魔法への期待と落胆
「ちょっっと!! 待ってくださいプラティ様!
僕にはまだ聞かなければいけないことがあるんです!!」
女の子は僕の手を強引に引っ張り、走り出す
その脚力は凄まじく一緒に手を繋いでいるせいで
何度も転びかけたし、
その過程で利き手に拵えていた杖も落としてしまった
尚もその女の子には馬力を落とす気は毛頭ないのか、
変わらずに右足を勢いよく前方に突き出す
「そーの聞くべきことはこの俺様が答えて差し上げるから!!
だからはよう外に出よ!」
振り返った女の子の目にはただ一点の曇りもない 瞳孔は綺麗で鮮やかな栗皮色を
している
よく日本人の目の色は本当は黒ではなく茶色である
といった小話を聞くが、
これは誰がどう見ても見間違わずに黒ではなく茶色と即答するであろう
なんとか女の子の歩幅にも若干ではあるが慣れてきた頃、
前方に大きく開けたエントランスらしき空間が広がってきた
「目の前にあるのがこの家の玄関な!」
なんかお気持ち程度の解説を入れてくれたが
僕には必死すぎて上手くは聞き取れなかった
そうして両者エントランスに足を着けた瞬間、急に女の子が左に大きく旋回し
「開け!!」
と甲高く叫んだ
そうするとあら不思議、
このお屋敷の大扉が一人でに開いたのだ
原理はよくわかんないが
多分アラジンの『ひらけごま』と似た感じであろう
こういうのも魔法だとできてしまう、ってのが僕の妄想に拍車をかける
「おっっ外!!」
いままでほんの少しだけしおれていた女の子の兎耳が
日光をふんだんに浴びたおかげなのがきちんと垂直に立っていくのが
分かった
この女の子の耳は自身の体力ゲージの役割を果たしているのだろう
だって外に出て兎耳が立った瞬間、
途端に女の子の走るペースが速くなったのだから!
「いやごめんごめん!!待ってくれ!
ちょっとペースダウンしてほしいな〜って、、、
ダメ? ダメかな!?」
絶対にこの女の子に僕の決死の嘆願は届いている 絶対にだ
でも無視している 変わらない歩幅で、変わらない足の回転で、
僕のことを振り払おうとしているのか、とさえ思わせる
「ほーい!! 着いたよ!
ここが家でいっちばん広々としたところだからね!!!
気にせずに魔法の特訓できるよ!」
女の子は散々走ったのに息切れの一つもせず、
先ほどからの元気のままでいる
「はぁはぁ、、、はっふーはっふーはっふーはっふーはっ、、、、
ちっと,,,,,ちっくと座らせてくれ」
僕はそのままふわっふわの芝生に身を預けて倒れ込んだ
流石は魔法、ルナーシュさまの治癒魔法のおかげで足への痛みはほぼなかったが、
まだノータッチの胴体は普通に激痛だった
「あんた、、、プラティとか言ってたっけな
プラティさま!! あの、胴体がクッソ痛いのですけど治癒魔法とかありますか?」
搾りかすみたいな力を出し切り、なんとか仰向けにはなれた
「え〜? 出来るけど、、、
俺様,気を紛らわす程度の治癒魔法しかかけらんないぞ?」
「構わないから 構わないのでお願いします!!」
「分かった分かったよ!! ほいじゃあ、『トリートメント』」
そう呟くと先ほどまでの痛みがすーっと引いていった
変わらず動くと痛むのだが、ひとまず今の激痛は収まった、、、っぽい
僕の強張った表情が痛みの緩解とともにゆるまっていくと、
それに合わせてプラティさまの顔色が明るくなる
どうやら完全に悪意はなかったらしい
、、、正直それが一番厄介なのだが
「謝ってください!!」
「はい、、、ごめんなさい」
僕の要求をプラティさまは素直に飲み込み謝罪をする
「まぁ、、、結果痛みは尾を引かなかったので良しとさせていただきます
それでは改めて、魔法の御指南、宜しくお願いします!」
仰向けから更に体勢を変え、芝生の上で正座をし
教えを乞うとその熱意を受け取ってくれたのか
プラティさまは意気揚々と話をし始めた
「承った!!
それではただいまよりこのプラティ様による魔法講座を行う!」
「はい! お願いします!」
「ではまず初めに、、、フウマ!!
魔法についてはどれくらい学んできた?」
「あ、、いえ!! 全くです!」
流石に自らの無知をこうも堂々とひけらかすのは、恥ずかしいものがある
「そうか!! 俺様と同じ境遇なのだな、、、
まぁいい! そんなフウマのためにも一から教えてしんぜよう」
「まず!魔法は半分が才能である!!!」
「、、、、、、、、え 冗談?」
「事実であーる
第一に魔法を扱うにはある二つの道具が必要で、それが『器』と『水』なのだ
『器』は’シフ’、『水』は’シャフト’とそれぞれ言うな
第一にシフはだな,,,,,,完全完璧に才能だ、遺伝だ、血筋だ」
「あ、、、あばば」
夢が砕ける音がした
「でもでもでーーも、本当に大事なのは二つ目のシャフトなんだよ!
シャフトは才能関係なしに
日々の努力、地道な鍛錬、自身の気概に依存するのだ!!」
「お!! なんとかライフが回復しました!
それで、それぞれにはどんな役割が?」
「よくぞ!!
シフはシャフトを貯めるためのおぼん、シャフトは魔法をぶっ放すための原料、
と考えれば良い
シフから溢れ出したシャフトは魔法には使えなくなって、
過剰に溢れ出しすぎると魔法の練度が大幅に下がっちゃう、、、
だーからシフから溢れないように、我々はなんでもいいから定期的に
魔法を使う必要があるね
シャフトは意思関係なく自動供給だから」
あまりにもさっきの落胆を覆してくれる新情報のオンパレードで
テンションはマックスになっている
そりゃ話す速度は速いが、大学の鬼みたいな授業進度に比べたら
赤ちゃんみたいなものだ
「そんで、このシャフトの供給速度が、努力によって増やせるのだ!!」
「え? でもそしたらすぐにシャフトが溢れ出しちゃうようになって、
逆効果になりませんか?」
「心配無用! 努力によって変わるのは供給速度だけではなーい
同時にシャフトの濃度、つまり砂糖水で言う砂糖の濃度が濃くなるのだ」
「え、それってつまるところ、努力をしてシャフトの濃度を上げれば
シフの大小の差を縮めることができるのですか?!」
「大正解〜!」
「いよっしゃーーーー!!」
「まぁ気持ち程度だけど」
正座を崩し、いじけた子供のように体育座りをする
またガッカリしてしまった
期待→落胆→期待→落胆、、、このループは勘弁して欲しい
「しょうがないでしょ!! 努力が才能に勝てるのなんて
そうそうないんだからさ!」
「まぁ今までの話をちょーざっくりまとめると、
シフは才能依存、シャフトは努力依存で
シフの中に溜まってるシャフトを魔法として使うことができる、、、と」
「そそ!! まぁここいらで座学は終了!
さそくフウマの魔法適正見るわね」
「魔法適正?? それはなんぞやで」
「そっかそこもか
おっほん、魔法には生まれつき向いている属性ってのがあってね
それが『火、水、氷、雷、石、風、他』、の7つで構成されてるの
まぁその他ってのはなかなかにいないけど、、、」
「なーるほど ではその属性をいまから見る、と」
「そう! はいじゃあ今から適性測るからシャフト出して〜」
「え、えーーーと えと、、、、ごめんなさい
シャフトってどうやって出すんですか?」
「なるほどなるほど笑 分かんないか笑
まぁ出来ないものはしょうがないから、俺様がフウマの体の中に
シャフトを流し込むね〜
シフがシャフトを感知したら、そん後は自動で供給されてくから!
ちなむとみーんな子供の時、誰かにシャフトを流し込んで貰わないと
自動供給もされないし、魔法も使えないからね
だいじょぶだいじょぶ フウマはそれがちょっと遅れただけ〜」
そう言いプラティさまは僕のへそあたりに掌を当てた
「ほい これでいいよ
どうどう? なんか感覚違くない??」
ほんとだ 直前と触感がまるで違う
五臓六腑をなにか不思議な感覚が駆け巡る
「そしたらちょいと力入れてみ〜」
他に選択肢はないので言われるがまま腹あたりに力を込める
「うぉ?! なんにこれ!? 腹からなんか出てきとる!」
「それがシフから出てきたシャフトね 魔法の原型
、、、っていうか シャフトの色が薄灰色ってことはっっ,,,,,,,!」
「え!? ってことは?! ってことはなんですか??」
「フウマの魔法適性は、、、、
俺様とおんなじ’石’だ!!!」
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