第19話 黒づくめの男
このお話は第三者視点でお送りしております。
ルビを英文に修正しました!(´ω`)ゞ
町外れの道で、黒づくめの男が一人。
「何だこいつ?」
「おい!道の真ん中で突っ立ってんじゃねえぞ!」
三人の男と一人の女に絡まれていた。
その集団は、最近迷宮が見つかったという。ケセルナに拠点を移した、他所からやって来た探索者だった。
「リーダー。なんでも良いからぁ、早く帰ろうよぉ」
そのの男には何を言っても通じぬのか、フードの奥から底冷えする瞳で四人を見るや。
「@、¥&<#...」
嘲るような笑みを浮かべて、何事かを呟いた。
「っ、こいつっ!」
言っている言葉の意味は分からぬが、その表情から馬鹿にされた事は分かったのだろう。
激昂した一人の男が掴みかかり──
(ぼちゅん)
──首から上を破裂させて、その場に崩れ落ちた。
「...え?」
血の海に沈んだ男の身体を目の当たりにして、動きを止めた仲間達。
「...五月蝿い」
自分達に理解出来る言葉を喋りだした黒づくめの男を気に留める事も出来ず。
茫然と、自分達のリーダーが立っていた場所を眺めるだけだった。
「この程度も防げない上に、たった一発殴っただけでこのざまか」
「リーダー!?!」
ようやく声をあげた男が、懐から短剣を引き抜いた。
もう一人が慌てふためきながらも剣を構え。
女は腰が抜けたのか、その場にへたり込んで後ずさった。
「だが、この世界の言葉を知るにはちょうど良かった」
二人が気付くよりも早く、黒づくめの男はいつの間にやら鎌を取り出し。
「お前らも、死ね」
水平に構えたソレを薙ぎ払った。
(ズシャッ! ブシュウウウウ!)
逃げる事は事も、身を守る事も叶わず。
地面に転がる首の無い死体が三つに増える。
「手駒にする価値もない。その命、せいぜい『マナ』の回復に使わせて貰うか」
黒づくめの男は、原型を留めぬ二つの頭を突き刺したままの鎌を掲げ、呟く。
「{【暗黒譚】}──」
男の足元を中心に、光を飲み込む闇が広がった。
「──【生贄】」
彼の足元に転がった三つの遺体が、鎌に突き刺さった頭と共にグズグズに溶けて内側を晒し。さらにそれすらも崩れて土となり、風化して骨が粉となって宙を舞った。
後に残ったのはその者が生前身に付けていた衣類と武具のみ。
遺体から現れた三つの淡い光が、鎌を持つ手とは逆の手元に引き寄せられ。
握り潰された。
「...だが、質は悪くない。{【墓荒し】}──【探査】」
光を握り潰した腕から、鈍く輝く針を作ったかと思えば、遥か遠くへ飛ばし。
数秒経った後に、笑う。
「は、は、ははははっ....」
不気味な笑い声だった。
「随分と沢山居るな...町か。さて──」
黒づくめの男がローブを翻し、生き残った女へと向き直ると。
「ヒッ!?」
女は持てる力を全て使って、無様に這いずりながらも必死に後ずさった。
「顔はまずまずだが身体は悪くない。たっぷりと楽しませてもらおう」
彼女が感じた恐怖は...
普段から感じる、ねめつけるような好色の視線から、貞操の危機を感じたからではない。
もしそれが理由であるなら、女にとってどれだけ救いになった事か。
その欲につけ込む事で、あるいは命の安全を確保出来たであろう。
否。
その男から感じたそれは、下衆な男の欲望丸出しの視線ではない。
どこまでも冷たく何処までも黒い...闇よりも暗い、狂気の瞳だ。
──捕まれば、死ぬ。
死ぬだけならマシという程の目に合わされる。
それは、山賊やオークに捕まった方が遥かにマシな程の──
「だ、誰か...」次の瞬間。
黒づくめの男が腰を落とし、あらぬ方向の空間を薙いだ。
(ガキィン!)
鎌によって防がれたそれは一本の矢。
鏃から軸まで全て鋼で出来た、まごう事無き矢であった。
「へぇ?」
鎌を持つ手が、矢を弾いた衝撃で震える様子を見て。
黒づくめの男は、これまでとは違う種類の笑みを浮かべた。
「居るじゃないか。まともな奴が」
さらに数本の矢が、黒づくめの男の居る場所を的確に狙って飛んできた。
一歩横にズレて首と頭を狙う矢をかわし、鎌を跳ね上げ胴と肩を狙った矢を弾いた。
(ドヒュウ!!)
「なに?」
その瞬間を狙うように、一本の矢がこれまでとは違う速度で、これ以上無いタイミングで心臓目掛けて直進して、
──【行き止まり】
(ドン!!!!)
中空の見えぬ壁へと激突した。
(ギャギギギギギ!!!)
不可視の力を従えた鋼鉄の矢が、記述の力によって産み出された壁に錐揉みしながら抗い。
(バアァアアアン!!!)
周囲に衝撃波を放って砕け散った。
「きゃあああああ!?!」
寝そべる女が、その余波で飛ぶように何度も地面に身体を打ち付け、転がりながら男から離れた。
「......ふはっ」
黒づくめの男は楽しそうに、息を吐く。
弓矢だけでは成せぬその威力に、
自分と同じ種類の、力の源泉が混じっている事を機敏に感じ取った。
「成る程。同胞か」
黒づくめの男は、手に持った獲物を振って両手で構え直した。
すでに女の事は頭の中から離れている。
ついさっきまでの、人を三人殺した事すら忘れて居るだろう。
「数年、足止めを食らった見返りには悪くない」
楽しそうに目を細めたその先で。
たった一人の、見窄らしい格好をした少年が。
その身に合わぬ、立派な剛弓を構えたまま...油断なくこちらを睨みつけていた。
ルビというか読みというか上手く使えない...英文ェ
(´ω`)ここまで読んで頂きありがとうございます!




