は顎を引いて俯く

そして目の前の地面に落ちている

砂利を手で拾い上げて,

噴水の周りの水に落としていく



砂利の処理も終わったところで……

さあここで一人反省会としよう

貴族様の晩餐会に遅れる

なんてことはないよう手短に


まず……ルナーシュ様は『普通』

魔法を唱えれば初経験者でも

拳大サイズの岩は生成できると仰っていた

それで僕が生成できたのは目が荒めな砂利……


まぁこの情報を

客観的に総合的に俯瞰的に合理的に公平正大に判断すると……

どうやらやっぱり僕は

この世界ではなんら特別な才能もなく

ただの『普通以下』 らしい


この世界っていうか,どっちの世界でも

才能面で言えば

大抵は普通か普通以下だったから

特別大きな衝撃はない……


というのはあまりにも嘘に思われるか


正直かなりショックだ

こういう異世界召喚ものの主人公は

なにかしらのチートは持っているものだろう

そう思って一度は不便すぎる未来予知に

見事,裏切られたわけであるが……


初めて魔法を打つ前は腹の底で

僕には魔法系でのチートがあると思っていた

いや……確信していた


今のところ架空の女神様が

僕にくれた正真正銘の祝福は

’魔法の才能’だったんだなって


ただ‥‥違った

その辛すぎる,でもきちんと現実である事実を

僕は受け止めきれなかった

まぁ一人反省会してる今も上手くは飲み込めてないけど


***


……ここで一つ疑問に思ってしまうことがある

何故僕は異世界召喚されたんだ?


あいや,現実世界にあった謎のポータルに入ったのは

純粋に自分自身の意思だったからな 

質問を変えちゃおう

何故現実世界にあんなポータルなんかがあったんだ?


そこに入った人間に超有能な祝福とかチートを与えるつもりがないのなら

なんで僕をこの世界に召喚させた?

意図がまるで見えない,

目的が全くわからない

さっき言った超有能な祝福。

唯一心当たりがあるとするなら

悔しいけどやはりあの『未来予知』であろう


でも仮にそれが本当に祝福かチートなら……

なんであんなに欠陥だらけなんだ?

制御不能,激痛,爆音ノイズ,情報量皆無,視界不明瞭の

『不完全な』

状態で僕に送ったんだ?


おそらくこの世界にいるであろう女神か神,

どうしてわざわざ祝福に

デバフなんかをかけやがったんだよ

あいや,わざわざじゃなくて

あれが女神か神にとっての『全力』

だった可能性も微粒子レベルであるにはある……のか?


……まぁ色々とだらだら喋ったけど

こんなちっぽけな存在がいくら考えたって

結論は到底出やしない


なんか不満と疑問を思いっきりぶちまけたら

幾分か楽にはなったし

さっきルナーシュ様が言ってた居室に行ってみよう

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