第11話 首輪を外せ
「は、外せるんですかこれ?」
俺は首に掛かった首輪をさして聞いてみた。
「おー余裕余裕」
アインさんがヘラヘラと笑いながらカップを置いた指で輪っかを作ってみせる。
丸を描いてのOKサインは、異世界でも通じるらしい。
...如何にも戦士といった格好の人だが、そんなにあっさりと?
ゲームや漫画、小説などで異世界を題材したものを見てきた。
地球で死んだのかどうかさて置いて、実際に当事者としながらも...未だにあまり良くわかってないのが、『魔法』という存在だ。
ラヴィネの凍らせる力。
湖で蛇が姿を消す力。
...そして今も俺の首に掛かっている外せない首輪。
存在を知覚して実際に体験しておきながら、全然自分で使える気配がない。
...こっそり魔法の練習をして、ラヴィネに首を傾げられながら見られてたのは俺だけの黒歴史でいい。
男ならカメハ◯波の練習くらいやるだろ?俺だってやる。
ま、まあともかく。
外せれるならなんだっていい。
「えー...首輪外しちゃうんですかあ?」
と、如何にも不満そうな感じで反対意見をあげる珍獣もとい犬耳娘のココ。
ヘルメットは脱いでおり、肩程まで伸びた栗毛の癖っ毛に混じって、ぴこぴこ動く耳が見える。
さっきから俺をパシパシ打ってる毛のような温かいものが...て、こいつの尻尾かよ。
「ゥゥゥ...」「くるるるる」
滅茶苦茶ウチの子達の機嫌が悪くなってんじゃねーかやめろや!
「まあ、この国じゃ一応『奴隷は居ない』って事になってるからな」
「は、はあ...え?じゃあなんで俺は...」
奴隷なんかになってんだ?
「とまあ、そこで...お前さんの出身地と奴隷にされた場所の話になって来るわけだが」
アインさんは目を細め、俺に出身地となった場所を言うように促し...膝に肘を付いて両手で口許を隠す。
糸のように細められた目から覗く瞳が、真っ直ぐに俺を捉える。
「......」
ルンナさんは黙ったまま。緊張して俺の言葉を待っている。
...
「...出身地は、分かりません。俺は爺ちゃんに拾われて、育った子供だったから」
俺を打ってた尻尾の動きがぴたりと止まった。
「...その育ての親となった方は今どこに?」
「半年前に、老衰で亡くなりました」
アインさんが目を閉じ、拳を握った。
ルンナさんの息を呑む気配が伝わってくる。
「そうか...」
「一応籍を置いてたという事になっていたのが...モダ村で。俺が奴隷になった場所も、同じモダ村です」人知れず、拳を握った。
村には良い思い出なんか全然無かった。
俺の頭の悪さと吃音症を理由にガキどもから散々いじめられた。
子の親はその行いを咎めようともせず。ゴミを見るような目で俺を見下していた。
爺ちゃんが死んだその日から、露骨に俺の狩った獲物や薬草にきのこも散々買い叩かれた。
挙句に濡れ衣からの奴隷化だ。
...これを許せる奴は聖人なんかじゃない。
ただのキ◯ガイかマゾだろう。
でも...
たった一人...
...
「きゅぅぅ...きゅうぅ」
「ぴゃぉぉ」ぐるるるる...
気付けば、ラヴィネとステラが両側から俺の頰を舐めている。
...泣いてたのか、俺が?
「すみません...」
「いや、此方こそすまなかった。貴重な情報をありがとう」
アインさんが、腰から何かを取り出して俺の首に近づけた。
「『解除』」何かの暗号か言葉を呟いた時。
パキンという音を立てて、首輪は実にあっさりと俺の首から外れて落ちた。
(´ω`)此処まで読んで頂きありがとうございナス!
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