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子育て?超越者(ヒュペリオン)  作者: 樽腹
第四章 超越者
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第18話 説得


「それじゃあ戻すぞ」

「あと四半刻!(三十分)」


長いわ!予定時間はもう残り10分くらい切ってんだぞ。

今に始まっても不思議じゃないんだ。


「駄目に決まってんだろ」

「やだ!」

「もう無理矢理戻すからな」


俺が手を向けた瞬間その手から逃れるようにそそくさと逃げる。

釣られて動く子供狼。


...君達も何故動く。おまけに凄く尻尾振ってるし。


「やだあああああ!」

「やだじゃねぇ!ガキか!」

「む、同じ歳では無いのか?」


首領は茶化すなや。

そういや俺も13か14だったな。


「ガキでいいもん!あんただってガキじゃない!!」

「ぬぐぐ」


さっきからずっとこれだ。

狼の子供達と遊んで情が湧いたのか、ずっとその場から動こうとしない。

子供達もすっかり懐いてしまった。


「ワンダさんもなんとかして下さいよ」

「...すまん」

「いやすまんて...」


其処でしおらしくなっても困るんだってば。

親なんだから叱るなりなんなりして説得してください。


本当に、子供に甘いというか何というか...


「ぴゃ...」


え、何その呆れた目は?


「じゃあお前どうしたいんだ?一応言っておくが一緒に戦うとか無しだからな?」

「なんで!?」


何で!?って。

お前この戦いに付いて来るつもりだったのか。


「当たり前だ。今此処にいるみんなは死んでも元に戻るがお前はそうじゃない」


これからの戦いは、本当に生きるか死ぬかの戦いだ。

こいつは居るだけで足手纏いになる。


「じゃあ何でこの子達も一緒なの?!この子達が一緒なら私も付いてきても良いでしょ!?」


ココはラヴィネを含めた子狼を両腕で抱き留め、俺を睨みつけた。


「きゅぅぅ...」


ラヴィネがココの腕の中で悲しげな声をあげる。

親であろう狼達がおろおろする。

あるいは牙を剥き出し、唸り声をあげた。

さっきまでの俺に装備をねだる時とは、訳が違う。


「ぐるるるる...」「うぅぅぅうぅッ」


特にやばいのはラヴィネの母親だ。

今や魔法で攻撃し始めるかもしれない程に殺気立っている。

次の瞬間、犬耳娘が氷漬けの肉塊になってもおかしくないレベルだ。


この子達は、厳密に言えば一緒じゃ無い。

普段何処に居るのかわからないが、兎も角安全な場所に居る。


大人の狼達のように現世で戦う必要は無いからだ。


そして...


ラヴィネとステラには、なるだけ遠く離れた別の場所に居てもらう。


...特に、ステラの存在が肝だ。



本当なら。


出来る事ならラヴィネとステラを危険な目に合わせたくない。

二匹の安全だけを考えるならば。街の危険だろうがなんだろうが、ほっといて此処から逃げるべきだ。



...けど、逃げたところでどうなる。



街が壊され人が死んで...


それでも、俺には関係ないと斜に構えて開き直れば良いのか?


アルナさんとルンナさんが殺されても...


延々とくだらない事を理由に掲げて、言い訳でもするつもりか?


一体誰に?


いつまで?


戦わずに背を向けて逃げた事実は、一生付き纏う。

忘れる事なんて、出来ない。


「駄目だ。お前は戻れ」


俺を気に掛けてくれた人達が居る。

俺と約束した女の子が居る。

会ったばかりの人間に大金を渡してくれた。

餞別込みで一億くらいの価値があるものを渡す人まで居た。


ココはその人達に深く関わる存在だ。

街で暮らす人達のためにも、ココは戻るべきだ。


「この馬鹿!!」

「どっちがだ!?」


だというのに、ああもう...!


「あんたがよ!此処にいる皆の中で一番弱そうなアンタが警備隊の私に指図すんな!!」

「おまっ」


ふぐぅ。


確かに今、一番見窄らしいかっこしてるのって俺だ。

洗濯したとはいえ衣類はボロボロで、おまけに片袖が千切れている。

他のみんなは出来たてぴかぴかの鎧と武器だし...みんなに勝ってる所って、山刀と弓ぐらいかなあ。


ちなみにブロードソードと短剣は素材に変えた。

武具を作るに当たって、素材の微細化と粒子の整列に圧縮で、思いのほか鉄が足りなくなったからだ。


「オークに装備作ったのは確かにアンタだけど!弱いアンタが私の戦う邪魔をするな!!」


ふーっ、ふーっ、と息を荒げて俺を睨み続ける。

敵意むき出しの目だ。


だけど、ラヴィネ達を抱くその腕は驚く程優しかった。

今のこいつは母性本能が保護欲と闘争心に結びついている。


生半可な言葉では動かない。


...やはり力づくになるか。


俺はもう一度手を向けようとして、


「ココや...」

「何!です?...か」


イルダナフさんに遮られた。


「その男はな...純粋な強さで、儂とワンダを遥かに凌ぐ。そして、ある意味では抑止力たるエアと同等の存在なんじゃ...」


紅玉の魔術師は諭すように、優しくココに語りかけた。


「...嘘。嘘だ...嘘よ!だ、だって!お父ちゃんとイルダナフ様より強い人なんてこの国にいないもん!!」


其処でようやくワンダさんが動いて、ココの肩に手を置いた。


「嘘じゃない...俺達はエアとこいつの助けがあって、ようやく勝負になる相手と戦わなきゃならないんだ」


ココがその場に座り込んで腕の力を抜く。

拘束を解かれた子供達が一斉に離れて親の元へと走っていった。


ラヴィネはと言うと、一旦腕から抜け出たあとココから離れようとしなかった。


ラヴィネなりに、気を使っているのだろう。


彼女の母である白雪狼は瞳を閉じて殺気を納めた。

背中に混じった青銀色の毛から輝きが消える。


...あんな色の毛生えてたっけ?


「う、うぅぅ...」

「それでも万が一はある。もし俺達が負けたらココはアインと一緒に、この街の人を守らなきゃならねえ。...この意味は分かるな?」


彼女は自分でも言ったように警備隊員だ。

街の人を守る義務がある。


ワンダさんは其処を指摘したのだ。


「...う、うん」


自分の気持ちを曲げてでも、守らなければならない命がある。


「分かったなら、あまりタリオンを困らせてやるな。あいつだって本当なら──」


ごおおおおおおおおん!!!


突然の轟音。


世界が震えた。


「!」「な、何!?」


地震?


いや。これは──






《来ましたか》


(´ω`)あけましておめでとうございナス!

今年も宜しくお願いします!!

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