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精霊と亡国の姫君  作者: 皐月乃 彩月
3章 断罪は強制シナリオ
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8話 婚約破棄は決定なのです!

新連載を始めました。

只今、毎日何かしら更新中です。

……いつまでも続くかな?

 

「白雪、その辺で終わりにしてください」


わんわんと泣いて抱き合う白雪と瑠璃に、鈴から制止の声がかかった。

鈴は白雪に怒ったような、安堵したような複雑な表情を浮かべていた。


「鈴……ごめんなさい」


白雪は鈴の言い付けを破ったことを、叱られた子供のように謝った。


後悔はしていない。

けれど、皆に迷惑をかけてしまう事には申し訳ない気持ちがあった。


「……やってしまった事を悔いても仕方ありません……それに、貴方が出なければ私か翔が出ていましたから」


そんな白雪に、鈴は苦笑いを浮かべると怒りを解いて軽く抱き締めた。


「ここで瑠璃さんを見捨てるような白雪を……私達も見たくはありません」


「鈴!」


ひしっと鈴に、抱き付く白雪。

実に微笑ましい光景であっただろう。

────通常であれば。


「はいはい、その辺で。周り、すごい見てるから。鈴も止めに入ったんじゃなかったの?」


3人で友情を確かめ合っている雰囲気を壊すかのように、少し気まずげな翔声がかかった。


「……あー、どうしましょう? これ……?」


ようやく冷静さを取り戻した白雪が、辺りをそろりと見回すも周囲の支線は白雪へと釘付けであった。


「相変わらず、考えなしだな白雪」


「ぅ……これは、しょうがないのです!……鈴、どうすれば…」


白雪らしいと笑う双季に、抗議しようとしたが何も言い返せない白雪。

白雪が表に出るのは、実際もう少し先の予定であったのだ。


「それは……」


しかし、当然の如く事態を予想していなかった鈴に答えを出せる筈がなく、鈴は口ごもってしまった。


「──少し、お話いいかな? 氷の姫君?」


そんな気まずい空気が流れる中で、1人の中年の男性が白雪達に声をかけた。


「お父様……?」


「えっ!? 瑠璃ちゃんのお父様ですか? 瑠璃ちゃんには、いつもお世話になっています!」


男の正体が瑠璃の父親であると知った白雪は、ペコリと頭を下げた。

瑠璃の父親は王族特有の同じ髪色と瞳の色で、雰囲気が瑠璃と似て優しげな人であった。


「いや、此方こそお礼を言うべき立場だ。瑠璃を助けてくれて、本当にありがとう。瑠璃もすまないね……私達も人を見る目がなかったようだ」


水の国の王たる男が、白雪に礼を告げた。

そして、瑠璃に申し訳なさそうな笑みを浮かべると、その頭をひと撫でした。


「お父様……」


光の国の王子(・・・・・・)とは、彼方の望み通り婚約は破棄にする」


目を赤く腫らす瑠璃に、父親は笑顔でキッパリと言い切った。

一輝の名を呼ばずに黒い笑みを浮かべているあたり、瑠璃の父親の怒り具合が感じ取れる。


「いい、のですか…? あの婚約は水の国にとって……」


自分の為に無理を言っているのではないかと、瑠璃は父親に恐る恐る尋ねた。


「必要なものだね」


瑠璃の問いに、キッパリと言い切る瑠璃の父親。

娘への愛情も勿論あるが、国の利益を全く考えていないわけではないのだ。


「なら──」


「けれど、別に相手が光の国でなくてもいいんだ」


瑠璃を安心させるように、瑠璃の父親は微笑んだ。


「それ、は……?」


「氷の国の姫君、白雪殿と言ったかな? 水の国は、氷の国との親交を結びたい」


それは1人の父親として覚悟であり、国王としての責務からの申し出であった。




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